ハリー・ポッターと合理主義の方法   作:ポット@翻訳

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いろいろ盛り合わせのおまけ編です。今回だけは、ハリー・ポッターですらなくなりました。
翻訳者が知らない作品を元ネタにしている部分は飛ばしましたのでご了承ください。NARUTO(漫画)とマトリックス(映画)のネタバレがあると思います。


おまけ
64章「オマケファイル四——いろいろな世界で」


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論理隠れの里

 

「分身を百体以上出現させるのに、どれくらいの計算能力が必要だと思う。」  うちは一族きっての秀才が切り捨てるように言う。 「『まぐれ』なんて言っても何の説明にもならないんだよ。そういうのは、不都合なデータを無視したがるやつが使うことばだ。」

 

「まぐれでないなら何なのよ!」  サクラはつい声を荒げてしまったが、論理隠れの忍者らしい冷静な口調にあらためようとした。憧れのサスケにバカだと思われないように。 「そう、たしかに、あれだけの数の影分身の術をするにはものすごい量の計算能力がいる。 はっきり言って超知性の領域でしょ。 なのにナルトはたんなる落ちこぼれ。 超知性はおろか上忍にもなれやしない!」

 

サスケの両目が知輪眼を起動したときのように光った。 「事実として、ナルトは独立して行動するクローンを百体出現させることができる。それだけの思考力はあると考えざるをえない。 ただ、ふだんはなにかが邪魔をして、本来の計算能力を発揮できていないんだ……。たとえば、精神が内戦状態にあるとしたら? とにかく、ナルトが超知性につながっているかもしれないと示唆する証拠がひとつできた。ナルトはおれたちと同じ新米下忍で、十五歳だ。十五年まえにあったことといえば?」

 

サクラは一瞬考え、記憶をさぐり、理解した。

 

十五年まえの〈九脳の妖狐〉の襲来。

 

白く小さな体躯、大きな耳と太い尻尾、真ん丸の瞳。肉体的にはただのキツネで、火を吹くのでもなく、目から光を出すのでもない。チャクラもなく、それ以外の神秘的なちからもない。ただ知性だけは人間の九千倍以上あった。

 

その襲撃で何百人もの人が命を落とし、家屋の半数が倒壊し、論理隠れの里そのものが壊滅しかけた。

 

「〈九脳の妖狐(キュウベエ)〉がナルトのなかにひそんでるっていうの?」  そう口にしてからすぐに、サクラの脳はその説から自然にみちびきだされる結果にたどりついた。 「もしそうなら、ソフトウェア的不整合が発生する。だから、ふだんはあれだけマヌケなのに、影分身百体をコントロールできたりもする。うん、そうか。たしかに……理屈としてはいい線いってるのかも……」

 

サスケは傲然とした表情で軽くうなづいた。自分はだれに言われなくとも自力でそこまでたどりついた、と言いたげだ。

 

「ねえ……」  何年も論理と精神の鍛錬が功を奏し、サクラはなんとかパニックにならず、叫びだすこともなく、実用的な方策を考えだすことができた。 「これって……だれかに報告したほうがいいんじゃない? 具体的には、あと五秒くらいのうちに。」

 

「大人たちはもう知っている。」とサスケは無感動に言う。 「ナルトへのあつかいを見れば、歴然としている。 いま考えるべきことは、うちは一族の全滅とこれがどう関係するか……」

 

「ぜんぜん関係しそうに思えないけど——」とサクラが言いかける。

 

「なにかある!」  サスケはかすかに必死さをおびた声になった。 「おれはイタチはなぜあんなことをしたのか知りたかった。それが分かれば()()()が説明される、とイタチは言っていた。 きっとこの件も、その一部なんだ!」

 

サクラはこっそりため息をついた。 イタチはサスケを妄想性人格障害にしようとしているだけじゃないか、というのが個人的な推測だった。

 

「おーい、おまえら。」と耳の無線受信機から先生の声がした。 「波の国の里で橋をかける工事を前からやってて、いくらやっても失敗してだれにも理由がわからないんだそうだ。 正午に門のまえに集合。 Cランクの分析任務だが、そろそろ任せてもいいと思ってな。」

 

(著者より:その後、これにヒントを得て、Velorien作『Lighting Up the Dark』というファンフィクションが書かれました。)

 

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Fate/sane night

 

I am the core of my thoughts

体は思惟で出来ている。

Belief is my body

And choice is my blood

血潮は選択で心は信念。

I have revised over a thousand judgments

幾たびの判断を越えて変転。

Unafraid of loss

損失を数えず、

Nor aware of gain

利得を関せず。

Have withstood pain to update many times

Waiting for truth's arrival.

更新の痛みに耐え、真理の到来を待つ。

This is the one uncertain path.

わが道に確実性は不要ず。

My whole life has been ...

Unlimited Bayes Works!

この体は、無限のベイズ則で出来ていた。

 

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ジャスミンと魔法のランプ

 

あらためて浮浪者のすがたになったアラジン。悲しげに、しかし覚悟を決めた表情で、宇宙的なスーパーパワーを持つジニーに最後の願いを言おうとする。友だちを助けるためならせっかく得た富も手ばなそうと心に決めた様子だ。 「ジニー、三つ目の願いは、きみを自由に——」

 

王女ジャスミンは口をぽかんとあけて、信じられないといった表情でそれを見ていた。彼女は体が硬直しそうになるのを抑えて、アラジンが願いを言い終えるまえになんとかランプを奪い取った。

 

「アラジン、あなたっていい人だけど、やっぱりバカね。 ジャファーがこのランプに触れたとき、願いを三つもらっていたのを見ていなかったのかしら——ああ、それより。 ジニー、わたしの願いを言うわ。だれもが若く健康でいつづけられますように。死にたくない人はだれも死ななくてすみますように。全人類の知能指数が毎年一ポイントずつ増加しますように。」  そう言ってからジャスミンはアラジンにランプを投げて返した。 「さっきのつづき、終わらせなさい。」

 

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現実世界へようこそ

 

モーフィアス:わたしもそう簡単には信じられなかった。だが実際に、死体が液体にされチューブを通して生者の栄養とされるところをこの目で——

 

ネオ:ちょっと失礼。

 

モーフィアス:どうした?

 

ネオ:ずいぶん我慢しましたがね、いまのはさすがに聞き捨てならない。 人体はエネルギー源として非効率すぎる。発電所のタービンの温度が下がると、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効率は()()する。 人間が食べられるような食料があるなら、人間に食べさせるより、たんに燃やしたほうが効率よくエネルギーが得られる。 生きた人に食わせるために、死体を食料にする? 熱力学の法則くらい、聞いたことないんですか?

 

モーフィアス:きみこそその熱力学の法則というのをどこで聞いた?

 

ネオ:高校理科の授業をすこしでも受けてれば、だれでも知ってることですよ!

 

モーフィアス:その高校というのはどこにある?

 

ネオ:……

 

ネオ:……〈マトリックス〉のなか、か。

 

モーフィアス:マシンどもは、たくみに嘘をつく。

 

ネオ:……

 

ネオ(小声で):じゃあ、ほんものの物理の教科書はどうなってるんです? 見せてくださいよ?

 

モーフィアス:そんなものはない。この宇宙は数学にしたがわない。

 


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