異形系個性 真・ゴジラ   作:⌒*(∴)*⌒ <滅尽滅相なの!

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ゴジラはでかい

神呉璽羅の肉体が持ち主の意識を失い、地に臥せる。

大質量を宿した巨体が崩折れた振動が地を揺らし、否応なく彼が死んだ事実を周囲に実感させる。

焦げるような匂いに、焼き切れた傷口から白い煙が漂う。

頭を失い自らの血で大地を濡らす神呉璽羅。

大量の血と肉が死臭を醸す。

 

それを見ても雄英の生徒達は信じらないという思いで一杯だった。

 

彼等は知っていた。

 

神呉璽羅の他の追随を許さない隔絶した個性を。

いっそ異常とすら言えるクラスメイトの力を。

 

無敵だと思っていた。

 

相手を圧倒的なパワーで一方的に蹂躙した攻撃力。

何十という攻撃を受けながらそれを意に介すこともない防御力。

プロヒーローであってもこれだけ破壊という分野に特化した人物はいないと断言できる戦闘力。

 

入学試験や個性把握テスト。

戦闘訓練といった舞台を経て、神呉璽羅の力にある種の畏怖や信頼を抱いていたのだ。

破壊の化身や暴力の象徴とも言える幻想を彼に重ねていたのだ。

彼等はヒーローの卵とは言っても十五、六歳の少年少女。

 

彼等は“人は死ぬという現実”を知らなかった。

どんなに強い個性を持っていたとしても人間である限りある日あっさりと死んでしまうという事実を知らなかった。

 

 

 

 

 

「ははは、これは傑作だ。あの脳無を殺ったガキだからどんな怪物かと思ったが、自分で自分を撃ち殺すなんてな……」

 

乾いた笑いが響く。

 

「なぁ先生、どういう気持ちだよ。大事に大事に守ってきた生徒が自分のせいで死ぬ。ヒーローなのに守れなかったんだ……なぁ!今どういう気持ちだよ!!」

 

自身の不甲斐なさに歯噛みする。

自分が守るべき生徒を守れなかった。

その事実に対して腸が煮えくり返る思いだ。

あいつにはその報いを受けさせたいと思わずにはいられない。

それでも相澤はそれを堪え、考えを巡らせる。

自分はヒーローで教師だ。

脳無が倒れたとは言え黒霧と死柄木は健在だ。

腕を折られ全身負傷した自分だけでは生徒全員を守りきれるかは相当怪しい。

今生きている生徒を第一に考えなければ全滅する。

自分の中の冷静な部分がそう警報を鳴らす。

 

「ははははははははははははは、は………さて、黒霧。今回はゲームオーバーだ。脳無は使い物にはならなかったし、教師も直に着く…生徒ひとりだけしか殺せなかったとはいえ十分だ。……今回は引こう…」

 

ひと通り哄笑すると彼等はあっさりと撤退の決断を下す。

 

命をスコアに。

殺しをゲーム感覚に語る彼等を止める術は相澤にはない。

 

そんな時だった。

 

地面が震え、赤き燐光が宙を満たした。

 

 

 

 

 

あぁ、いてぇ頭が割れそうだ。

暗いし熱いし痛い。

うるさいなぁ。

好き勝手に喋るなよ。

頭に響くんだよ。

ズキズキと走るような痛みが身体中を襲っている。

じくじくと身体中が痛む。

身体が熱い。

いてぇ。 気持ち悪い。

自分の中からなにかが出てきそうだ。

死ぬんだろうか。

こんなところで。

こんな奴に。

あぁ恥ずかしい。

世界中を敵に回し人類存亡を賭けて戦ったシン・ゴジラがこのザマか。

ミサイルでも核攻撃でも死なないと高を括って“個性”という未知を侮った愚か者。

俺はゴジラなのに。

キングギドラでもモスラでもないあんなヴィラン如きに殺されるのか。

あぁ恥ずかしい。

胸が痛む。

顔が熱くなる。

あれ? おかしいな。

痛い。

顔?

うぅ、身体中が熱い。

痛い。

顔は……あれ?

