もう一度だけ、立ち止まるオレを許してほしい。
※この話の最後にある地名が登場しますが、実際の当時・ならびに現代の地名とは一切関係のない架空の地名になります。
ご了承ください。
あの日以来、考えないことはない。
あの時、俺ではなくカナエが氷人形を追っていれば、カナエは死なずに済んだのではないか。
あの時、俺がもっと早く氷人形を砕いていれば、カナエは死なずに済んだのではないか。
あの時、そもそも『必ず戻る』なんて言わずに、一緒に逃げていれば。
あの時、あの時、あの時。
全部、仮定の話。
現実は違う。
オレの所為で、カナエが死んだ。
現実はそれだけだ。
もう、変えられない過去だ。
しのぶちゃんを、桜花を、蝶屋敷に住む皆を悲しませた。
それでもオレは、いまだ柱を名乗っている。
どうしてだ、俺は弱い、弱いんだよ。
弱いから、俺は彼女を守れなかったんだろう?
「君の所為じゃない、と言っても。君は自分の所為だと思うのだろうね、兎」
お館様は、俺にそう言った。
「今君が打ちのめされ、無力感にさいなまれている事は、刀を持てない私でもわかる」
「でも、だからこそ君は柱でいるべきなんだ」
わかりません、全然わからない。そう言ってうずくまるオレにお館様は続けた。
「君は柱になるとき、自分の『業柱』という呼び名について私にこう言ったね。『業』とは、技術や技の事を指しているのではない。この呼び名は、『業(ごう)』を指している、と。鬼を斬ることを、そんな風に解釈した剣士は君が初めてだった」
「最初聞いた時、私は戸惑ったよ。君の言葉には復讐心も、憎しみも感じなかった。そこにあったのは罪悪感だけだ。誰かを救うために鬼を斬る。君は、その事さえ苦しく感じていたんだね」
「でもだからこそ、君は鬼殺隊に必要なんだ」
「兎、怖いなら、私や皆が君の手を取ろう。それでもやめたいなら、なんどでも言ってくれて構わない。けれど、君が自らの業の果てに見る景色を知るまで、簡単には受け取れないよ」
「その方がきっと、君にも、カナエにとってもいいはずだから」
宇随君が、昔オレに言ったことがある。
お館様は、自分を肯定してくれた。生き方を変えてくれた。
だけど、そんなお館様の言葉の意味を、オレはいまだに理解できていない。
やめてください。
オレにそんな言葉をかけないでください。
怖いだけです、オレは弱いんです。
オレが柱でいたら、救える命が減るんです。
柱合会議から数日。
オレは蝶屋敷にて療養中の桜花の見舞いにやって来ていた。
桜花の傷は肩の刺し傷を始め深かったが、しのぶちゃんの治療の甲斐あって大事には至らなかった。
ただ、それでも心配なものは心配なので。
オレはいま付きっきりの看病をしていると言う訳だ。
「はい、桜花。あーんして」
「う、兎さん。桜花は自分で食べられますから、大丈夫ですから」
「ダメだって、傷に響いたらどうするんだよ。はい、あーん」
「‥あ、あーん」
恥ずかしがりながら目を背け、小さな口を開ける桜花。
やっべぇ、超かわいい!
「美味しい?」
「…味が、わかりません」
「兎さんに食べさせてもらってるから…、ドキドキしちゃって。味が、わかりません」
ああああああああああああっ!!女神だものォォォォ!!
オレの嫁が女神すぎるんだけどぉぉ!!わっしょぉいー!
