バカと仲間とFクラス   作:八舞 六花

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時間が開いてしまい申し訳ないです。

時間は開きましたが、キャラクター募集は常にしているので、ぜひ応募ください。

そして、まだ投稿して4話目ですが、1000回の閲覧と約30名のお気に入り登録してくださった読者様、誠にありがとうございます。正直ここまで行くとは思っていなかったのでかなり嬉しいです。これからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


3話:策と軍師と暴走兵器

雄二が帰ってきて、最初の狙いを話し合うことになった。

 

「さて、とりあえずはEクラスを狙ってみようと思うんだが、異論はあるか?」

 

雄二の意見は勝てる確率の一番高い選択なのかもしれないが、明久はそれを良しとはしなかった。

 

「いや、Dクラスにしよう」

 

「ほう、あえて上を狙うか。お前の考えを教えてもらおうか、吉井明久」

 

雄二は異を唱えた明久を、軽く腕を組みながら見た。

 

「Eクラスの名簿をムッツリーニから見せてもらったけど、どうやら運動部が多く在籍してるみたいなんだ。そんなところに宣戦布告したらスピード勝負を仕掛けられて作戦を実行する前に押し潰される可能性がある」

 

「ほう、中々考えているじゃないか。で、他に理由はあるのか?」

 

「Dクラスの代表平賀くんは、どうやらEクラスの副代表三上さんって人といい感じらしいんだ。多分どちらに宣戦布告をしても、相手にする人数は変わらないと思うんだ。なら勝ったときの対価が大きいDクラスに勝負を挑んだ方が合理的だと思う」

 

その言葉を聞いて、雄二は明久に称賛を送った。

 

「この戦争の指揮はお前に任せた。俺はひとまずどこかに身を潜めておくことにするから、宣戦布告をしてきてくれ。開始時間は今からとも伝えておいてくれ」

 

そう言いながら、雄二は教室を出ていった。

 

「さて、誰か宣戦布告をしてきてくれないかな?」

 

そう発言するも、誰も行こうとはしない。それもそうであろう、下のクラスから上のクラスに試験召喚戦争を仕掛ける場合は、相手に拒否をする権利はない。Fクラス側からすれば、それは大きな利点であるが、相手からしてみれば良い迷惑である。きっと罵詈雑言や軽い暴力に合うであろう。そんなところに宣戦布告をしに行こうと思う自殺志願者はそういないであろう。

 

「なら、俺らが行ってこよう」

 

「俺らって……俺を巻き込むなよ!」

 

須川と横溝が自ら志願して、Dクラスに宣戦布告をしに行った。それから数分後、ボロボロになった2人が廊下に倒れているのが発見された。どうやら宣戦布告はできたようだが、Dクラスの恨みを買ってボコボコにやられたようだ。

 

そんな2人を教室の中に運び入れ、卓袱台の上に寝かせた。あまり行儀は良くないが、こんな環境下で床に寝かせることはできないという明久の発言が採用され、このような形になった。

 

それから少し時間が経ち、廊下が騒がしくなり始めた。どうやら戦争を早々に仕掛けたことがもう噂として広まっているようで、付近にはギャラリーが続々と集まってきていた。教師陣もいきなりか、と言わんばかりに頭を抱えていた。

 

「さて、今回の作戦は騙し討ちだ」

 

明久が、今回の戦争の策を説明しだした。

 

「今回の戦争はみんな操作になれていないはずだから、とりあえず時間を稼いでほしい」

 

「時間を稼ぐ、とな?」

 

「そう。Dクラスの平賀君は、絶対姫路さんがFクラスであることを知らないだろうから、近づいても怪しまれない姫路さんを平賀君にぶつける。でも姫路さんは振り分け試験を途中退席してしまったから全教科0点なんだ。だから姫路さんのテストが終わるまで時間を稼ぐのが今回の作戦の最大のポイントなんだ」

 

「あー、なら俺も受け直してきた方がいいな。姫路さんと同じ現状だし」

 

先程まで寝ていた佐久間莉苑が起き上がり、明久の元に歩いてきた。卓袱台に伏せていたため顔などもわかっていなかったが、少しつり目で雄二程ではないが高身長であった。

 

