希ハッピーバースデー!
今回はリクエストをいただきました!
感謝です!

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東條希生誕祭2018

「──さあ! 希! 出かけるわよ!」

玄関のドアを開け放ち、絵里が声高に叫んだ。

「絵里、うっさい」

「お、二人共いらっしゃい。まずはお茶にしよか〜」

二人に手を振った希は、マグカップを見せる。

「え、出かけないの……?」

肩透かしを食らったような絵里に、

「そんな焦る事ないじゃないの。今日一日たっぷりあるんだから」

にこはさっさと靴を脱いであがってしまう。

「それはそうだけど……せっかく久しぶりに会ったのに……」

「だからこそ、やん? まずは近況報告せんとな〜」

「……確かにそうね。希の言う通りだわ」

「チョコレートも買っておいたんよ?」

「ホント⁉︎ 食べる!」

「……相変わらず、丸め込むの上手いわねぇ」

にこの呆れ顔に、

「にこっちだってあしらい方上手やん。それに」

「それに?」

「──それだけ、みんな変わってないって事やん?」

希はウインク。にこは肩をすくめ、

「希は策士っぷりに磨きがかかった気がするわ」

「あ、ひどい」

 

 

「──ほー、にこっち、留年してなかったんやなぁ。意外」

「ぬぁんでよ!」

「にこ、私達いなくて本当に大丈夫なの? ちゃんと勉強してる?」

「絵里の場合、冗談なのか本気なのか分からないわ……。それに、専門学校だって言ったでしょ。そう簡単に留年してたまるか」

近況報告と言いつつ、にこをからかう二人。にこは若干げんなりしながら、お菓子をつまむ。

「あっ、にこ! それ私が食べたかったのに!」

「ふふん、食べた者勝ちよ」

「わざわざ手元に寄せておいたのよ⁉︎」

「にこの手の届く範囲だったのが運の尽きね」

「……もしかしてわざと?」

「えー? にこ分かんな〜い」

「……じゃあいいわ。残りは私が貰う!」

「ちょ、キープは卑怯よ!」

「性悪なチビっ子相手なら仕方ないわ」

「誰が性悪なチビっ子だ!」

騒ぐ二人を見ながら、希は小さく笑う。

それに目ざとく気付いたにこが、怪訝な視線を向ける。

「どうしたのよ。急に笑って」

「チョコレート美味しかったの?」

見当違いな疑問を飛ばす絵里に、にこが息を吐く。

「そんな訳ないでしょ……。いつからそんな天然キャラになったのよ」

「いやー、にこっちも絵里ちも、やっぱり変わらんなーと思って。別々の大学に進んで、あんまり会えんくなってしまったのにな〜」

マグカップを揺らしながら、希は小さく笑う。

「何よそれ、当たり前じゃない。卒業してからまだ何年も経ってないわよ」

「でも環境が変われば、心境の変化だってあるやん?」

「アイドル研究部を立ち上げて、みんな辞めて、最後の一年をμ'sとして駆け抜けたにこが、環境が変わったくらいでどうにかなると思った?」

「ん〜、そう言われると、確かにそうやんな」

「でしょ。にこの精神はそんなにヤワじゃないわよ」

「ホントにこっち、何も変化ないもんな〜。──背も胸も」

「おい」

にこがらしからぬ低い声を出した瞬間、

「──そうよ!」

突然、絵里が立ち上がった。

「うわビックリした。何よ急に……」

「絵里ち、どしたん?」

元生徒会の相棒として慣れっこだったのか、希は動じる事なく訊ねる。

「こんな事してる場合じゃないわよ! 今日という日は今日しかないんだから!」

胸を張っていい知った絵里に、

「哲学やん?」

「せっかく今日の為に、色々と計画して準備してきたんだもの! にこと一緒に!」

ビシッとにこを指差す絵里。

「……ほ〜、にこっちも?」

「……何よその目は」

「いやー、ウチにはそんな事一切言ってなかったのになって思っただけよ? 誕生日なんていつも通り、とか言っとった気がするな〜」

「うっさいわね! サプライズよサプライズ!」

にこは誤魔化すように立ち上がると、手早く空になった食器を片付ける。

「そんくらいウチがやるよ〜」

「いいから。希は出掛ける準備してきなさい」

にこはしっしと手を振ると、有無を言わせずキッチンへ向かってしまう。

「ありゃ、にこっち優しいやん」

「ふふっ。──にこ、どうしたら希に楽しんでもらえるか何度も相談してきたのよ?」

「へー、にこっち可愛いとこあるやん」

こっそり耳打ちした絵里に、

「余計な事言ってないで手伝いなさい絵里!」

にこから声が飛んだ。

「──あと、にこが可愛いのは当たり前でしょ〜」

「にこっち、そろそろそれキツいで?」

「どういう意味よ!」

 

 

 

 

「──で、結局どこ行くん?」

準備を終えた希は、靴を履きながら二人に訊ねた。

「色々よ。一日予定詰め込んであるんだから」

「全部、到着してからのお楽しみよ」

にこと絵里は悪戯っぽく笑い、はぐらかす。

「む……そう来たか。それなら、ウチの占いとカンで当ててみせるやん」

希は愛用のタロットカードを取り出す。

「当てられるもんなら当ててみなさいよ」

にこも勝気な笑みで腕組みすると、

「じゃあ、希が当てられたらお昼ご飯は私達の奢りね。もし外したら……その時は分かるわね?」

絵里もそれに乗っかる。

「……上等やん。ウチの本気、甘く見ない方がいいと思うで」

希も希で不敵な笑みを浮かべると、タロットカードに手を置く。

「──あ、でも先にこれだけ言わせてもらうわよ」

「そうね。それが先ね」

急に真面目なトーンで切り出すと、にこと絵里は一度目配せ。小さく頷くと、同時に息を吸う。

「?」

何事かと身構えた希に、

「「希、お誕生日おめでとう!」」

二人は取り出したクラッカーを盛大に鳴らす。

「……へっ?」

「まずはサプライズ成功ね」

「今日一日、休む暇ないくらい全力でお祝いするつもりよ。覚悟しててね」

「…………」

頭にクラッカーのテープを乗せた希は、

「……もう、そんな事言われたら、楽しみすぎて占いどころじゃないやん」

ゆっくりはにかむ。

「ありがと、にこっち、絵里ち」

 

 

 

 

「──あ、クラッカーのゴミはちゃんと片付けてな?」

「「はーい」」


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