クジュウリ皇子は焔と踊る   作:フーマ

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第七話 命の重さ

 

 僕はネコネを下がらせ、傷ついたオシュトルさんの傍に行かせる。そして槍の切っ先を敵の首魁に向ける。

 

 まさか本命と思われていた湖方面でなく、不便極まりない森の奥地を拠点にしているなんて。でも自分自身で2人の危機に駆けつけ、さらに無事であることを真っ先に確認できてよかった。

 

 

「レキ殿・・・すまぬ」

 

「話は御前さま達の所に戻ってからです。まずは彼らを捕まえましょう。キウル、エトゥさん」

 

「ええ。レキ皇子はあの首魁を頼みます」

 

 

 エトゥさんは弓から刀に武器を切り替え、取り囲む背後の集団を。ヨロヨロと立ち上がったオシュトルさんは刀を拾い、側面の複数の敵を。

 キウルは弓を引き絞り、僕たちをを守るように周囲の敵に向く。

 

 僕たちは円陣を組むように山賊たちに相対する。

 

 

「ガキがこの俺を相手だと?舐められたもんだ。それに蹴りが軽い。貧弱な蹴りだ」

 

 

 イクルバは曲刀で肩をトントンと叩きながら僕を睨みつける。渾身のとび蹴りだったけど、体格差があり大した影響はなかったようだ。筋肉質なイクルバという男は、大柄な父さんよりも更に大きかった。

 

 

「その耳、てめえ・・・エヴェンクルガか」

 

「それがどうした?」

 

「くくっ、ついてるぜ。俺が2番目に嫌いな種族だ。殺し甲斐がありそうだ」

 

 

 1番目は・・・と問いかけるつもりはない。卑劣極まりないこの男との問答は不要だ。

 

 

 イクルバは鎖をブンブンと振り回す。敵は鎖鎌使い・・・。遠心力をつけた分胴をこちらに振ってくる。それを槍の柄で弾き、一気に距離をつめる。

 

 否、詰めようとした寸前で悪寒が走り足を止める。弾いた分胴だが何事もなかったようにこちらに再度振り回してくる。もし詰め寄っていたら僕の頭蓋は砕かれていた。

 

 

「ほう察知したか。ガキ特有の突進のみかと思いきや勘はいいみたいだな」

 

 

 山賊とはいえ、凄まじい使い手だと感じる。間合いを計り、ジリジリと距離をつめる。

 その間にもキウルたちは周囲の山賊たちと戦い続けていた。

 数が劣勢のはずだったが僕たちが確実に圧していた。

 だが・・・眼前のこの男だけは違う。この男だけでも戦局をひっくり返せる力がある。

 

 

 

「レキさん・・・」

 

「大丈夫。ネコネ。心配なんていらない」

 

 

 下手な小細工は通用しない。だったら真っ向から攻めるのみ。

 

 

「ガキ特有の突進・・・ね。だったらそれを実践してみようか」

 

 

 

 槍の柄部分を前に据え、体勢を低く構える。そして一気に地面を踏み込む。足に多大な負荷がかかるがそれを無視し、敵の懐に飛び込む。

 

 爆発的な加速力。

 これが僕が最もヤシュマ兄さんに褒められている点だ。誰よりも下半身の鍛錬に費やしたことが実現させた技だ。武具を巧く扱うことも大事だが、戦いという

 

のは全身を使い行うもの。

 その中で下半身というものは最も重要な部位。踏み込みひとつで一撃の威力は大きく変わる。

 

 

 それが兄の教え。

 それを最も重要視し、ひたすら走りこみを続けた結果、爆発的な加速力が可能となった。一足の踏み込みで懐に到達した僕に、イクルバは目を見開く。

 

 鎖鎌を持つ手に槍の石突きを勢い良く当てて手から弾き飛ばす。

 そして槍を反転させて切っ先をイクルバの眼前に向ける。

 

 

「勝負あり。投降してほしい」

 

「くっくっく、そういう甘さがガキなんだよ」

 

「な・・・に?」

 

 