「あ、えっと佐久間くん。佐久間くんはAクラス並の成績だってきいたんだけど、得意な科目ってあるかな?」

 

「あ? んー、得意って訳じゃないが、物理と数学……まあ理数系なら一通りはできるぞ」

 

「わかった。じゃあ姫路さんと佐久間くんは今すぐテストを受けに行ってきて! 時間はこっちで頑張って稼ぐから、焦らないで」

 

その言葉を聞いた2人は頭を軽く下げて教室を後にした。そして、明久は考えていた。Eクラスが合同して攻めてきた場合の対処法である。

 

Fクラスの現段階の戦力は、身を潜めている雄二、殴られて気を失っている須川と横溝、補充試験を受けに行っている莉苑と瑞希を抜いて45人であり、Dクラス単体だけでも相当な苦戦を強いられる現状であり、そこにEクラスが加わると、勝率は一気に暴落する。

 

相手はFクラスなぞに負けるはずはない、と意気込んでいるだろう。その士気を挫く為には、Eクラスを迅速に処理しなくてはならない。

 

迅速に処理をするのなら、得意科目で大量に点数を獲得している人物を派遣するのがベストなのだが、何分その条件を満たしているのが、秀吉とムッツリーニ、そして美波の3人のみである。しかも全員得意科目が一教科しかないため、その他の科目で攻められてしまうと簡単に敗北してしまうであろう。

 

「よし、とりあえず僕がEクラスを単独で抑えるから、秀吉とムッツリーニ、そして美波はそれぞれ部隊を率いて、混戦ポイントで時間を稼いで! 3人の得意科目の担任を、できるだけ早く見つければ、有利に戦闘を進められるから、よろしくね! それじゃ始めようか、僕らの下剋上を!」

 

明久の作戦を聞いたFクラスの全員はおうっ、と声を揃えた。今ここに、戦いの火蓋が切られたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「源氏からは助太刀を頼まれたけど、どうする? 代表は宏美だから、決めてほしいんだけど」

 

場所は変わってEクラス。どうやら平賀からの救援に答えるかどうかを吟味しているようだ。

 

「美子は平賀くんと仲が良いから、助けてあげたいという気持ちは私もわかるわよ? でも、それじゃ私達になんの利点もないじゃない」

 

言っている事は正論である。この戦争に協力したとしても、Eクラスには何の得もない。それなのに行動をするなんて馬鹿げている、というのが宏美の考えであり、それを聞いた美子はうぅっと弱々しい声をあげる。

 

その声を聞いて宏美はため息をついた。

 

「でも、美子の頼みだし、私も答えてあげたいわ。でも、50人全員を危険に晒すわけには行かないわ。私と美子、それとEクラスの上位数名をつれて参戦しましょう」

 

「あ、ありがとう宏美っ! じゃあ、早速出撃しましょう!」

 

美子は目をキラキラと輝かせながらそう言った。

 

宏美は美子、そこに8名の上位メンバーを連れて、Fクラスの教室を目標地点に定め、出撃した。

 

しかし、廊下を通ってFクラスに行くには、どうしても混戦ポイントに脚を踏み入れなくてはならない。そこで宏美は、迂回して非常階段を降り、正面玄関から再び校内に入り、Fクラスの正面階段から強襲しようと企てた。

 

非常階段付近は混戦ポイントからはかなり離れており、Fクラス、Dクラスの両者どちらもいなかった。足早に非常階段を降り、正面玄関まで移動した。

 

「これなら、すぐに戦争もおしまいになりそうね。平賀くんには感謝してもらわないとね」

 

宏美がそう発言し、正面玄関に脚を踏み入れた瞬間、階段から1人の生徒がゆっくりと階段から降りてきた。その隣には世界史の田中先生を引き連れていた。

 

「君達が、Eクラスの増援部隊だね。悪いけど、僕に見つかっちゃったからには、補習を覚悟しておくといいよ!」

 

