事件も大事。こういうのを乗り越えて強くなっていきます。
まだもう少し
それはなんの予告もなく、起こってしまった。
いつも通り、父さんは任務に行き、母さんにはシスイとイタチと遊んでくると伝え、うちはの集落の中でシスイと1歳になったイタチと遊んでいた時だった。
「暗くなってきたし、そろそろ帰るよ、シスイ。」
「えぇー……、もうちょっとやりたかった。」
「また明日ね?」
色々と文句を言ってるシスイと、まだ見ているだけのイタチを抱えて歩き出す。一応、俺が一番歳上なんで、2人を送り届けてから帰る。
「……。」
「でな! そん時の父さんが……って、聞いてんのか? ハルトー??」
いつもなら楽しく色んなことを喋りながら、帰るけど、今日は違った。
―――シュンッ!!!!
「「!?!?」」
突然、大量のクナイが俺らのいた場所に突き刺さり、僅かにかすりはしたが、イタチとシスイを一緒に間一髪でかわした。
「誰だ!」
すぐに、飛んできたと思われる方向にクナイを構える。
出てきた相手に、俺は目を疑った。
「……暗部のお面。」
いや、暗部は今は三代目の配下にあるはず。
……ってことは【根】のやつらか。
いろんな動物の面をつけた5人もの忍の姿。
チャクラを抑えているのか、チャクラ量が少ないようにみえた、が、そんなことはあるはず無かった。……クソっ、子どもだからって馬鹿にしやがって。
「シスイ、走れる?」
「へっ? なんで??」
正直、この部隊に囲まれた時点で、逃げるというのは無謀だった。飛雷神を使ったとしても、正直逃げ切れる自信が無かった。
守りながら戦えば、結果は目に見えてる。ならば、戦力を削ぐことを覚悟で一人でやるしかない。
多分目的は、幼いが将来有望なシスイだ。最悪、イタチも狙われかねない。考えられる最善の策だった。
「僕がすきを作るから、シスイはイタチを連れて全力で逃げて。」
「で、でもっ!!」
「うちはの集落に着いたら、すぐにイタチのお父さんにこのことを言ってほしい。
お願い、シスイにしかできない事なんだ。」
その言葉でわかってくれたのか、渋っていたシスイも納得した。シスイにイタチを渡す。
「“影分身の術”」
既に身につけた影分身を出す。出した分身は11。そのうち1人をシスイたちにつける。
「行くよ、シスイ。」
「おう!」
俺、波風ハルト。
本戦の初陣はVS根。
……レベル高すぎんだろ。
まぁ、新しく覚えた術を使える場って思うことにしよう。
そんな文句をたれながら、素早く印を組む。
「“水遁・爆水衝波”!!」
俺の背後から、大量の水が津波のように押し寄せる。根のやつらは難なくかわし、シスイたちも俺の分身が避けさせた。だが目的は、別に当てることではない。
辺り一帯を、水気の多い地帯にすること。
おかげで得意性質が水じゃない俺でも、水のないこの地帯で、楽に水遁が使える。
「“水遁・
上空で急激に冷やされた大量の氷が降る。暗部たちは消し飛ばそうとするが、どんなに粉々になっても殺傷能力が消えることがないのが、この技の特徴だ。攻撃すればするほど、粉々になって攻撃数が増えるだけ。
暗部が上空に気を取られている間に、シスイたちは逃げた。
「追えっ!」
「「「「はっ!!」」」」
ちっ、やっぱり狙いはあいつらか。だが、
「行かせるわけねぇだろ。
“雷遁・感激波”!」
先程流した水を通って電流が流れ、その衝撃で水が電気の通った壁のようになる。これを使うためにさっきの水遁をやったと言っても、間違いではない。
「通れるもんなら、通ってみろ。通りきる前に感電させて、永眠させてやるよ。」
諦めたのか、先に俺を始末した方が早いとわかったのか、五人が一斉にこちらに向かってくる。
「行くぜっ!」
『『『『『よっしゃぁ!』』』』』
オリジナル+影分身が動き出す。分身が腰の刀を抜き、印を組む。
『“真空剣”』
最早、得意忍術となった風遁の一つの術をくり出す。
