HARUTO~原作のないNARUTOの世界へ   作:ゆう☆彡

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長らくお待たせしてしまって申し訳ありません。
少しだけ、夏休みを謳歌しておりました。

今日からまた、投稿続けていきますので、よろしくお願いします。


悲劇の賜物

 

 

 

「シスイ! 待て!! 落ち着け!!!」

「落ち着いてられるかよっ!! ハルトがっ、影分身を解かなきゃならねぇ事態なんだぞ!!!」

「そのハルトをそのような状況に追い詰めた敵の前に、お前単身で乗り込んで、何になる。」

「っ!!!」

 

厳しい言葉。ただ、それが現実だった。

 

 

「ミコト。二人を頼む。」

「えぇ。」

 

 

 

 

 

 

「……俺も行く。」

「……。」

「シスイくん……。」

 

 

「ハルトは俺らを守ったんだ。俺がもっと強ければ、ハルトだけが残ることなんてなかったんだ!」

 

 

 

 

その叫びは、【自分への失意】。そして、幼い頃から目標であり、憧れであり、兄であったハルトからの【大きな友愛の喪失】。

 

 

 

「!! シスイ、お前……、」

 

“写輪眼”

 

うちは一族が持つ、三大瞳術の一つに数えられる最強瞳力。

 

大切な者が開眼に関わるこの瞳術を開眼させるということは、つまり、波風ハルトという存在が、シスイの中でそれほど大きなものだったのだ。

 

普通ならば、写輪眼を開眼したことは、その過程が如何なるものでも喜ばしいことのはずだった。

しかし、

 

 

「なんでっ!! 俺はまだ!

 

 

 

ハルトのことを失ってなんていねぇ!!!」

 

口に出していても、頭では理解している。だからこそ、それが、瞳術という形で表れてしまったのだ。

それは、ハルトの凄さを一番知っているシスイだからこそ、あの影分身の消え方だけで、全てを理解してしまったのだ。

 

 

 

 

「……シスイ、ついて来い。」

「!!」

「あなた……、」

「イタチを頼む。

 

それから、シスイの親に伝えておいてくれ。」

「……わかったわ。」

 

 

この時、フガクがシスイを連れて行くことを決めたのは、この写輪眼が大きな負の感情の中で生まれるものだから。負の感情の中で手にした強大な力は、術者に多大な影響を与え、暴走を引き起こす場合もある。

 

それは純粋な子どもであればあるほど、その力にのまれてしまうのだ。

 

 

 

だから、その監視。……そう、思い込むようにした。

 

 

 

 

 

本当は見てみたかったのだ。

 

うちは一族の天才忍者と言われるシスイに、写輪眼を開眼させるまでの影響力を持つハルトが、最後に言ったあの言葉の、

 

 

 

 

 

『……どうか、木の葉を疑わないで下さい。』

 

 

その意味を。

 

 

───────────────────────

 

 

「……ハル、ト……っ、」

『主……っ。』

「くそっ、遅かったかっ!」

 

 

うちは一族の修行場所の一つ。ミナトたち一行がそこについた時には、既に人の影も気配もなかった。

 

広がるのは、先程まで戦闘が行われていたことがわかる、クナイや手裏剣の残骸。

そして、その凄まじさを語る、……赤。

 

 

 

『クシナっ!』

「!?」

 

 

──ボフンッ!!

 

弥白がギリギリのところで、大きくなって倒れかけたクシナを支える。

 

「ごめんなさい、ミナトっ。……ありがとう、弥白。」

『構わぬ。このまま、乗っておれ。』

 

その言葉に甘えて、クシナはそのまま弥白の背中に乗った。

 

『感知できぬところに行ったか……。』

「あぁ。ハルトのチャクラももう感じない。残留チャクラはまだかなり残っているから、結界を張って移動している可能性が高いな。」

 

 

地面に刺さっている一本のクナイを引き抜く。

 

「これは……、」

『主の血だ。』

 

それは、ハルトが最初に攻撃を受けた毒付きのクナイ。

 

「かなり強力な毒だね。」

『主のチャクラが途中から乱れ始めていた。その毒のせいだろう。』

 

 

──そんな中で、弥白を口寄せしたのか。

 

チャクラが乱されている状態、つまり、自分の意識でチャクラを操れていない状態で、口寄せをすることなど、不可能に近い。というより、どんな術も発動することは難しい。

 