「菊。あんな大人になるなよ」
床で悶絶しまくるオレを冷めた目で見ながら数珠坊が呟く。
となりではいまいち状況のわかってなさそうな菊が不思議そうな、ともすれば珍しい生き物を見つけたような顔でオレを見ている。
「なんてこというんだ数珠坊。桜花の可愛さを知れば、お前だってきっとこうなるよ。まぁ桜花はオレのもんだから、お前が桜花の魅力を完全に理解する日は来ないだろうけど、うふふ」
「馬鹿言うなよ兎、オレはもっと胸のでっかい姉ちゃんが好きなんだよ」
「数珠坊君。それは桜花に対する宣戦布告ですね?ふふ、これでも桜花は元柱なんです、すごかったんです。そうですかそうですか・・・へー」
「・・・って、兎がこないだ言ってた!」
「はぁああ!? 言う訳ないだろ言う訳ないだろ! ふざけんなよこの糞餓鬼!」
「う、兎さん…ご、ごめんなさい。桜花、そんなになくて‥頑張ってるんです、頑張ってるんですけど」
「あああああ言ってない、言ってないよ桜花! 好き! オレ、今のままの桜花がなにより大好き!!」
「兎さん、ホントですか・・。幻滅しませんか?」
「…オレが桜花に対して幻滅したことなんてあったかな?何時だって最高の奥さんだったじゃないか」
「兎さん‥」
「桜花‥」
「だから、そういう大人をみたくねーって言ってんだよこっちは!」
もう我慢ならん、と師匠譲りの体術を自分の恩人に向かって披露しようとする数珠坊。
一方菊ちゃんは寝台に乗ったまま、地面につかない足をプラプラと揺らしている。
視線が、時折診療室の窓に向かっているのは気のせいだろうか。
「? 菊ちゃん、どうかしましたか?」
桜花も気になったようで声をかけてみる。
「桜花さん。えっとね、今日はこないなーっと思って見てたんです」
「来ない? 誰が?」
「お友達です」
すごいな子供は。ここに来てそんなに経っていないのに、もう友達を作るとは。
「すごいですねぇ菊ちゃん。もうお友達が出来たんですか?今度桜花にも紹介してくださいね」
「はい! いい人なんですよ。菊が作ったおはぎが大好きみたいで、『また食べに来る』って言ってくれたんです」
おはぎが好き、か。すみちゃんやなほちゃん、きよちゃんの内の誰かだろうか。
今度、本人たちにお礼を言っておこう。そう思った。
その日の夜。
蝶屋敷の縁側にてオレは一人座っていた。
昼間あれだけ騒いだ疲れか、子どもたちはぐっすりと眠っている。
桜花も気疲れからかすやすやと寝息を立てていた。
寝る前に、話がしたいとオレにあることを伝えて。
『しのぶちゃんに、全部話しました』
『勝手なことをしてごめんなさい』
『でも、夢にカナエが出てきて』
『兎さんを、しのぶちゃんを助けてあげてほしいって、誤解を解いて欲しいって、言われてる気がして』
(それは違うよ、桜花)
オレは月を見ながら思った。
何も誤解じゃない。
しのぶちゃんが認識していた事実で正しいんだ。
オレが、カナエを殺した。
事実はそれだけなんだから。
「…ここでしたか、業柱」
だから、君はオレを恨むべきなんだよ、しのぶちゃん。
「桜花さんから、話は聞きました」
「そっか」
しのぶちゃんはオレの隣に座って月を見る。藤の花の味が広がった。
「? しのぶちゃん、香油でもつけてるの?」
「‥ええ、まぁ。藤の香りを少し」
そっか。とオレは視線を月に戻した。
二人とも、何も言わない。月明かりだけがオレ達を照らしている。
やがて先に口を開いたのは、しのぶちゃんだった。
「…持ってるんじゃないですか? 手紙」
どうやらお見通しのようだった。オレは懐から一通の手紙を取り出した。
『胡蝶 しのぶ様へ』
表にはカナエの字でそう書いてある。
「…桜花が話をしたって聞いて、ねぎまに取りに行ってもらったんだ」
「姉さんからの、手紙」
「うん。本当はもっと早くに渡すべきだったんだけどね」
けれど、勇気が出なかった。カナエの真似をして必死に笑う君にこれを渡せば、君がどうなってしまうかわからなかったから。
「業柱、私は…」
「しのぶちゃん」
何かを言おうとしたしのぶちゃんの言葉を、オレは遮る。
そのまま、言葉を紡いでいく。
「ごめん」
「桜花から聞いて、わかったよね。オレは、カナエを見捨てて逃げた」
「‥‥」
「どんなに謝ったって許されることじゃない。オレは君に」
「殺されたって、文句は言えない」
すべてを聞いたしのぶちゃんは、黙ってオレを見つめているのがわかったけれど。
オレは月から目を離さなかった。
怖かった。事ここまでに及んでも、オレはまだ。
やがて、隣からごそごそと懐をあさる音が聞こえた。
「…兄さん。これ、受け取って」
隣を見ると、そこには真っ直ぐこちらを見つめるしのぶちゃん。
笑顔を張り付けていない彼女の手の中には、一通の手紙。
可笑しい、しのぶちゃん宛の手紙は、まだオレの手にある。
じゃあ、この手紙は?
