自分はニドキングである。ニックネームはない。
ニドキングと言ってもただのニドキングではない。
ニドキングに転生した元人間なのだ。さらに言えばゲーム知識を持っている。
ちなみに野生ではない。すでにトレーナーに捕まっている。
自分のトレーナーはごく普通の少年である。
ゲーム知識などないトレーナー。タイプ相性すら把握できていないような素人だった。『だった』というのは自分が色々と指導したから過去形なのだ。
元人間として、自身のトレーナーに知識を授けて手助けを行う。自分以外のポケモンにはできない行動だろう。
ちなみに自分は戦闘が苦手である。きっと個体値が低いのだ。
だが、かつてはポケモン廃人一歩手前を自称していた身。その知識はチートといわれてもいいだろう。
そんな知識チートなニドキングの指導によって、少年は立派に廃トレーナーになった。
ちなみに自分は人語を喋れないので筆談で指導していた。
個体値厳選の大事さ、努力値の振り方、フライゴンはメガ進化しない、ガブリアスの個体値など事細かに教えた。自分のもてる力は全て授けたと言ってもいい。
良個体値のメタモンも捕まえて、あずかりやさんへ足を運ぶ。
いよいよ厳選が始まるのだなと思った。
子の成長を喜ぶ父親のような気分だった。
最初に厳選するのはなんだろうか。この少年はヤドランが好きなようだし、ヤドン厳選かもしれない。そんなことを考えてた。
「それじゃあニドキングとメタモンをあずかるね」
あずかりやさんの言葉だ。
どうやら最初の厳選はニドランのようだ。
技のデパートの将来を約束されているニドランとは、なかなかいいチョイスだ。
もちろんこの少年のニドキングは自分しかいない。なので預けられるのは自分だ。
少年の元からしばらく離れることとなるが、先程も言ったようにすでに自分の知識は全て伝授した。少し寂しくはあるが、自分ももう子離れするべきだということだろう。
さてさて、それはそうと厳選ということはたまごである。
つまりはあれである。夜の営み的な。相手はメタモンであるが。
前世ではえっちぃこととは無縁な生涯だった。今世でも今までトレーナーの少年といたのだ。そういったこととはやはり無縁である。
つまり前世も含めてこれより初体験に挑むこととなる。相手はメタモンであるが。
相手はメタモンであるが、メタモンはへんしんが可能なポケモンだ。つまりそのままの姿ではない。姿だけは別のものとなる。今回の場合はきっとニドクインの姿だろう。
そこに愛などないが、厳選とはそういうものなのだ。
まるで受け入れる覚悟はあるような言い方をしてしまったが、正直な話、少し楽しみなだけだったりする。
厳選のためにたくさんたまごを生むために、たくさん(自主規制)するのだ。
相手が人間ではない? この姿で人間の相手などできるわけがない。
それに前世のころからポケモナーだったのだ。関係ないが♀ポケモンのメロメロには確実にやられていた。
とにかく、この状況は最高である。ニドクイン(メタモン)に自分のつのドリル(比喩表現)がぶちこまれるのだ。
チラリと一緒に預けられたメタモンを見る。ウゾウゾしてるだけで今はまだへんしんしていない。
さすがに預けられた昼間からそんなことはしないということだろう。人目のつかない時間が楽しみだ。
夜になった。あずかりやさんはすでに深く寝入ったようだ。自分は期待と興奮のあまり寝れてない。眠気もない。
チラリとメタモンを見るとなんということでしょう。
姿が、その輪郭がどんどん形を変えていくではありませんか!