その生徒の姿をしっかりと捉えた宏美と美子はその存在をすぐに理解した。そう、中学時代に尊敬の眼差しで眺めていたあの男子である。

 

「吉井……さん!?」

 

「あれ、僕のこと知ってるの? どこかで会ったことあるっけ?」

 

2人は、ただ遠くから見つめていただけである。明久はそんな2人を知っているわけもなかった。

 

「中学のテニス大会で、すごく活躍してたのを見てました……!」

 

「あ、もしかして僕が最初に出た大会のことかな? あのときに何か視線を感じるなぁとは思ったけど、もしかして君だったのかな?」

 

「た、多分そうだと思います。試合中も終わった後もずっと見つめていたので……」

 

「そっか、ありがとう。でも、今この場ではそんなのは関係ないよ! クラスのため、僕は全力で君達Eクラスの進軍を止めるっ! 田中先生、お願いします!」

 

「うむ、世界史フィールド、展開承認!」

 

田中先生の宣告で、辺りの景色が一変する。まるで電子世界に入ったかのような不思議な感覚にその場の全員が呆気にとられる。

 

先に召喚獣を出したのはEクラス側の生徒であり、10体の召喚獣が一列に並んでいた。

 

Eクラス上位8人:平均点数98点

 

中林宏美:115点

 

三上美子:103点

 

上位メンバーであるため、点数はDクラスの下位メンバーに匹敵している。その場の誰もが勝利を確信していた。しかし、その確信は一瞬で崩れ去った。

 

吉井明久:428点

 

Eクラスの全員が、驚愕を浮かべた。当然であろう、明らかにその点数はFクラスのものではなく、学年上位に余裕で入るようなものである。明久は武器の木刀を肩に置き、Eクラスのメンバーに挑発をかけた。

 

その挑発に乗ってしまった2人の生徒が、明久に突撃をした。その2人は日本刀に両刃剣という接近タイプの武器であり、左右から挟み撃ちのように明久を攻める。

 

寸でのところで明久はサッと後ろに避けた。その結果挑発に乗った2人の召喚獣は、お互いの武器が刺さりあい、その場に倒れていた。

 

Eクラス上位メンバー2名:戦死

 

「ごめんね、召喚獣の操作技術なら、僕は誰にも負けないよ?」

 

優しい声色ながらも自分の手を使わずに2人の召喚獣を戦死にした明久に、Eクラスのメンバーは逃げ出してしまった。その結果、フィールド外に故意に退出したとして、戦死扱いとなってしまった。

 

自分の手を使わずに、上位メンバーを全て戦死に追いやった明久が、ゆっくりと近づいてきて2人に話しかけた。

 

「今ならまだ助けてあげるよ? 僕も戦意が無い人を戦死に追いやるような事は趣味じゃないんだ」

 

それは、ここで降伏をしろというものと同義であり、その際には補習は免除される。普段の戦争で行うことはほとんど適用されることは無いが、相手が代表である際には使用することができる方法である。

 

「いいえ、残念だけど私達は仮にも代表と副代表。仲間を戦死にされて怖じ気づいて降伏するような、柔な精神は持ち歩いていないわ」

 

「だから、勝ち目がなくても全力で吉井さんを止めるために戦う!」

 

2人の召喚獣は先程の2人とは全く比べ物になら無いような動きを見せた。左右を交互に入れ替わり、明久に迫る。その途中で、美子は大きく横に移動した。

 

明久は美子の移動した先を横目で確認し、動き始めた。

 

ガキンッと武器と武器がぶつかり合う音が響く。宏美の武器であるテニスラケットの叩きつけを、明久は片手で持った木刀で防ぎ、空いている片方の手で宏美のラケットを奪った。そのまま宏美を蹴り飛ばし距離をとる。

 

「召喚獣の操作技術が私と全然違う……っ! いったい何故……?!」

 

「僕はね、学年1のバカに与えられる称号観察処分者っていうものをもらっていてね、1年の時から召喚獣の使用を許可されていたってだけだよ。だから他人より操作技術が上回ってるってだけだ……よっ!!」

 

そう言いながら明久は、突如飛んできた火の玉を宏美のラケットで打ち返す。

 

