私――ルノア・ファウストは基本的に怠惰で無干渉である。

他人のことなどほとんど気にしないし、誰かに気を使おうとも思わない。せいぜい、同僚達や、酒場に来店するお客さん達に気遣いをするのがいいところだ。

無関係な人に関わるだけ無駄。疲れるし、そもそもそんなに器用に生きられない。何より、私は脛に傷を持っている。だから、何も知らない他人にズカズカと踏み込まれるのはごめんだ。

今までも、これからも。


――そんな風に思っていた。


これは、かつては"黒拳"なんて呼ばれた私が、生まれてこの方、他人から奪うことしかしてこなかった私が、生まれて初めて誰かに"与える"ということを知った。


そんなお話である。
第一章.デメテル・ファミリア
  1-1.悪意と少年()
  1-2.黒拳と少年2018年06月17日(日) 18:39()
  1-3.白兎と少年①2018年06月18日(月) 00:09()
  1-4.白兎と少年②2018年06月19日(火) 02:05()
  1-5.慈愛の女神・憂いの黒拳2018年06月22日(金) 00:04()
第二章.愚者への処方箋
  2-1.赤髪少女と少年2018年06月23日(土) 23:32()
  2-2.束の間の仲間達2018年06月24日(日) 06:57()
  2-3.デートのち勇者①2018年06月26日(火) 00:25()
  2-4.デートのち勇者②()
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