チートに意味はあったのか?   作:超高校級の切望

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第3話

「ウーサギ小屋ー、うっさぎ小屋ー、おっ世話しっましょ、小鳥さんっ、おー世話しましょっうっさぎさんっ」

 

 宮内れんげは最近引っ越してきた小学五年生の一条蛍と共に兎小屋に向かう。楽しそうに歌うれんげを見て蛍も微笑ましそうにしている。

 

「綺麗に毛繕いいったしましょー、そーしてまっとめって──ダイナマイッ!」

 

 スターンと大きくジャンプするれんげ。手を前に伸ばし空を飛ぶように身体を横にしたれんげはこのままだと間違いなく地面に剥き出しの膝を擦る事になりそうだ。蛍が慌てて駆け寄ろうとするが、れんげはそのままスイーと空を飛ぶ。

 

「!?」

「?何してるんほたるん……」

 

 手を伸ばして固まる蛍を見て地面に降りて首を傾げるれんげ。蛍は口を開けて固まっていた。

 

「れ、れんちゃん今……と、と……飛んで、なかった?」

「飛んでないん。落ちる速度をゆっくりにしただけなのん。ウチ、まだ危ないからってししょーんが飛行魔法教えてくれないのん………ウチ、空飛び回りたいのに」

「ひ、ひこうまほう?師匠?」

「ししょーんはまほーのししょーんなのん!れんきんじつも使えるって言ってたん!人に知られたら手品ですと言えば何とかなるとも言ってたんなー」

「あ、ああ……手品か……」

 

 ん?でもこの言い方だと手品以外なことを隠すために使っているような。いやいや、まさか魔法が本当にあるなんて………。とりあえずこの話は終わりにしよう。

 と、そうこうしている内に兎小屋につく。掛け金タイプの鍵を開けようとした蛍は不意に視線を感じて振り向く。つぶらな瞳が此方を見ている。チラリと兎小屋の近くの地面をみると穴があいている。

 

「ウサギがっ!?」

「ちょっと!ウサギ小屋いくからってアゲアゲしないで下さいっ!」

「ええっ違うよ。ウサギが穴掘って逃げてるのっ」

「アラ本当」

 

 とはいえただの女子小学生に兎を捕らえる術などない。れんげはトウモロコシで誘導して閉じこめるという案を出した。

 

「森に逃げたらししょーんに見つかっちゃうん」

「?師匠さん、兎とか嫌いなの?」

「大好きなん。ししょーんのジビエ料理は至高の一品なん。具がいるから狸は食べないけどアナグマは食べるん」

「具?狸?アナグマ?」

 

 ごめん、何言ってるか解んないと言いたげな顔をする蛍。と、餌につられたのか兎がやってくる。気のせいか、ニヤリと笑った兎は扉に体当たりして扉を閉める。コトンと掛け金がはまる。

 

「………んー………」

 

 ガシャガシャと扉を弄るれんげ。扉は動かない。

 

「ウサギに人参いっぱい食わせるどころか、ウサギに一杯食わされてしまいましたん」

「あ、うまい」

 

 蛍の賞賛に照れたように頭をかくれんげ。

 

「そんなー!」

 

 外から掛け金がおりているせいで扉は開かず、校舎から200メートルほど離れており、飼育小屋に来ていることを誰にも言っていないので誰か来るのは期待できない。

 おまけに今日は週末。次、飼育当番が来るのは土日を挟んで三日後である。

 

「やだーっ!三日もこのままはいやー!!お家に帰りたいー!」

 

 れんげの無慈悲な三日後宣告に泣き出す蛍。せっかく母親からシチューを食べれると聞いていたのに、ここにあるのは萎びた野菜。それか五分五分の確率でひよこっぽいのが出てくる卵。

 

「そ、そうだれんちゃん!手品は?脱出マジックとか持ってないの!?」

「うちまだ体重軽くする魔法と防壁魔法(ボルグ)と火をつける魔法しか学んでないんな。それより知識が必要なれんきんじつ学べってししょーんが………」

「錬金術?それって、あの石とかを金にする?それでパンとか作れない?」

「ぶつりほーそく?を無視してるから駄目なん。ししょーんなら生命魔法で作った限りなく本物に近い賢者の石で何でも出せるんけど……」

「賢者の石?」

「ウチの髪飾りにもししょーんがつけてくれたのん」

 

 と、れんげが己のツインテールを指さす。リボンには赤い綺麗な宝石のようなものがついていた。

 

「そ、それでご飯出せるマジックが出来るの?」

「マジックじゃないん。れんきんじつなん……ウチはまだ基礎しか出来ないけど……」

 

 取り敢えず、れんげにもここから脱出する術がないのは分かった。再び両目に涙を溜め始める蛍。と、その時……

 

「ラッキーラッキー。こんなにモロコシが………萎びてっけどそこは生命魔法の見せどころってなぁ……醤油かけて焼くか?れんげに持ってきてもら………おろ?」

 

 と、ウサギを誘うためにおいていたトウモロコシを取る自分と同じぐらいの年齢の少年をポカンと見つめる蛍。少年と少年の頭の上にグデーと乗った狸と目が合う。

 

「………最近の飼育小屋は、人を飼うのか」

「狸が乗ってる!?」

「あ、具、ししょーん。助けてほしいのん」

 

 

 

 

「ははぁ、なるほどねぇ……」

 

 泣きながら抱きついてくる蛍の頭を撫であやしながられんげから話を聞いたししょーんことゲーティア。最初の世界、マギの世界から名乗っている名だ。

 

「うう、怖かった。もうお家帰れないんじゃないかと思いました」

「よしよし泣くな。たく、良い年して情けない」

「ほたるんはまだ小学生なん」

「え、マジで………時にれんげ。野生のウサギは食って良いんだよな?野生化したその賢いウサギは……あ、うん。見つけたら連れてくるからその顔やめろ」




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