なんで……俺は……。

痛い。 痛い。痛い。痛いよ。

うるさいなぁ、今は考え事をしてるんだから黙っててよ。

俺は。

ゴジラは。

呉爾羅は。

あぁ、痛みがひどくて考えがまとまらない。

そういえば熱いし眩しいな。

お迎えかな。

痛すぎて身体の感覚ないし。

血も出てるかもしれない。

痛い。

熱い。

死ぬ。

死んでしまう。

だめだ。

ここで死ぬのはだめだ。

俺が死ぬのは仕方無い。

馬鹿やった報いだ。

借り物の力で驕り高ぶり、相澤先生の言葉を無視した俺に相応しい末路だ。

でもゴジラが、シン・ゴジラが死ぬのはだめだ。

シン・ゴジラがたった一人の悪党に殺されるなんて嫌だ。

こんなのは納得できない。

ありえない。

俺の愛したゴジラがこんな低脳ヴィランに殺されるなんて許せる訳がない。

あぁ、うん、わかった。

好き勝手に言っていた言葉がやっと聞き取れた。

生きろ、生きろと俺を急かす俺の側面。

よし、俺はゴジラになる。

数多の怪獣の頂たる怪獣王に。

繁栄の果てに産み出された最強の災厄に。

 

 

 

 

 

まずは揺れ。

次に光と音。

 

僕ら生徒は勿論、先生や襲撃しに来た筈のヴィランまでもが一様にその異様から目を離せなかった。

ヴィランが五メートルもない距離にいるのだから本来なら絶対にしなかったはずだ。

 

だがそんな常識が浮かぶ余地すらないほどにそれは異常な雰囲気を漂わせていた。

 

そこに存在するはひとりの生徒の遺体。

その筈だ。

 

だけどおかしい。

あの威圧を伴う巨体は頭を失い転がっていた筈だ。

頭を文字通り破壊されて死んでいた筈だ。

立ち上がってなどいなかった筈だ。

尾を天に掲げてはいなかった筈だ。

 

決して、あの爬虫類染みた瞳で僕らを睥睨してはいなかった筈だ。

 

傷口からは絶えず白い煙が立ち昇り、みしみしと怪音を響かせながら身体全体が膨張している。

3メートルあった巨体は4メートル5メートルと加速度的に巨大化していく。

隆起した背鰭は血のように鮮やかな燐光を発し辺りを照らす。

 

まさか、でも、やっぱりと様々な憶測が脳を駆け巡る。

 

彼は死んだ筈だ。

でも彼は立ち上がっている。

 

自らの攻撃で頭を砕いてしまった筈だ。

でも既に傷口は見当たらない。

 

でも、でも、でもと理解を拒んだ脳が繰り返す。

 

“死んだと思っていたクラスメイトが生きていた”という本来なら喜ばしい筈の情報なのに、僕には恐怖しか湧かなかった。

 

頭を失っても生きているなんて人間どころか生物ですらないんじゃないだろうか。

そう考えてしまう。

彼はクラスメイトなのに。

僕を庇ってくれたというのに。

そう、考えてしまった。

 

呉璽羅が咆哮する。

自分こそが絶対者であると高らかに宣言するかのように。

厳かな死刑宣告のように。

僕らの本能を揺さぶり支配する。

ヴィランとは比べようもない恐怖が場を満たし、意識が諦観と畏怖に塗りつぶされる。

 

この世のなによりも強大であり苛烈。

神聖ささえ感じるほどに恐ろしき力。

暴虐なる神罰。

冷徹なる神威。

 

絶望の象徴がそこにいた。

 

「…やっぱり……やっぱり神さんは生きています!死ぬわけなかったんです!彼が死ぬ筈ありませんもの!」

 

八百万さんの声が呆気に取られていた僕らの意識を一気に引き戻す。

 

「は??お前死んでたよな?黒霧にあの光線を跳ね返されて死んでたよな?黒霧が殺したんだからよぉ……何で…何で生きてんだよ!?何で立ち上がってんだよ!?死ねよ…死ねよォ!!」

 

言葉と同時に走り出す。

 

つい先程まで冷静に撤退を決めていたヴィランはそこにはない。

まるで予想外の事態に苛立ち、癇癪を起こした子供のような姿。

アレを見た後だと矮小にすら感じられる姿。

 

死柄木は、純粋な殺意を喚きながらアレを再び殺さんと腕を伸ばす――

 

 

 

 

 

死柄木の個性、崩壊は強力なものだ。

五指で捉えた物質を材質や強度に関わらず文字通り崩壊させる。

もし人体に触れればゴジラ細胞だろうが容易く崩壊させる恐ろしき『個性』。

 

それは十全に機能した。

 

神呉璽羅の細胞を崩し、壊した。

 

だが、それでもゴジラには届かない。

 

うじゅうじゅと崩壊したそばから増殖、再生、再構築する傷。

そしてそれすらも上回る速度で巨大化する肉体。

 

個性を十全に使いこなし、完璧なタイミングで使っても、ゴジラを殺すには至らない。

ゴジラの喉元には届き得ない。

 

それは単純にして覆しようもない理由。

 

最早10メートルを超えた巨体に対して、死柄木の個性が作用する範囲が小さすぎる。

 

圧倒的なサイズ差。

このただ一言に尽きるだろう。

 