そう思い、彼女から手紙を受けとり、宛名を確認した。
『十二支 兎様へ』
そこには、懐かしい筆跡でそう書かれていた。
『十二支 兎様へ』
『この手紙は、私に万一のことがあった時に渡してほしいと、私がしのぶにお願いしたものです。これをあなたが読んでいると言う事は、私はもう、あなたの傍にいないのね。
とても、寂しく。哀しいことです。
1人で逝ってしまってごめんなさい。身勝手な女と、罵ってください。
…なんて、あなたはそんなこと言わないわよね。わかってる。でももし、貴方が私の死を自分の所為だと思っていたりしたら。そう思うと、とても心配になりました。
私は自分の意思でこの道を選んで、正しい決断のもと、この世を去ることになったのだと信じています。
だから兎。お願いだから、自分を責めないでね。
ねぇ、兎。
初めて出会った、最終選別の時の事を覚えていますか?
あの頃、私はとても弱くて、七日間を生き残ることなんてとても無理だと、どこかで諦めていました。鬼に殺されそうになった私を、貴方は庇いながら必死に戦ってくれましたね。
最初は、なんて強い人だろうと思いました。
でも、刀を握る手がぶるぶるとずっと震えていて。ああ、この子も怖いんだなと、私は何故かひどく安心したのです。
それからずっと、あなたは私がくじけそうなとき、折れそうなとき、手を引いて一緒に進んでくれました。私の弱さを受け入れて、寄り添ってくれました。
知らないでしょう?
私が貴方の言葉にどれだけ救われていたか。
貴方にとってはとるに足らない言葉の一つ一つが、私やしのぶ、それにたくさんの人達を救っています。
あなたは周りが思っているほど強い人間じゃないのかもしれないけれど。
でも決して、弱い人じゃない。
それをどうか、忘れないで。
私はそんな貴方が、大好きだったから。
兎。私は今、蝶屋敷の縁側から月を見ながら、この手紙を書いています。
ここから見る月は、本当に綺麗。
月にはうさぎが住んでいるなんて言うけど、もしかしてあなたも月から来たのかしら。
だとしたら、嫌だな。
貴方は何時か月に帰ってしまうのでしょうか。
私は、ずっとあなたと一緒に居たかったのに。
あなたも同じ気持ちだったなら、こんなに嬉しい事はありません。
ごめんね、兎。
きっとたくさん辛い思いをさせたわよね?
きっとたくさん背負いこんでいるわよね?