ちなみに、オリジナルの俺は戦ってない。基本二対一で、俺は援護だ。
すきを見て、印を組む。
「“雷遁・感激波”!」
技発動と同時に、分身が高く飛び上がる。そして空中で印を組む。
『“雷遁・雷鼠激震”!!!』
上空から、十人×無限発の電気の弾が落ちる。
これが、俺が修行で最も重きを置いて行ったこと、“一人コンビネーション”
その名の通り、分身体とコンビを組む技で、話の合うやつが全員幼くて戦えないとわかり、必死に考えた結果だ。
いやぁ、チャクラが多くてよかった。
敵がほとんど痺れて動けなくなり、後は大人たちが来るまで待つだけ。
木の葉の暗部が攻め込んだとなれば、何かと揉め事になりかねないが、戦闘を行ったのが俺ならば、うちはが拗ねることもない。
幸い、俺の父さんは波風ミナトなわけで、ちゃんと話せば、うちはとの溝が出来るなんてことないと思う。
そんな呑気なことを考えながら、待っていた時だった。
「っっ!?!」
突然、身体に力が入らなくなる。確かにチャクラは結構使ったが、こんなになるまで使った覚えはない。
それに、これはチャクラの消費によるものではない。
「チャクラが暴れてんのか……!?」
俺の身体ん中で、チャクラの流れが乱れていた。
攻撃を受けた覚えのない俺が、思い当たるのは一つだけだった。
「最初の……っ、毒付きクナイかよっ!」
シスイとイタチに負担がかからないようにと、回避のスピードが少しだけ遅くなっていたのは事実だった。
立っていられなくなって膝をつく。嫌な汗も出できた。
戦闘中に毒が回ることがなくてよかった。……とりあえず、全員倒したから大丈夫だろ、
そう、気を抜いたのが間違いだった。
「ほう、手練の駒をおくったが、このような小僧にやられるとはな。」
「なっ!?」
バク転でかわす。俺の元いた場所で、刀が空を切った。
「反射神経も上々、感知能力も高いか。うちはの小僧は逃したが、お前を捉えればむしろ良い結果が得られそうだ。」
「誰がてめぇの言う通りにするなんざ言った。勝手に話進めんな。」
「あの毒を受けてなお、自我を保てるとは大した小僧だ。」
正直、強がり100%だ。立てているのも、自分が一番驚いている。
目の前に現れた男は、先ほどの敵と同じような面をしており、すぐに暗部だとわかった。しかし、チャクラの量がさっきのヤツらとは比じゃない。
―――くっそ、万全だったらこんなやつ……
「てめぇ、何者だ。」
「面をしている者が、自ら名乗ると思うか。」
「……、
いーや、
力づくで聞くまでだ。」
「!」
俺は先の戦闘で放っておいたマーキング、新たな敵の後ろのクナイに飛んだ。敵の刀とクナイが交わり、キーン!!という甲高い音があたりに響く。
「“風遁・花散舞”!」
後ろに跳びながら印を組み、台風のような強風が、大量の花びらを巻き上げるようにして敵に向かう。
暗部ほどの感知能力であれば、目くらましにとならない……が、その弱さが肝。
「“忍法・漂花睡”!」
「!!……ちっ、」
漂花睡は花びらを使った、俺が初めて覚えた幻術の一つ。花びら一枚一枚に幻術をかける術が仕込んである。
「“雷遁・風華雷光”!!」
かわす必要のない弱い術と、避けようにも避けられない幻術の花びらに、一気に最大級の威力を持つ術を施す。
俺の得意性質・風以外の性質で最も得意とする術だった、
……が、
「くっそっっ!!」
「チャクラが全快であれば、今の術で死んでいたかもしれぬな。」
完璧に決まっていた。タイミングも、力の配分も、何もかも。
ただ、毒で乱され、消費していた俺のチャクラでは、最大級の威力は出なかった。
「……っっ、」
腰の刀を抜く。正直、チャクラは練りたくねぇけど、そうも言ってられない。
「“雷華刀”!!」
刀が雷をまとい、チャクラをまとっているような色になる。ただ違うのは、時々バチバチという高音が鳴ることだけ。