火の玉は美子の少し横を通過した。発動した本人である美子は、目を見開いた。

 

「うっそ、そんなことが可能なんて……! でも、例えあなたでも動き回っている人にそれを的確に返すことなんてできないでしょ!」

 

そう言って美子は、走り回りながら火の玉を連射した。その火の玉を明久は一度も当たることなく避け続けた。そして、丁度打ちやすいところにきた火の玉を打ち、ラケットを地面に置いた。

 

「なめてもらっちゃ困るよ! 僕と召喚獣は一心同体っ! 自分の実力と同じレベルのショットなら打てるよ。しかもただ一方向に走り続けるだけの単調な動き、僕が当てられないわけないでしょ?」

 

打ち返した火の玉は見事美子にぶち当たり、彼女は戦死した。

 

三上美子:戦死

 

中林宏美:83点

 

「美子っ!」

 

「ごめん、宏美……。吉井さんあり得ないくらい強い。力になれなくてごめんね……」

 

そう言って落ち込む美子に、明久は声をかける。

 

「んー、でも操作に関しては初めてにしてはよく動けてたと思うよ? 後は自分の召喚獣の情報をもっと知っておくべきだったかな」

 

「えっ、どういうことですか?」

 

美子の質問に明久は丁寧に答えた。

 

「えっとね、三上さんの召喚獣は魔法使いタイプの召喚獣で、詠唱することによって魔法を打つことができる。そして、その威力は中々に高くて厄介な存在。そこはわかると思うんだけど、実はデメリットがあって、魔法を使うたびに自分の点数を消費しているんだ。連射して沢山の点数を削ってしまったせいで、さっきは一撃で仕留められちゃったんだよ」

 

それを聞いて美子は驚いた。当然内容にも驚きはしていたが、何より召喚獣にとても詳しい明久に驚いていた。

 

「気になって、昔西村先生とかに聞いたってだけだよ。あ、後魔法使いは魔法の耐性もあるから、覚えておいた方がいいよっ!」

 

「なんか、敵なのにありがとうございます」

 

「敵以前に文月学園の生徒でしょ? 助け合うのは必要なことだから気にすることはないよ」

 

その言葉を聞いた美子はありがとうと口にして、鉄人に連行された。明久はそれを見届けると、視線を元に戻す。宏美は先程から1歩も動いていなかった。

 

「あれだけ隙があったのに、狙ってこないなんてびっくりしたよ」

 

「そんなことするわけないでしょ、仮にもテニス部よ? スポーツマンシップは弁えてるつもりよ」

 

明久は再びラケットを握り、宏美の方に歩いていった。今の宏美は丸腰であり、点数の差も歴然である。宏美は戦死を覚悟した。

 

しかし、明久は攻撃をすることなく、ラケットを宏美に差し出した。

 

「僕も、テニスをやっていたからね。君と同じくスポーツマンシップは持っているつもりなんだ。だからこれは返すよ」

 

宏美がラケットを受けとるのを確認すると、明久はさっきまでいた場所まで戻り、木刀を構えた。

 

「さあ、正々堂々といくよ!」

 

「……ええ、私も本気でいくわっ!」

 

2人は同時に駆け出し、再び武器と武器がぶつかり合う。点数の差があり、じわじわと宏美の召喚獣が押されてきている。そこで宏美は足払いを仕掛けた。しかし、それすらも、明久は容易に回避してしまう。

 

「今、目が一瞬下を向いたからね、僕ならそれくらいでもわかっちゃうんだよね」

 

体のバランスを崩している宏美に対して、軸にしているもう片方の足に、明久も足払いを仕掛けた。その払いはとても素早く、宏美は反応することができずにその場に倒れてしまった。

 

明久は木刀で突き刺すような構えをとった。宏美はそれを見て軽くため息をつき、首を縦に動かした。

 

明久の木刀は、宏美の首を貫いた。

 

中林宏美:戦死

 

フィールドは消滅し、明久は宏美に手を差し出した。

 

「良いガッツだったよ、お疲れさま」

 

「ふふ、さすがに勝てなかったわね。……ところで吉井くん、もうテニスは辞めちゃったの?」

 