 僕の腹部にはイクルバの腕輪から伸びた仕込み刃が突き刺さっていた。

 

 

「正攻法しか知らないようだから教えてやる。山賊の戦い方ってのは騙してなんぼだ」

 

 

 その刃を引き抜き、刃についた血をイクルバは満足げに眺める。

 腹部が熱い。出血がひどいようだ。

 

 更に鉄製の靴も仕込みのようで刃が伸び、僕の眼前に蹴りを放つ。それを槍で受け止め、距離をとるが、とたんに足に力が入らなくなる。

 

 

「即効性の痺れ薬を仕込んでいる。

 オシュトルをいたぶるためにあえて即死の毒じゃなく、だ。ありがたく思うんだな」

 

 

 僕はひざをつく。

 一瞬の油断が・・・この結果を招いた。

 初の対人戦でこの無様さ。

 

 

(最後まで希望を捨てなかったヤツにこそ道ってもんは開ける)

 

 

 ふと雪山でマシロさまに言われた言葉が脳裏によみがえる。

 そうだ・・・まだ、まだ諦めてたまるか。

 無理やり。痺れを無視し、ついたひざに鞭打って立ち上がる。

 

 

「下がるんだレキ殿!」

 

 

 オシュトルさんは手下を切り伏せながらそう叫ぶ。

 敵が多くてこちらに駆け寄れない状態だ。

 

 遠方からキウルが矢を放つがたやすく弾かれてしまう。

 

 下がれない。

 下がったら、背後のネコネに危険が及ぶじゃないか。だったら今、僕がやるのはひとつ。眼前の敵を倒すのみ。

 

 

 その時、眼前のイクルバに隙が生じる。

 背後にいた配下と思われる男に突然羽交い絞めにされていた。

 

 

「俺ごとやれ!レキって小僧!この人でなしをぶっ倒せ!」

 

「モズヌてめえ!!」

 

 

 配下の裏切りにイクルバが怒りに震える。モズヌと呼ばれた男の羽交い絞めは力が足りず続かない。筋肉の鎧を纏ったイクルバは力任せに体を振り回し、モズヌの拘束を振りほどく。

 

 

「死にたいようだな」

 

「もう我慢ならねえ!畜生に落ちるくらいならここで死を選ぶじゃんよ!」

 

 

 腰の刀を抜き、モズヌは積年の恨みを込めるかのごとく飛びかかるがイクルバはつまらない物をみるかのように仕込み刃で剣を弾き飛ばす。

 そして刃をモズヌの顔面に振るう。

 

 

「ぐあああっ!」

 

「道具にすらなれないゴミめ。だったら死ね」

 

 

 左目が切り裂かれた激痛でモズヌは絶叫を上げ倒れこむ。

 

 

「ふざけんな・・・!ヒトをゴミ扱いしてるてめえこそ、ゴミそのものじゃん・・・!ぜってえ、はなさねえ・・・」

 

 

 倒れてもイクルバの足にしがみつき、僕に隙を作ろうともがく。

 そしてトドメを刺そうとしたとき。

 

 ズブリ。

 

 イクルバに胸には槍が貫通していた。

 

 配下の裏切りに周囲が見えないほど怒り、痺れ薬でフラフラの僕を敵と認識していなかった。

 イクルバの見せた背中に思いっきり、残った力全てを込めて槍を突いたのだった。

 

 

 

「小僧・・・貴様・・・ごふっ」

 

 

 心臓を貫いた。

 さっきまでの威勢が嘘のようにイクルバは血を吐く。

 力なく倒れこみ、そして大量の血が地面への水溜りを作っていく。

 

 

 

「さよならじゃん・・・アニキ。最低だったがここまで生かしてことだけは感謝するぜ」

 

 

 切り裂かれた左目を抑えながらモズヌは地面に座りこむ。

 彼はあごでクイクイと合図を送ってくる。それに気づいたネコネは慌てて僕に駆け寄る。

 

 

「怪我みせてほしいです・・・レキさん」

 

「・・・」

 

「レキさん・・・?」

 

 

 