でも、もういいの。もういいから。
私の事は、もう忘れていいから。
今、となりを歩いている人と、一緒に前に進んで。
貴方を必要としている人がいる。
貴方にしか守れないものがある。
私は何時だって、貴方を信じているから。』
オレは手紙から顔を上げる。
そこには、美しい月がある。
きっと彼女もここで見た、美しい月。
後ろを振り向けば、小机に向かって筆を執りながら月を眺める彼女が、そこにいるかのような気さえしてくる。
隣では、自分あての手紙を見たしのぶちゃんが震えている。
知っている。
オレもしのぶちゃんも知っているんだ。
もう、彼女は帰ってこない。
ああ、でも駄目だ。
耐えられない。
月がぼやけてきた。
オレの瞳からこぼれそうになっているんだ。
ふざけるな、そんな資格があるものか。
守れなかった俺が、奪われた彼女の前で零していい訳ないだろう。
オレは手紙を持ったまま、その場を立ち去ろうとした。
もう、本当に耐えられそうにない。
そんなオレの羽織の端が、小さな手でつかまれた。
「…ここに居て、ください」
カナエによく似た少女は、そう言った。
「だめだ、駄目だよ。しのぶちゃん」
「お願いです。お願い、ですから」
「オレに、そんな資格はない!」
「っ、兄さん!!」
とっ、と背中から抱き着かれた。
あまりにも小さく、鬼と戦うには足りない体。
それでも今日まで、記憶の中の『カナエ』を必死に守ろうとしてきた少女。
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
その彼女が泣きじゃくりながら、俺の背中に抱き着いていた。
「兄さん、ごめんなさい! 私、全然認められなくて、なにもかも兄さんの所為にして酷い事ばっかり!」
「やめてくれよ、俺の所為なんだ」
「違う! 違うわ! 兄さんは何も悪くない!悪いのは鬼よ! それに…ちゃんと向き合わなかった私が悪いの!」
「俺が守れなかったんだよ、俺が弱いから…だからカナエは死んだ!」
「兄さん…」
しのぶちゃんは離れない。
それどころかより強い力で俺を抱きしめる。
「兄さん…泣いてるの?」
「っ!?」
オレは慌てて裾で目元を拭う。それでも、雫が止まらない。
やめろ、出るな。
いまさらお前が、どの面さげて彼女の前で泣くんだよ。
「兄さん」
「泣いて。泣いてよ。あの日、一緒に泣けなかった分」
「今日、私と一緒に泣いてよ…」
気が付けば、オレはしのぶちゃんを正面から抱きしめていた。
彼女の顔が、初めてよく見えた。
綺麗な薄紫色の瞳からぽろぽろと、涙がこぼれ落ちる。
そこには、しっかりと、『胡蝶しのぶ』が居た。
もう、そこからは止まらなかった。
涙が、次から次へとこぼれ落ちた。
「ごめんっ! ごめんっ! しのぶちゃん! ごめんなぁ!!」
「うん、うん…」
「守れなくてごめんなぁ!カナエに、約束したのに、必ず戻るって!」
「うん‥」
「君に、姉さんを守るって約束したのにっ!!」
「うん…」
「くそっ、なんでだよ! なんでカナエが、なんでカナエが死ななくちゃならないんだよォ!」
「うん、悔しい…悔しいよぉ、兄さん・・」
「ああ、悔しいな。悔しいなぁ…しのぶちゃん」
それから半刻後。オレたちは泣きはらした目を互いに見られないように、すこしそっぽを向きながら座りなおした。
「…なんというか、子どものように泣いてしまいましたね。兄さん」
「…ああ。そうだね」
「お、お互いもう子どもじゃないんですけれど、ね」
二人とも、少し顔が赤い。
感極まって泣いた。オレはもういい大人だった。
まだ若いしのぶちゃんは泣いていても許されるだろうが、その泣いている女の子にくみついて大泣きしたオレは一体なんなんだろうか。
「…ねぇ、兄さん」
「な、なに、しのぶちゃん」
思わず声が上擦るオレ。かっこわる。
「…また、昔みたいにこうやって。こ、これからも、に、兄さんとお呼びしてもいいですか?」
照れながら語りかけてくる様子に、心の奥が締め付けられる。