前世も含めて長くともにあった童貞という称号と、いよいよさよならできるのだ。自然と鼻息が荒くなってしまった。
ここだけの話、前世よりもポケモナーとしてのレベルが上がっているかもしれない。ニドクインのがっしりした身体を想像しただけで猛るものがある。
そしてそれは、ニドクインの身体は想像の中だけでなく、いよいよ目の前に降臨してくださるのだ。
メタモンの大きさが、自分と同じくらいになった。
───なかなか焦れったい。これが焦らしプレイというやつか。
メタモンの輪郭が刺々しいものに変化していった。
───おほー! おっほー……? あれ? ニドクインってこんなに刺々しかったっけ。
メタモンの姿がとうとうへんしんを終えた。
───おかしい。絶対におかしい。
メタモンがへんしんした姿はニドキングであった。まごうことなきニドキングであった。
何故だ。
ひょっとして目の前のやつの姿にしかなれないのか。それはバトル限定であって、たまご作りの時はもっと応用が効くものだろう普通。
それともメタモンにも♂♀あったっけ。人間のころはかなり前だから記憶が怪しい部分もあるかもしれな……いや、メタモンに♂♀はなかった。
……まさか、その姿で行為に及ぶ気だろうか。いや、ただメタモンが今は乗り気ではないだけだろう。
……なんで目の前のニドキングは鼻息が荒いのだ。やけに興奮している。
まさか姿だけでなく、先程までの自分の猛る感情までコピーしているのだろうか。
一歩、距離を詰めてきた。
本気でやめてほしい。ポケモナーを自負しているがホモォジャンルはネタでしか見れないのだ。ましてやそれに自分が関わるとなると申し訳ないが完全にNGなのだ。
興奮した目付きで身体中をなめ回すように見てくる。
ちょっと待って。本気で待って。
なんでいまだにその興奮が続いているのだ。自分はすでに萎えているのになんでだ。っていうかすごい見られていることと、視線のやらしさがわかる。自分は興奮するとこんな目付きになるのかと新発見。
え、ていうか待って。
なんで胸とか太腿とかガン見してくるの。自分がまず見る異性の部位ではあるが、待って。
さらに距離を詰めてくる。
その目は完全に、盛ったケダモノの目であった。
───犯られる!
そう思ったら自然と悲鳴をあげてしまった。
ひっ、ひぃいい……! やだ、やめて来ないで……!
や、やだぁ……!
そこはやめて! その穴は出口であって出入口じゃないのぉ……!!
アッ───!!
そんな風に情けなく悲鳴をあげた自分を、誰が責めれようか。自分の姿に性的に責められたが。さらに言えば主にお尻を責められたが。
執拗な行為に、気づけば意識を失っていた。
翌朝、不思議なことにたまごがあった。
まったく産んだ記憶などない。だがなんであれ、これであの営みから開放される。
トレーナーの少年があずかりやさんに顔をだした。ああ、色々と大事ななにかを失った気がするが、ようやくあの少年のもとに帰れる。
「ニドキングとメタV5は相性がとてもいいみたい。それとなんとなんと、たまごがあったのです! このたまご、ほしいよね?」
「はい、そのたまごもらいます。引き続き2匹のことお願いします」
そう言って少年は去っていった。
待ってほしい。
本気で待ってほしい。なんでそんなにドライなのだ我がトレーナーよ。たまごなんてひとつでいいじゃないか。いくつも生ませるなんて倫理的にどうなのだ。
誰だ、あの少年に厳選など教えたやつは。絶対に許さん。普通のトレーナーとしての道を歩ませるべきだったのだ。廃人への道を教えるなど、ありえてはならないのだ。
他者を廃へと誘う畜生の姿を見てみたい。そしてそいつに同じ目に合わせてやりたい。
そんなことを考えていたら、肩をポンと叩かれた。
振り向くとそこにはニドキング姿のケダモノがいた。
何故かあずかりやさんは丁度部屋の奥に引っ込んでしまっていた。
───まさか昼間からこいつ、あなをほる(意味深)気ではないだろうか。いや、そんなまさか。
数時間後、そこにはまたひとつたまごがあった。
そのとなりには快楽に堕ちた表情で痙攣し、意識を失っているニドキングの姿と、やけに満足げなメタモンの姿があった。
七夕の日になにを更新してるんだ私は(正気に戻る)