薄暗い森の中、想像を絶するほどの大きな生物と対面する。
「ま、マジか。思ってたよりでけーな。」
相手の姿を見て少しビビる。
対する相手はこちらの様子など見向きもせずただ目的の方へと歩いていた。八岐大蛇にまるで相手にされていない事にチャンスだと思い一気にケリをつけようと仕掛ける。
「無視していられるのも今の内だせ。」
ポケットからスマホを取り出し大きな生物、八岐大蛇へと向ける。
八岐大蛇はそれに気づきその巨体からは想像もできない早さで襲いかかってきた。
踏み潰すそうと上から大きな足が振り下ろされる。
それを見た蒼太は事前に用意していたモノをスマホから取り出す。
それを見て匂いを感じ取ったのか八岐大蛇は踏みつけるのを止める。
蒼太が取り出したモノに飛びつく八岐大蛇。そう、蒼太が取り出したモノとはお酒だった。八岐大蛇は酒に夢中で蒼太の事などもう気にもとめてない。
蒼太はスマホを改めて八岐大蛇に向けてかざす。段々と八岐大蛇の体が消えていきスマホに吸い寄せられるようにして消えていく。
「あ、焦った〜。マジで一瞬死ぬって思ったわ...。危ね〜。」
何とか収納に成功し一息つく。すると突然八岐大蛇の収納したスマホが光を放ち飲み込まれる。視界を光に覆い尽くされ眩しく目を閉じる。
光が落ち着き閉じていた目を開けると暫く見てなかった見覚えのある部屋にいた。
「へ?」
見覚えのあるゲームや漫画・ラノベの数々。他も見渡すと机やパソコンも目に入る。見る物全てに見覚えがあった。と言うよりも見間違える筈はない。紛うことなく自分の部屋だった。
スマホを開いてみても今まで使っていたアプリが表示され、アイテムやステータス等のアプリは消え去っていた。
「夢...だったのか...。」
異世界での体験を思い出しながら少し残念そうな表情を浮べる。ふと自分の服を見てみるが異世界で購入した服ではなく最初のジャージを来ていた。勿論汚れてなどいない。
夢での出来事なのか実際に異世界に行って体験した事なのか全くもって判断は出来なかったが1つだけ断言出来ることがあった。
「この記憶だけは夢にせよ何にせよ本物だよな。」
何となくだか今日は学校に行ってみようかなと思う。自分でも何故そう思ったかは分からないがとにかく行く気になる。
「久しぶりに顔見せるか〜。」
時刻を見ると今から支度すると登校するのに丁度いい時間だ。
準備を整え自宅を出る。
その後学校では蒼太を前よりも見かけることが多くなったそうだ。
今までご覧頂きありがとうございました。
今回でこの作品は終わりましたが他にも書いている作品や今後も何か書く予定ではありますのでそちらの方もよろしくお願いします。