目の前の敵と、俺自身のチャクラ。
結果的に俺はこの二つを相手にしていた。
なるべくチャクラを練ることを避け、体術で攻め込む。
「……ぐっっ、、」
「動きが鈍くなってるぞ。」
「なっ……!?」
背中を取られ、クナイが振り下ろされる。
―――ボフンッ
「分身か……、あの状態でまだチャクラを練れるとはな。」
「うるせぇ、死にたくなかったら、その口閉じろ。今すぐにでも、てめぇの首飛ばしてやろうか?」
立場は逆転。俺は敵の背後をとった。
面を外し、顔を確認しようとした時だった。
「「「「“雷遁・四柱しばり”!!」」」」
「はぁっ!?」
俺と敵の四方位から、巨大な岩の柱が出てきて、囲むように電撃が流れる。
実質、出られないようになってしまった。
飛び上がり、逃れようとしたが、
「“弐の式”!」
そう言うと、二つの岩から電撃を纏った縄のようなものが出てきた。その縄が、俺の両腕を縛る。
「……っ、」
気絶するほど強いものではない。かと言って、逃れるほどチャクラがあるわけでもない。俺にはただ、大人が早く来ることを祈ることしか出来なかった。
「……しぶといな。…………、やれ。」
「はっ。」
俺が戦っていたやつの指示で、四人の忍が再び印を組み直す。
「“雷遁・十六柱しばり”」
「……っ、
ぐぁぁぁあああああ!!!」
意識が飛びそうになる。腕だけじゃなく、足や腰にも電撃を纏った縄が巻き付き、さっきまでとは全く比べ物にもならないほどの電撃が、俺の身体に流れる。
―――やるしか……ねぇか。
最後のチャクラを使い、俺の腕を拘束している電撃が流れる縄を引きちぎる。
「……なっ!?」
まさか引きちぎられるとは思ってなかったようで、印を組み直すのが少し遅くなる。
そのすきを見逃すほど、アホじゃない。
「“口寄せ”っ!!」
親指を噛み、血をもう片方の手のひらに付けて、口寄せの術式を檻の外に展開する。
狙い通り、電撃の檻の外に弥白が表れた。
『主!』
「弥白! 頼むっ!!」
その言葉を聞くなり、弥白は走り出した。
指示をせずとも、何をするべきなのか、あいつには分かっていた。
「追え。何かは知らぬが、捕まえて消せ。」
「白狐は九尾の同族。てめぇらなんかに捕まるかよっ。
それにあいつの逃げる場所は、こっちの世界じゃねぇ。」
「……。」
そう言うと諦めたのか、リーダーの男がこちらを向き、言った。
「なるほど。
口調が違って気づかなかったが、その見た目と忍びとしての才、時空間を操る術……、
貴様が、噂のミナトとクシナの子か。」
「……。」
「黙れば余計に分が悪くなることを知らんのか。」
「……。」
「まぁよい。貴様を連れていけば、全てわかることだ。」
「……るせぇよ。」
「何?」
「てめぇの方こそ、べらべらべらべらうるせぇよ。俺の親がどうした。
んなもんに怯むくらいなら、今すぐ消えやがれ。」
「……。」
次は向こうが黙った。
行かせる訳にはいかない。
気付かれる訳にはいかない。
そして、巻き込む訳にはいかない。
早くしなければ、父さんたちよりも先にうちはが来る。今ここで、木の葉とうちはの溝を作る訳にはいかない。
木の葉の根と、
「…………様、」
「!!」
そうか、あんたかよ。
声は聞こえなかったが、その口の動きではっきりと分かった。
なおさら出会わせるわけにはいかなかった。
再び集中を高め、遠くにいる最後の影分身に意識をつなぐ。
―――気づかれてはならない、と。
うちは一族を足止めをして、すぐに父さんの所にでも行けばいいんだけど、それよりもうちはがこいつらと争うことの方が避けたかった。
「(やべぇ……意識、きれる……。)」
ナルトの誕生まであとどれくらいだろうか。
いや、その前にサスケか……。
その前には帰ってきたいな……。
……いや。それよりも、
まだ、もう少し……
父さんと母さんと、いたかったなぁ。
俺の意識は完全に切れた。