 僕はネコネに返答できなかった。

 血の水溜りの中心で横たわり、死んでいる敵の首魁の姿だけしか見れなかった。

 

 

「僕が・・・殺した・・・?」

 

 

 敵とは言え、ヒトの命を奪った。

 戦いで命の奪い合いは、この世界では当然のこと。

 理屈では分かっている。

 なのに、体の震えが止まらない。

 

 

「レキ皇子。これをお飲みください。

 御前が念のための対策として所持するよう言われた解毒剤です」

 

 

 エトゥさんに水筒と丸薬を渡される。

 

 

「皇子はヒトの命を奪ったのは初めてのご様子。ですが、これは戦う道を選んだあなた自身が背負う業です。気を強くお持ちなされ」

 

 

 エトゥさんは僕の肩に手を置き、そう叱咤する。

 

 

「その震えこそ命の重さを理解している証拠。そう命は重いのです。ですが、周囲をごらんください」

 

 

 エトゥさんに言われ周囲を見回す。

 そこには涙目で僕の傷を手当するネコネ。

 しゃがんで心配そうに見つめるキウル。

 敵の残りを倒し終え、縄で縛っている傷だらけのオシュトルさん。

 大切な友人たちがたしかにそこにいた。

 

 

「命を奪ったことに違いはないでしょう。

 ですが、それ以上に多くのものを守り抜いたのですよ。あなたは」

 

 

 友を守り敵の首魁を討った。

 その敵の命を心に刻み、僕は喜ぶべきなんだろうな。

 

 

「さて・・・残るは貴公のみだが」

 

 

 オシュトルさんとエトゥさんはモズヌの前に立つ。

 

 

「ま、待って欲しいのです!」

 

 

 僕の傍にいたネコネは慌てて駆けて行き、モズヌの前で手を広げて庇う。

 

 

「この人は悪くないのです。私を助けてくれたのです。

 他の山賊の人たちに無理やり従わされていただけなのです」

 

「嬢ちゃん・・・」

 

 

 オシュトルさんとエトゥさんは顔を見合わせ、頷く。

 

 

「承知しました。まずは目の止血を行いましょう」

 

 

 モズヌはエトゥさんの治療に身を任せるのだった。

 そして僕は・・・エトゥさんから受け取った丸薬を飲んで、キウルに支えられて立ち上がる。

 

 そして他の捜索班の応援も来て、捕縛した盗賊と首魁の遺体を運ぶ。

 負傷した僕たちはゆっくりと案内されてエンナカムイ城下へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 戻った頃には夜明け前。真っ暗だった空はほんのりと明るくなりかけていた。

 オシュトルさんとネコネはトリコリさんと抱き合い再会を喜んでいた。

 僕とヤシュマ兄さんは拳をぶつけ合い、健闘を称えあった。

 

 トリコリさんたちが用意してくれた暖かな食事を終えたころには夜は明けていた。

 住民達は喜び合い、そして日常へと戻っていった。

 

 そして日が昇りきった正午。少しばかりの仮眠を終えた僕たちは城の大広間に通された。

 

 御前さまとオシュトルさんとネコネ、キウル。僕たちクジュウリ勢。そしてエトゥさんら側近の兵に左右を挟まれたモズヌ。

 

 

「さて・・・まずは皆、ごくろうだった。皆の尽力のおかげで無事に解決にいたることができた」

 

 

 そう感謝を述べる御前さまに皆頭を下げる。

 

 

「そしてレキ殿・・・客人に怪我を負わせてしまったこと真に申しわけなく・・・」

 

「いいんです。これは自分の落ち度ですから。お気になさらないでください」

 

 

 これは夜明け前に何度も御前さまと繰り返した言葉だ。

 だから御前さまもそれ以上は言葉にしなかった。

 

 そして全容の詳細が語られた。

 

 山賊イクルバは人さらいの現場を1年前にオシュトルさんに抑えられ、そして捕縛されたが山賊の仲間が帝都への護送を襲撃。逃げ出し潜伏。ずっとオシュトルさんへの復讐を画策していたという。

 

