「依頼達成の報告に来ました。」
「はい、それではギルドカードの提示をお願いします。」
言われた通り自分のカードを渡す。ふと依頼を受けた時もカードを渡したなと考える。カードを受け取った職員は何か機械のようなものにカードかざした。
「スライム5匹の討伐ですね?それでは討伐の証として倒した魔物を出してください。勿論一部のみでも構いません。」
前回のオークと比べモンスターのサイズが小さいからか、今回は机の上にトレイのようなモノが置かれそこに出すように指示される。
一瞬討伐数を見てなくそれ以上倒したことに気づき確認したところ、討伐数の倍数ならその数同じ依頼を達成したと数えられると言われ安堵する。が中には指定数より多く倒しても1回しか受け付けない依頼もあると注意をされる。
「それでは今回は複数可の依頼でしたので、スライム20匹の討伐で報酬を4倍にし、合計銅貨52枚です。」
ぶっ!昨日の晩御飯と朝食付きの宿で0枚になった銅貨が一瞬で増えた...。なるほどこりゃ銀貨なんかとんでもねぇ価値がある訳か、ますますオーク倒すことの難しさが理解出来てきたぜ。本当に運が良かったんだな...。
銅貨を受け取りギルド内の食事を注文しながら午後の予定を考える。
「そう言えばまだこの街にある武具屋に行ってないな。服もよく見るとボロボロだし新しいの買っとくか。」
午後の予定が決まる頃テーブルに注文した料理が運ばれてきた。昨日とはまた違う食べ物を注文し、昨夜の洋風な料理ではなく今目の前に運ばれてきたのはラーメンやチャーハン、餃子のような中華風な料理だった。
昼食を済ませまず向かったのは防具屋、と言うより服屋のような店だった。特に元の世界でも服などファッションに興味がなかったので店に入るなり適当に選び服を購入。上下2着買い合計銅貨12枚を支払い武器屋に向う。
「こりゃオークの槍じゃねぇか!武器屋で修理など取り扱ってるのは職人が作ったもんだけだ。」
武器屋にて今まで使ってきた槍の手入れを頼むと無理とのご返答が。そもそもこの世界では魔物が使っている武器などは、ドロップアイテム扱いで売ってお金にして新しい装備を買うか、自分で使えなくなるまで使うかの2択らしい。
自分で使う場合はいつ戦闘中に武具が破損するか分からないので、保険のためにサブの武具なども持っておくのが常識だそうだ。
「ちなみにこの店で安めの槍など置いてますか?」
ダメ元で聞いてみると意外な答えが。
「ん?槍なら確かあったはずだぞ。たがな、お前金はあるのか?」
見た目がボロボロなせいか財布事情を探られる。
「だいたい銅貨40枚ぐらいなら...」
「そうか、そのぐらいなら初心者向けの槍なら買えそうだな。」
店の店長らしきおっちゃんは所持金を聞き奥の扉から数本の槍を持って来た。
「こっち側のが1本銅貨35枚だ。こっちは40枚だ。好きなの選びな。」
目の前に20本近い槍が置かれそのどれもが現在使っている槍よりもしっかりと作られていた。その中でも1本だけ一目見た時から目が釘付けの槍があった。
「あの持ってみてもいいですか?」
「そりゃ実際に持ってみないと分からねぇこともあるからな。軽く振るぐらいならいいぞ。」
気になっていた1本の槍を手に取り軽く振るってみる。まるでゲームのモーションのように自然に槍を振るえたような感覚がする。
「これいいですね。決めました、これを買います。」
「まいど。その槍なら修理が必要になったら引き受けるから覚えとけよ。」
「はい、ありがとうございます。それでは。」
新しく武器を手に入れ店を出ると既に日が傾き夕方になっていた。他に行く場所など特に決めてなかったので今日は大人しく宿に帰ることにした。
宿に向かう帰り道
「おら、大人しくしろ。」
人気の少ない道の隅で男2人組に路地裏へ連れ去られる子供を目撃。
「どう見てもヤバいやつだよな...。」
どうやら宿に帰るのはもう少し遅くなりそうだ。