「お前は消えそうじゃないかい?」

『あぁ。主からのチャクラの供給は切れておらん。今も、微弱ながら送られ続けていることはわかる。』

 

そんな中で、口寄せ動物を口寄せするだけじゃなく、その存在を維持し続けている。

 

ハルトの実力はかなりのものだと認識していたが、ここまでだとは予想していなかった。

そして、そんなハルトがやられた敵の姿が、全く見えなかった。

 

 

 

 

 

 

「弥白っ!!!!」

『!? ……シスイか??』

「シスイくん、それに……フガクさん?」

「久しいな、ミナト。」

 

 

 

 

「……お二人だけですか?」

 

うちは一族の集落で起こった出来事。ハルトがシスイにうちはの大人、それも警務部隊長に伝えに行くように言った時点で、警務部隊が動くと思っていた。

 

「お前の息子から、言われたのだ。」

「!? ハルトからですか?」

 

そんなミナトの疑問を見透かしたように、フガクは答えた。

 

「木の葉を疑わないでほしい、とな。どういう経緯かは知らんが、木の葉とうちはの間にいざこざがあることを、あいつは知っていたのだろう。

だからこそ、シスイとイタチと一緒に自らの影分身も付けた。」

 

 

──シスイから言われたことが、捻れて伝わらないように。

 

「その意を組んで、来たのは二人だけだ。うちはの者には、何もされていない。こちらが怒る理由も無いからな。」

「ハルト……。」

 

 

最早、どこまでもハルトは考えていそうだった。

うちはの優秀な二人に攻撃されれば、問題になりかねない。しかし、攻撃されたのが次期火影と名高いミナトの子どもならば、話は別。

 

 

『おそらく主は、そこまで考えておる。』

「!!」

『自らの父は、里を不安に陥れるような問題にすることはないだろうと信じ、自己犠牲を選んだのだろう。』

「……そうか。」

 

 

 

 

「ミナト……。」

 

子どもが、自分を信じてそこまでしてくれた。そのことを蔑ろにする訳にはいかない。

顔をあげたミナトは、決意をした強い眼をしていた。

 

「大丈夫だよ、クシナ。ハルトは俺たちの息子だ。

 

ハルトを信じよう。」

 

巨大化した弥白に乗るクシナに優しく語りかけた。

 

「ミナトさん、……俺っ、」

「シスイくん。ハルトとの約束を守ってくれてありがとう。」

「!!」

「きっと、君だからハルトも任せられたと思うんだ。

 

それに、君の瞳はきっとハルトを助けるのに役に立つよ。」

「っ! ……はいっ!!」

 

 

そう笑顔でシスイに言うと、立ち上がり、改めて気を引き締める。

 

「木の葉で捜索隊を出してもらう。この事を知れば、三代目もお許しくださるだろう。

 

フガクさん、ここには木の葉の者が来るまで、誰も近づけないで貰えますか?余計な混乱は避けたいので。」

「あぁ。分かった。」

 

「弥白。お前は、ハルトから送られてくるチャクラに変化があったら教えてくれ。

 

今は、お前だけがハルトの生きてる証だからね。」

『分かっておる。』

 

 

 

 

 

 

「……。」

『顔を上げろ、シスイ。』

 

クシナも加わり、大人たちだけで話している時、少し離れた場所でハルトがいたであろう場所を、シスイが俯いて見ていた。

 

「弥白、大きくなったな。」

『そんなことが言えるなら大丈夫、

 

 

 

 

……でもないようだな。』

 

弥白が下から見たシスイの目には、大粒の涙が溜まっていた。

 

どんなに天才と言われている忍だとしても、まだ幼子。

そして、その年齢で兄と慕っていた人をなくしたのだ。そういう感情になるのは普通のことだった。

 

 

弥白のふわふわの毛が、シスイの俯いていた顔を上げさせる。

 

『泣くでない。

主が我を残したのは、お主らに主自身が生きていることを見せるためだ。

 

お主が泣けば、主のしたことは無駄な事になる。』

「弥白ぉ……。」

『……仕方ない。』

 

 

弥白の首に抱きつき、涙を流し、そして誓った。

 

 

 

 

──絶対、ハルトは帰ってくる。

 

───次は、俺も隣に立てるようになる。

 

 

 

『……

 

 

 

 

お主はよい忍になる。』

 


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