 僕たちが目を離している隙にネコネを誘拐。オシュトルさんには矢文でネコネ誘拐を知らせ単独で来るように指示したという。さらに今回捕縛した山賊以外もモズヌの証言で判明した各地の拠点を一斉に抑えるらしい。

 

 

 

「さてモズヌよ」

 

「は・・・はっ!」

 

 

 御前さまに呼ばれモズヌは床に額をつけるように深く頭を下げる。顔半分を包帯でぐるぐる巻きにされており、痛々しい。

 

 

「そなたはイクルバの意に反するとはいえ、山賊の一員だったことに変わりはない。

 協力したとしても無罪とするわけにいかぬ」

 

 

 ・・・当然だ。

 ネコネを助けてくれたり、イクルバに反抗したとしても無罪放免とはいかない。山賊とは似つかわしくない精神の持ち主だとしても、山賊という経歴は消えないのだ。彼の過去はネコネから聞いている。

 だからこそ―――

 

 

「よってそなたにはエンナカムイを離れクジュウリの地にいってもらう」

 

「・・・は?」

 

「レキ殿」

 

「はい」

 

 

 死罪くらいの覚悟でいたんだろう・・・脂汗をかいていたモズヌは御前さまの言葉に唖然としていた。

 

 

「ここから先は僕から伝える。

 モズヌ、僕はあなたの優しさと勇気。それを眠らすには惜しいと思ってる。兄さんとも話し合ったけども、その力・・・クジュウリの発展に使うつもりはないかな」

 

 

 エンナカムイの発展には使えない。なにしろ国に仇なした元・山賊なんだから。

 

 

「発展といわれても・・・俺・・・自分、知識も素養も何もないっすから・・・」

 

「それはこれからいくらでも学べる。それに何より僕はあなたに感謝してるんだから」

 

 

 僕はモズヌの手を握る。

 

 

「ネコネに優しくしてくれてありがとう。イクルバに立ち向かってくれてありがとう。ネコネが、僕がこうして健在なのはあなたの存在があってこそだから。

 だから―――僕の家臣になってほしい」

 

 

 例え山賊だったとしても、純粋に僕は彼のことが気に入った。

 「皇族だったらそろそろ家臣の一人ももったらどうだ?」と以前から兄さんから言われてたことだ。そして家臣に加えたいと思った人物にようやく出会えた。

 

 僕のその言葉に、モズヌは目に涙を湛え、深く頭を下げる。

 

 

「は、ははーっ、これよりこのモズヌ。レキ皇子の家臣として忠誠を誓います」

 

「うん、よろしく」

 

 

 元山賊。義侠の男モズヌ。

 僕の第一の家臣が誕生した瞬間だった。

 

 

 

「さて・・・次にオシュトルよ」

 

「はい」

 

 

 オシュトルさんは御前さまに深々と礼をする。

 

 

「いくら妹が危機に瀕していても単独で敵地に踏み入るその未熟さ。正直残念に思うぞ」

 

「お言葉、返すことも出来ません」

 

「ゆえに我が側付の任をはずし、当面の間暇を与える」

 

「はっ」

 

 

 まさかの御前さまの勅命に僕やネコネ、キウルは息を呑む。

 

 

「ま、ままま・・・待ってください!おじい様・・・いえ御前!なにとぞ兄上への温情をお願いします」

 

「そ、そうなのです・・・元はというと私に非があるのです」

 

「いえ、ネコネの誘拐は私の油断が招いたこと、非なら私にあります」

 

「レキさんじゃありません。僕のほうこそ平和な城下だと油断してました」

 

「キウルは悪くないのです。私が悪いのです」

 

 

 僕たち3人はお互いに庇いあいながら意見する。それに御前さまは「ほっほっほ」と笑う。

 

 

「分かっておるよキウル、ネコネ、レキ殿。まあ、形式めいたことだ。

 ゆえにオシュトルよ。その暇を活用せよ。エンナカムイを離れ帝都に上り、仕官することを認める。未熟さを恥じるならば自らを鍛え上げるのだ。そなたの亡き父上のようにな」

 

「御前のお心遣い感謝いたします」

 

 