「うーん、始めた理由がバカにしてたやつを見返すっていう私情で、それを達成しちゃったから中々やる気がでなくてさ……」

 

「……じゃあ、もうやりたくないという訳ではないのね? ならそ、その、私にテニス、教えてくれないかしら? あなたならきっと、顧問の先生より上手く教えられるわ。……私もやる気出るし、うん」

 

最後の方は小声で聞き取れなかった明久だったが、テニスをする理ができるのは普通に嬉しかったためにその誘いを受けた。

 

宏美は鉄人に連れられながら、ありがとうと明久に感謝の言葉を送った。明久は自分の口角が緩んでいるのを感じていた。

 

「さて、と。こっちは片付いたけど、本隊は無事かな? 助太刀しに行かなくちゃね」

 

明久は階段を登り、本隊のいる混戦ポイントまで走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

混戦ポイントはDクラスにより壊滅的になっていた。

 

「Fクラスの分際で俺達Dクラスをここまで抑えるとはな。だが、やはり平均の点数差は埋められなかったな」

 

Dクラスの人数は13人、Fクラスの人数は6人であり、ムッツリーニは保健体育の教師を捕まえることができずすぐに戦死してしまい、それにより分隊は壊滅してしまった。

 

秀吉、美波は得意科目の教師を捕まえ善戦していたが、ムッツリーニ部隊が全滅し多勢に無勢の状態になり、徐々に点数を削られ、数十点にまで減らされてしまっていた。

 

「くっ、まだわしらはやられるわけにはいかんのじゃ……!」

 

「ええ、退くわけにはいかないわっ!」

 

古典

 

木下秀吉:46点

 

 

数学

 

島田美波:37点

 

「はっ、お前らなんて一瞬で捻り潰してやるわっ!」

 

「おっと、悪いけどあんたらはここで終了だぞ」

 

大口を叩いていたDクラスの生徒が、一瞬で戦死となった。彼の横には、先程まではいなかった人物がいた。

 

「おお、佐久間殿! どうやら作戦は成功のようじゃな!」

 

「いーや、まだ姫路さんの方が終わってねぇ。まあここを制圧する頃には終わってると思うから、気にせず暴れるぜっ!」

 

数学

 

佐久間莉苑:475点

 

「なっ……!? 何者だ、お前は!?」

 

「何者っつわれてもなぁ……ただ暴れたいだけの“暴走兵器”っつうところか?」

 

そう答えながら、莉苑は自分の武器である双鎌を振り回しながら敵陣に突っ込んだ。その様子は先程彼が自称した通りの暴走っぷりであり、攻撃を食らったとしてもびくともせずにただ目の前の敵を切り刻んでいく。

 

先程まではおしていたDクラスの数学フィールドにいた5人は、為す術もなく戦死した。

 

Dクラスメンバー:戦死

 

佐久間莉苑:295点

 

「古典担当の俺らも数学フィールドに助太刀するぜ! さっきのでそれだけ削れていれば、余裕で仕留められるぜっ!」

 

古典的フィールドにいたメンバーが数学フィールドに入ってきた。普通はこうはならないのだが、今回の混戦ポイントは非常に狭く、フィールドが一部重なってしまい、フィールド間の移動が可能になってしまっていた。その為Dクラスのメンバーは片方の科目で危険になればもう片方のフィールドに逃げるという手を使い、Fクラスを壊滅寸前まで追い詰めていたのだ。

 

Fクラスもそれを行っていたが、逃げたとしてもすぐに戦死してしまうような点数しか持ち合わせておらず、圧倒的に不利な状況だった。

 

その移動してきたメンバーの1人が、莉苑を切りつけた。しかし、莉苑はびくともしなかった。

 

佐久間莉苑:284点

 

「なっ、なぜだ?! さっきはたった数回の攻撃を受けて200点程度減っていたのに……?!」

 

「あー、悪い、それ勘違いだわ。俺、400点越えの腕輪持ち。さぁ、もうわかったな?」

 

「う、腕輪発動の際の点数消費……か!?」

 