そして一度に殺しきれないのならゴジラは再生を始める。

壊しても崩しても殺しても意味をなさない。

 

「GuGḡggÀAaaaaaaaaaaaaaa」

 

ゴジラの咆哮が再度地面を揺する。

怒りのままに吠え立てる。

 

今まで神呉璽羅にとって防御という概念はなかった。

自衛隊の機関砲や榴弾砲、誘導弾を物の数ともしない硬度を誇る皮膚を信じていたからだ。

これを貫けるモノなどない。

ましてや核攻撃でも死なないシン・ゴジラを殺すモノなど存在しないと信仰していたからだ。

強者による傲慢だろう。

でも、それは彼にとって当たり前だった。

モスラやギドラなどの怪獣が存在しない世界で、ゴジラたる僕に相対するものは国や国連などといった人類の叡智を結集したモノだと信じていたからだ。

たかが一個人。

たかが数十人に害されるなどと疑いもしていなかった。

彼がこの世に生を受けての十数年、彼を脅かす者など存在してはいなかったのだから当然だ。

 

緑谷を超える筋力に轟を超える制圧力に爆豪を超える火力に青山を超える貫通力に切島を超える防御力。

己が身に宿す怪物が、この超人世紀ですら許容できない異質だとわかっていた。

 

ゴジラという人類には重過ぎる力を背負い生きていた彼にとって敵とはそういうものだったのだ。

 

それが瓦解した。

 

『個性』という武器は自身を害し、時にはこの身を砕き得ると学習した。

 

だから進化した。

 

外敵から己が身を守る為に。

 

 

 

 

 

「死柄木、危ない!!」

 

その声と同時に、死柄木は空間を歪曲させられ放り出される。

間一髪、命を助けられ視線を上げると、そこにいるのは全身を赤く変質した光に覆われた神。

そして彼を彩るように抉れ、蒸発し、煙を上げるコンクリート。

まるで力ずくで線を引いたように彼とそれ以外を隔てる力。

 

「バリア?」

 

生徒が呟く。

もうヒーローだとかヴィランだとかは考えていられなかった。

 

今の防護は、完全に殺す気で放たれたものだ。

黒霧が咄嗟に引き戻さなかったら、アレに巻き込まれ蒸発することなど疑いようがない。

そう。

 

端的に言って、彼は正気を失っていた。

判断がつかないのか、意識がないのかはわからなくともその事実が彼等の選択肢を奪う。

 

もしかしたら今の彼には、敵味方の区別がついていないかもしれない。

もしかしたら、彼は狂ってしまったのかもしれない。

もしかしたら、彼はもう死んでしまったのかもしれない。

 

現実感のない光景が彼等に行動を許さない。

 

いつ暴発してもおかしくない兵器を前に動くことができない。

 

ずしん、と神が一歩を踏み出す。

どこを見て、何を考えているかもわからない瞳で歩き出す。

15メートル程に巨大化した身体を揺すり、尻尾を天に掲げながら歩みだす。

 

「お、おい!?神!?神呉璽羅!?」

 

聞いているのかいないのか、相澤の言葉を無視しながら呉璽羅は歩みを止めない。

木をへし折り、コンクリートを砕き、USJの壁を打ち壊し、街を目指そうとしたところに彼は現れた。

 

「あぁ、もう大丈夫――

 

ネクタイを緩め、巌のような身体で拳を固める。

 

――何故かって?」

 

見るものを安心させる余裕を見せて、正面から相対する。

 

「私が来た」

 

平和の象徴は、怪獣王の前に姿を現した。




・神呉璽羅

個性『シン・ゴジラ』→ゴジラ
生まれた時から溜め込んだエネルギーを放出した御陰か身体が軽い。もう何も怖くない。

・緑谷

クラスメイトが頭を砕かれたと思ったら巨大化していた
な…何を言っているのかわからねーと思うが僕も何をしてたのか わからなかった…頭がどうにかなりそうだった…
超再生だとか衝撃吸収だとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

・八百万百

『圧倒的力』に対する信頼→『圧倒的力』に対する信仰

・相澤先生

俺の生徒は人間なのか………

・死柄木

話が違うぞ先生!!!

・黒霧

ちょとsyレならんしょこれは

・他生徒

頭砕かれてピンピンしてるとかこっわ!近寄らんとこ……

・モブヴィラン①

ホームランされて死にそう

・モブヴィラン②

もうヴィラン辞める!!

ゴジラ君の次の敵

  • 敵などいらない
  • そこにAFOがいるじゃろ
  • 他の怪獣個性出せ
  • もうモノホンの怪獣出せや
  • 神君のヴィラン墜ち。人類敵対!!
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