柱なんてさっさとやめたい。   作:いろはにぼうし

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参.奥様へ。旦那様の素敵な所を教えてください。

十二支 桜花:・・・・・。

十二支  兎:・・・。え? 桜花? 嘘でしょ? 無いの? 一個もないの? 唯の1つも?

十二支 桜花:・・・皆さまが見てる前では。そのう。恥ずかしいので・・、また・・今度・・・二人きりの時に・・。

十二支  兎:あ、手ぬぐいは結構です。鼻血なんてすぐ止まるので。


十二支 兎は○○なんて行きたくない。

大正○○年 ●月φ日。

 だいぶ暑い季節になった。

 強い日差しが肌を顔を焼き、冷奴や素麺が美味しい季節。

 つまり、時分は夏である。

 

 夏になると、なぜか元気になる奴が2人。

 

 「兎殿!! 暑いな!! 実に暑い!! こんな日こそ鍛錬などどうだろうか!!」

 

 「おーう。地味派手兎。すこし涼ませろ。茶もよこせ。祭りの神に献上しろ」

 

 帰ってくんない? 

 杏寿郎、宇随君。

 

 

 煉獄 杏寿郎。

 炎の呼吸を使う炎柱。柱の中でも指折りの実力者だ。

 もともと、オレとも交流が深い奴でもある。その件については基本無学で12の呼吸を完成させたオレが、一度だけ教えを請うた人物と深い関係があるのだが・・・それについては、またの機会に記すとしよう。

 あと、何故かは知らないがいつもいつもオレを鍛錬に誘う。柱って忙しいはずなんだが。

 いや、誘うのは別にかまわないんだよ杏寿郎。

 でもこんな暑い日にはお前と居たくないんだ杏寿郎。

 暑苦しいもん杏寿郎。融通効かないもん杏寿郎。

 そんな杏寿郎はオレの心境を察したのか、一言。

 

 「うむ! オレには兎殿の考えていることがわかるぞ!! 長い付き合いだ!!」

 

 おお。

 

 「今日は汗を流したいと思っているだろう!! 天気もいい!! これは素晴らしいな!一手指南を願いたい!!」

 

 

 二度とオレの考えていることがわかるなんて言うなよ?

 そう釘を刺すと、元気よく「わかった!」と返事が来た。たぶんわかってない。

 

 視線を宇随君に移す。

 宇随 天元。忍ぶことをどこかにおいてきたような、元忍の派手派手音柱。

 まず恰好が派手。

 言動も派手。

 なんでか日輪刀も派手。ってか、それホントに日輪刀? 

 二本差しだし、変な装飾ついてるし、でかいし。

 昔、宇随君はオレに自分の日輪刀を見せながらこう言った。

 

 「驚けよ地味兎。オレの日輪刀は派手に特別製だ。振りぬけば切った場所が爆発する!」

 

 おおう。

 あの時おれはきっと、生まれて初めて「おおう」なんて情けない声を出した。

 爆発て。あのね宇随君。これだけは言わせてもらっていいかな?

 「刀」なんだよ宇随君。日輪「刀」!

 日輪兵器じゃなくて、日輪刀!! 刀は刀のままでいさせてあげようよ。

 

 「いや、それはお前だから言えることだっつーの」

 

 どういう意味さ。そもそも宇随君なら普通に鬼の首斬れるでしょ。

オレは超頑張って鬼にばれないように斬ったりする。

胡蝶ちゃんは首を斬るだけの力がないから、毒で殺す。

宇随君はさすがに元忍びというだけあって足も速いし、力も強い。

この間柱の皆でやった腕相撲大会で、二位の成績だったからね。

ちなみに一位は岩柱の悲鳴嶼さん。あの人怖い、苦手。

 

ちなみに補足だが、オレはその腕相撲大会に参加していない。桜花が嫌がったのだ。

理由を聞いても教えてくれなかったが、後でこう言っていた。

 

「蜜璃さんとしのぶちゃんが不参加の日でしたら、やってもいいですよ、腕相撲」

 

 

 すこし顔がにやけた。

 

 

 そんなことを思い出していたら、また顔がニヤついてしまったのかもしれない。

 きもちわりぃぞ、と宇随君に言われた。

 傷ついた。

 ふかく傷ついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・というか、宇随君。君本当は何しに来たの?

