ハリー・ポッターと合理主義の方法   作:ポット@翻訳

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99章「それぞれの役割——余波」

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その十日後、一頭目のユニコーンの死体が〈禁断の森〉で見つかった。

 

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原作品の著者:J. K. Rowling

ファンフィクションの著者:Eliezer Yudkowsky

 

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〔訳注:99章の内容は以上です。「最後の敵」編も以上で終わりです。諸般の事情で、64章にあったオマケの一部が未翻訳だったのですが、その一部を翻訳してここにおいておきます。〕

 

64章「オマケファイル四——いろいろな世界で」

 

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(ライオンと)魔女と衣装だんす

 

ピーターは(いぶか)しげな目で野営地を見渡しました。周囲には、弓をもつケンタウロスや両刃刀(ダガー)をもつビーバーや鎖帷子を着たしゃべるクマたちがいます。ピーターはその指揮官なのです。たしかに伝説の〈アダムの子ら〉の一人ではあり、自分でもナルニアの〈王〉であると言ってしまったからしかたないのですが、実際には野営のことも武器のことも夜警のこともよく知りはしません。 しかし周囲の皆は、ピーターの実力を信じて疑っていないという顔をしています。こうなれば自分でもその皆の判断を信じるしかありません。味方を信じずにだれを信じればいいというのでしょう。

 

「これが味方でなく敵だったら怖く見えているだろうし。でも、これで……〈魔女〉に対抗できるのかなあ。」とピーターは言いました。

 

「もしかしてだけど、その謎のライオンさんがこの場にやってきて一緒に戦ってくれたりしないかな?」 とルーシーが動物たちに聞こえないように小声で言います。 「ライオンさんも、〈アダムの子ら〉についていけ、なんて言い残すより、ただここに来てくれればよかったのにね?」

 

スーザンが首を横に振って、背中の魔法の弓を揺らしました。 「そんなライオンみたいな人がほんとにいたら、〈白い魔女〉がこの国を百年も冬にしているのをほっておいたはずがないでしょ?」

 

「わたし、すごく変な夢を見たの。」とルーシーがいっそう小さな声で言います。 「その夢のなかでは、わたしたちが動物を指揮する必要も戦わせる必要もなく、ここに来た時点でもうライオンが先に来ていて、そのライオンが全軍を率いてエドムンドを救出しに行ってくれて、わたしたちはただその背中に乗って付いていくだけでよくて、激戦の結果ライオンが〈白い魔女〉を倒してくれる……」

 

「その夢になにか教訓は?」とピーター。

 

「さあ。」と言ってルーシーは目をぱちくりさせます。 「なんにもならないことをしているような感じの夢だった。」

 

「それはナルニア国からの——」とスーザンが言います。「それとも、ルーシーの夢からの——メッセージなんじゃないかしら。もしそんなライオンみたいな人がいたとしたら、()()()()()()いる意味がなくなっちゃう、って。」

 




閑話休題。次回、第100章ももうすぐ投稿します。

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