ご名答といわんばかりの笑顔で、攻撃をしてきたDクラス生徒を葬った。

 

「さて、かかってこいよ。俺を倒さねぇと、Fクラスには辿り着けねぇぜ?」

 

そう言うと、Dクラスの生徒の1人が笑いだした。

 

「悪いが、もうじきFクラスは終わる。先程伝令で裏の非常階段からEクラスがFクラスを目指して突き進んでいるという情報を得た。もう、お前らの負けは確定してんだよ!」

 

そう言うと周りのDクラス生徒も笑いだした。秀吉と美波はその言葉を聞いて顔を青くした。が、莉苑は冷静にFクラスの方を見ると、笑みを浮かべた。その方向には、今作戦の指揮官である明久がいた。

 

「申し訳ないけど、Eクラスの特攻部隊は僕が殲滅させてもらったよ!」

 

少し遠くにいるので、声を大にして発する明久。その言葉を聞いて、さらにDクラス生徒は笑いだした。

 

「お前1人でか? 笑わせてくれるなぁFクラスの雑魚がっ!」

 

そんな彼の下に再び伝令が届いた。その内容は、今明久が言った通りのことであった。笑っていた生徒達は顔を強ばらせた。

 

明久が混戦ポイントに到着し、召喚獣を出した。

 

吉井明久:415点

 

「こ、こいつも腕輪持ちだと!? Fクラスの戦力はどうなってんだ!?」

 

「あれ、俺の方が点数高いのな。何か意外だぜ」

 

「数学は得意科目じゃないけど、多分得意科目以外は全部これくらいの点数だと思うよ」

 

「はっはっは! さすがだぜ吉井さんよぉ! さあ、あいつらをぶっ倒してやろうぜ!」

 

そう言いながら再び莉苑は突撃した。しかし、さすがに相手もパターンを読んでいるようで、全員がバラバラの方向に避けた。

 

「避けやがったな、くそがっ!」

 

莉苑が避けた1人の走っていくと、辿り着く前にその生徒は戦死した。

 

何が起きたのかわからなかった莉苑は辺りを見渡すと、少し離れた位置に明久の姿を確認した。何かを投げたような格好をしており、莉苑の足下には木刀が落ちていた。

 

「すげぇぜ吉井さんっ! あんたは文武両道という言葉が一番似合う人間だぜぇ!」

 

そう叫びながら木刀を拾い上げ、明久に投げ渡す。

 

その木刀をキャッチした明久は再び木刀を投げる。その木刀はまたしてもDクラス生徒に突き刺さり、戦死に追いやった。

 

負けてられないとさらに熱くなった莉苑は、再び木刀を投げ渡し、突撃した。しかし、今回の突撃はただの突撃ではなく、しっかりと敵を見定めたうえでの突撃だった。1人、また1人と戦死していく。

 

気づくとDクラスの生徒は全滅していた。

 

「ふふ、呆気なかったね、佐久間くん」

 

「その通りだな。おっと、来たぜ、この戦争のキーマンがよ」

 

莉苑が指さす方を見ると、瑞希がDクラスに向かって歩いてきていた。後は明久が事前に瑞希に伝えていたことを本人が実行するだけである。

 

瑞希が明久達に気づくと、頭を下げてDクラスの扉をノックした。

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

瑞希がDクラスに入ると、教室にいた全ての生徒が不思議な顔をした。それもそうであろう、今は戦争中であり、そんな中でAクラスの生徒と思われる人物が入ってくるなんて、普通は考えられないであろう。

 

「あ、えっと姫路さん? こんな時にどうしたの?」

 

「え、えっと実は平賀くんに急ぎの用事がありまして……戦争中なのは重々承知なのですが、少しお時間をいただけないでしょうか……?」

 

瑞希は学年でもかなり天然だという事は周知の事実であり、今回もその性格が原因なのだろうと考えたDクラスの生徒達は微笑んだ。

 

「何の用事かはわからないけど、いいよ。廊下で話そうか」

 