 

 

 杏寿郎が襲撃・・じゃない、家に遊びに来るのは、まぁ実はよくある話。

 でも宇随君が三人のお嫁さんを放ってわざわざオレの所にくるわけがない。

 三人の嫁さん。耳を疑う単語だ。

 でも実際宇随君は三人の女性と結婚している。

 いつも落ち着いた雛鶴さん。

 いつも勝気なまきをさん。

 いつもおっちょこちょいな須磨さん。

 須磨さんとは、茶飲み友達。

 

 みんな魅力的な女性だ。宇随君にとっては、1人1人が俺にとっての桜花なのだろう。

 

 ん? 三人がそれぞれ、俺にとっての桜花・・・。

 三人、桜花・・。

 桜花が・・・三人・・・。

 

 

「兎さん、お帰りなさい。お夕飯の支度が出来ていますよ、ささ、どうぞこちらへ」

 

「兎さん、お帰り! さすが桜花の旦那様だ。ははっ! な、なんだよ! こ、怖くなんかなかったさ!! 寂しくなんて、なかったさ!!」

 

「うええええええええん!! 兎さん、桜花は、桜花は心配でぇえええ!!うわぁあああああああん!! 兎さんがああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

楽園か、ここは。

 

いかんいかん。話が脱線してしまった。宇随君の話にもどろう。

 

 

宇随君の話は、鬼殺隊としては喜ばしい状況なのだろうが、オレ個人としてはあまり聞きたくない話だった。

 

すなわち、十二鬼月。それも上弦の鬼の情報だった。

上弦の鬼。キリギリス直属の鬼、十二鬼月の中でも・・・

 

「兎殿!! 鬼舞辻だ!!」

 

失礼。ありがとう杏寿郎。

キナガシ直属の鬼、十二鬼月の中でも最強と謳われる鬼たち。ここ100年、鬼殺隊が彼らに勝利したとの記録はない。彼らについて開示されている資料をあさると、必ず行きつく記録がある。

 

 

 

 

歴代の柱。彼らの殉職の記録である。

 

 

 

 

 

怖いよ、超怖い。

あれ、死因まで事細かに書いてあるの。昔軽はずみに読んで後悔したわ。

 

そんな上弦の鬼が現在、遊郭に潜伏している可能性がある、という情報が入ったらしい。

それが真実なら、これほど厄介なことはないだろう。

夜になれば、役人たちがはめを外しに遊郭に足を運ぶ。

花街は夜に命をともす街。

鬼からすれば格好のエサ場だ。

 

すぐに報告して、強い柱に行ってもらおう。

杏寿郎、どうよ?

 

「うむ!! お館様の命とあればすぐにでも向かおう!!」

 

良い心がけだ杏寿郎。ただし、ばれないようにするんだぞ。ばれたら周りにどんな被害が出るかわからない。

 

「もちろん承知の上だ!! ところで兎殿、宇随殿、一つ聞きたいのだが」

 

そう言って杏寿郎は真っ直ぐにこっちを見つめてきた。

オレはお前を信じている。

お前は必ず生きて帰ってくるだろう。

そのお前が、そんな目を・・。

任務遂行にあたり、何がそんなに気になると言うんだ、煉獄 杏寿郎!?

 

「遊郭とは、何をする場所なのだろうか!?」

 

オレと宇随君は、おもいきりずっこけた。

 

「おい、煉獄!? 本気か!? 派手に本気で言ってんのか!?」

 

「うむ!! オレは柱として、常に全力で在りたい!!」

 

「心意気じゃねぇよ馬鹿!! 心じゃなくて頭だ! 頭の中の事を言ってんだよ!!」

 

杏寿郎・・・。初めてお前が眩しく見えたよ。宇随君、オレ達はいつからこんなに汚れてしまったんだろうか・・。

 

「うるせぇ!! ってかお前何しれっと自分は関係ないみたいな空気感出してんだ!!」

 

お前こそ黙れェ!! 上弦の鬼なんて冗談じゃねーぞ! いかない!! オレは行かないぞ!!

 

「・・・そうか。煉獄はこの有様だ。とても同行できそうにねぇ」

 

「宇随殿! 俺は全身健康だとも!!」

 

「今回の潜入で鬼が派手に尻尾を出した場合、即戦力が必要だ。オレはお前は適任だと思ってる」

 

いやおかしいだろ。

弱くて、既婚者。

 

ほら、上弦の鬼がでる遊郭に行く理由がどこにもあらしまへん。

 

 

「そういえば、まきをが今度お前の嫁に会いたいと言っていた」

 

え? ああ、うん。仲いいもんね。あの二人。

ねぇ、宇随君。なんでそんなに悪い顔してんの、ねぇってば。

 

「派手にどうなるだろうなぁ? まきをが一言、お前が任務と偽って遊郭に行った、なんて言っちまったら・・・」

 

 

 

祭りの神よ!! 

どうか、どうかあなたと共に悪鬼羅刹を打ち取るべく、ここに私も旅路に加えて頂きたい!!

 

 

 

 

 

 

こうして、俺は宇随君と遊郭に向かう事になりましたとさ。とほほ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兎殿!! それで結局遊郭とは一体・・・」

 

杏寿郎。お前は留守番だ。

 




大正コソコソ噂話(偽)

 兎君は女遊びも博打も全然やらないよ。
 お金がもったいないから、って言ってるけど、
 ホントは桜花ちゃんに怒られるのが怖いんだ!!
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