いいのか? もう一度、君を妹とよんでも。
いいのか、カナエ。前に、進んでも。
オレは近づいて、しのぶちゃんの頭に手を乗せて優しく撫でた。
昔と変わらず、サラサラとした手触りの美しい薄紫色の髪だった。
「君が、オレをまだそう呼んでくれるなら。勿論だよ。しのぶちゃん」
「…もう、子どもじゃないって言ってるのに」
そう言いながらも、彼女は嬉しそうに微笑んでいた。
そしてその日の夜更け。
胡蝶しのぶは自室で机の上にあるものを用意していた。
そこにあるのは、小皿に盛られた藤色の液体。
もうずっと、繰り返してきたことだ。
迷いはない。
仇を討つため、上弦の弐を下すため。
それでも、自分がやっていることを、やろうとしていることを。
あの人は良しとするだろうか。
きっと、怒りながら止めてくれる。確信があった。
けれど、しのぶにも覚悟があった。
引き下がれない。姉と同じだ。
自分で決めた、道だから。
「―――――ごめんなさい、兄さん」
そして彼女は、今日も藤を食む。
翌朝。
桜花の寝台横で、オレは昨夜の顛末を語った。
桜花はなんども頷きながら、話を聞いてくれた。カナエの手紙を見せた時、彼女もまた頬を濡らして泣いていた。
「そうですか…兎さん。きっと、これで良かったんですよね」
「…でも、俺にはまだわからないよ、桜花」
カナエは言ってくれた。オレは決して弱くないと。
けれど。
オレに一体、何を守れたと言うのだろう。
わからない。
オレが柱の名前を背負いつづけなくてはならない、理由が。
「兎さん」
桜花が、俺の頬に触れながら言った。
とても、優しい表情だった。
「一人で、背負わないでくださいね」
「しのぶちゃんも、煉獄さんも、冨岡さんも。他にもたくさん、貴方と一緒に立ってくれる仲間がいます。あなたは一人で戦っている訳ではないのですから」
「もし、それでも不安なら」
桜花が、俺の額に、自分の額をおしあてた。
熱はないと思うけど、どんどん体温が上がって行く。
桜花も同じだ。どんどん額が熱くなる。
「桜花が、貴方を隣で支えます。ね、私の大好きな兎さん‥」
桜花の桜色の瞳を見つめる。
はにかみながら笑う笑顔もあって、1つの芸術品のようだった。
「ありがとう、桜花」
「いえいえ、なんて言ったって。私は兎さんの妻、ですからね!」
ふんす! と元気いっぱいの顔を見せる桜花。ころころ変わるその表情も、たまらなく愛おしかった。
「カァーッ! 緊急伝令! 緊急伝令!急ガバ回ラズ直グ聞ケェー!!」
そんな叫びが突然、病室に響き渡る。
オレと桜花が驚いて声の方向を見ると、室内をねぎまが騒ぎながら飛び回っていた。
「うおッ! なんだアレ!?」
「カラスさんがしゃべってるー!!」
鎹鴉が喋るのをはじめてみた数珠坊と菊が驚いてねぎまを見つめている。
「ねぎま! どうした!?」
オレが声をかけると、ねぎまは桜花の寝台の上に乗る。
きゃ、と桜花が声を出した。
ふざけんなねぎまそこをすぐに替われと言いそうになったところで、ねぎまはオレに新たな指令を伝えた。
「緊急伝令! 緊急伝令! オ館様ヨリ、緊急伝令!!」
「任務先ニテ『水柱』消息不明!!生死確認取レズ!!」
「繰リ返ス、『水柱』冨岡義勇、任務先ニテ消息ヲ絶ツ!」
「ヨッテ以下ノ者ニ指令ヲ下ス!!」
「『業柱』、十二支 兎!!」
「『風柱』、不死川 実弥!!」
「至急合流シ、『水柱』ノ任務先ニ向カイ、状況ヲ確認セヨ!【十二鬼月・上弦】、【堕落七鬼】、イズレカ、アルイハ両者トノ交戦ノ可能性アリ!!」
「カァー、ムカエ、ムカエ! 行先ハ流刑地、【紅蓮島(ぐれんとう)】! 罪人ガカツテ流サレタ、処刑場デアル!!」
胡蝶しのぶとオレの物語は、一端幕を下ろす。
そしてここからは、俺たち鬼殺隊と堕落七鬼【慟哭ノ夜叉烏】。
お互いの罪と罰を巡る奇譚が、始まる。
大正コソコソ噂話(偽)
菊ちゃんは実はものすごく器用です。
和菓子作りもそうですが、彼女にできない家事はありません。
ちなみにおはぎ大好きな友達は蝶屋敷三人娘ではありません。