自ら廊下に出ようと発言したことに対して、瑞希は笑いそうになってしまった。今回の芝居で一番怪しまれるであろうと思った廊下への呼び出しを自分から切り出してくるのが、あまりにも無用心であったためである。

 

瑞希は先に1人で廊下に出た。そして、明久達に親指を立てた。そう、この合図は戦争への勝利を意味していた。

 

「姫路さん、それで、用事っていうのは……」

 

「平賀くん、ごめんなさい。Fクラス姫路瑞希、平賀くんに物理で勝負を挑みます! サモン!」

 

「えっ、えっ!?」

 

訳もわからずに平賀は狼狽えた。自動で召喚された召喚獣の点数差は、およそ300点だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『試験召喚戦争はFクラスの勝利です』

 

そのアナウンスを聞いた明久達は、その場で飛び上がるように喜んだ。

 

「よう、作戦は上手く行ったようだな」

 

「坂本くん! ああ、無事に成功したよ」

 

雄二はサンキュと明久に告げると、平賀の前に立った。

 

「……わかってる。設備はお前達と交換する」

 

平賀は目に涙を溜めながら言った。自分が戦死したせいで設備が劣化してしまうのだ、責任を感じているのだろう。しかも、戦死の理由が自分の無用心さである。

 

しかし、雄二の提案は周りの誰もが考えてもいないものだった。

 

「いや、俺の目的は違う。俺らFクラスと不可侵条約を結んでほしい。そこの教室の外で盗み聞きしてるEクラス代表にもお願いしたい」

 

ガタッと扉が揺れる。気づかれたことに動揺して動いてしまったのだろう。その盗み聞きをしている姿は、先程までスポーツマンシップと語っていた人物の面影もなかった。

 

「………わかった。それで設備を守れるなら是非お願いするよ」

 

「私も、別に構わないわ。戦争をしたわけではないけど、代表の私は戦死しちゃったしね」

 

2人は納得し、Fクラスと不可侵条約を締結した。しかし、それに対してFクラスの生徒から苦情が飛んできた。

 

「せっかく買ったのに、なんで設備交換しないんだよ代表!」

 

「ふん、それはだな……交換してしまえばきっとお前達はそれに満足してしまうだろう? 俺らの目標はここじゃない。高みを目指すのならここは交換しないのがベストな考えだと思った、以上だ」

 

その言葉を聞いて、反対する人物はいなかった。きっと図星だったのだろう。

 

その日は詳しい条約内容は話さずに解散することになった。時計を見ると完全下校時刻ギリギリになっていた。皆が急ぎ教室に戻っていく中、明久は宏美に呼び止められた。

 

「これ、私の連絡先。教えてくれる日はこれで連絡してちょうだい。……待ってるから」

 

そう言って、宏美は走り去っていった。またしても最後の部分だけ聞き取れなかった明久だが、特に気にすることもなく、もらった連絡先を携帯に登録した。

 

「吉井くん……。あぁ、なんて可愛らしいんだ……」

 

それを遠くから見つめ、興奮している人物がいたが、明久は気づかずにFクラスの教室に向かって走り去った。

 

 

 

 

………to be continued




さて、今回から明久とオリジナルキャラクターの紹介を1人ずつこの後書きに書いていこうと思います。今回は、明久です。

名前:吉井 明久
性別:男
所属クラス:Fクラス
性格:普段はムードメーカー的存在であり、戦争時では冷静に分析し、策を講じる軍師的な一面も兼ね備えている。他人からの恋愛等の好意に気づかぬ鈍感である。
容姿:原作通りだが少し筋肉などは多めになっている
得意科目と苦手科目:現代文、日本史が得意で点数は500点を越える。苦手な科目はなく、満遍なく400点付近の点数をとれる秀才。
召喚獣の武器と見た目:原作通り
趣味:朝のランニング、料理、ゲーム、勉強、テニスなど
腕輪能力:未使用の為不明

何かありましたら追記します。

さて、1話で完結してしまったDクラス戦、ちょっとあっさりしすぎましたかね?少し長めに書いてほしいなどの意見がありましたらどうぞ声をかけてください。

※誤字脱字、修正点、矛盾点などありましたらご報告ください。
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