 残りの山賊の件はエトゥさん達が責任を持って抑えるらしい。

 モズヌも僕の家臣になった。

 オシュトルさんも帝都へ仕官。

 

 こうしてさまざまな結果を残したこの事件は幕を下ろした。

 そして翌日―――

 

 

 

 

 

 

 

「もう帰ってしまうんですね・・・」

 

「寂しいのです・・・」

 

 

 御前さまとの挨拶を終えても、城門まで見送りに来てくれたキウルとネコネと別れの挨拶をする。ネコネの手にはヤシュマ兄さんが手土産にと渡しそびれてた学術書があった。その兄さんは隣でオシュトルさんといろいろと話し合っている。

 

 

「僕もだよ。そうだ、今度は2人がクジュウリに遊びにおいで。

 その時は僕が案内するよ」

 

「か、必ず行くです!」

 

「ぜひ。その時はレキさんの片思い相手ともお会いしたいですね」

 

 

 うな!?とネコネはなんかキウルの言葉に大きく身を震わせていた。

 

 

「は、恥ずかしいけど。あと妹も紹介したいし」

 

 

 うん。ルルティエとネコネはいい友達になれると思うし。

 

 

「モズヌさんもお達者で」

 

「おう。嬢ちゃんも元気でな。先にクジュウリの人の温かさってやつ楽しんでくるぜ」

 

 

 ネコネとモズヌは握手。キウルも同じく握手。そして最後に僕、ネコネ、キウルは三人で手を合わせあう。

 

 

「必ず再会しよう」

 

「はいなのです」

 

「はい、必ず」

 

 

 

 そして視線はオシュトルさんに向く。オシュトルさんはお傍付としての仕事の引継ぎが終わり次第帝都に発つそうだ。

 

 

「某の方はクジュウリの訪問はまた後日ということになりそうだ」

 

「待ってますよ。仕官のほう、頑張ってください」

 

「本当なら、レキ殿も帝都に来て欲しかったんだがな・・・。立場上、それは無理な話か。もし帝都に来たときは真っ先に訪ねてほしい」

 

 

 僕とオシュトルさんも再会を約束し、堅い握手を交わす。

 

 

「レキ皇子。帝都で待っている」

 

「オシュトルさん・・・」

 

 

 そろそろ発つぞ。という兄さんの言葉に頷き、僕は馬を進ませる。

 

 背後を振り向くと、ずっと手を振り続けているキウルの姿があった。

 

 

 

(生涯の友・・・か)

 

 

 御前さまから言われたときはあくまで国交上の付き合いだけの存在だと思った。だけども今ならば、彼らとはそんな浅い付き合いで済まないと実感している。

 次会うときにはもっと大きな男になろう。

 そう誓い、隣を走る兄さんにもっとキツイ訓練を頼むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クジュウリの友人たちをオシュトルとネコネとキウルは姿が見えなくなるまで見送った。

 そしてキウルは「頑張らないと」と息巻く。

 気合を入れてオシュトルとネコネの先を歩く。

 

 

「気持ちの良い者達であったな」

 

「はいなのです。・・・兄さま、母さまが言ってた件、前向きに考えてみるです」

 

「母上の件・・・?」

 

 

 オシュトルは初耳のため首を傾げる。

 そして彼はその日の夕刻に母から聞かされ仰天することになる。

 

 茶目っ気を出した母が冗談めいて発言した「ネコネのレキ殿への嫁入り」

 

 それをネコネは前向きに考えると。

 

 ネコネは、クジュウリ皇子にはじめての恋心を抱いたのだった。

 

 

 




 少年時代のエンナカムイ編、完結です。
 戦闘描写って書くの難しいですね。

 ちなみにイクルバの1番嫌いな種族はギリアギナ族です。
 主君のスオンカスを討ち国を立ち上げたデリホウライを憎んでます。

 そして片思い同盟を組んでいるレキがネコネの想い人だと気づかないキウル哀れ。
 本来の歴史よりもキウルのネコネルートは攻略不可能なほどに難易度上がりました。
 いいじゃないかシノノンで。
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