作者的に、区切りたいところで区切ってるので……、お許しください。
たくさんの評価、コメント、お気に入り登録、ありがとうございます。
──ペタ、ペタ、ペタ
冷たい床を歩き、
──キーーー
重たい金属の扉を開け、
──ガシャン!!
その扉を閉められる。
「解っ!」
「……。」
術が解かれると、俺の視界は初めてクリアになる。
「今日は終わりだ。明日まで大人しくしていろ。」
──バタンッ
「っ、!!!」
俺を連れてきた忍が出ていき、扉が閉まると同時に、壁に寄りかかった。
──今日は随分と抜かれたな……。弥白へのチャクラ、足りてるか?
何日経ったのか、今がいつなのか。そんなものは、初めて目を覚ました日から既に、分からなくなっていた。
木の葉の根の連中に連れ去られた後、目が覚めた場所は、どこか地下牢のような場所だった。
それからは毎日、同じような生活。
決まった時間に牢から出されて、冷たい鉄の上に寝かされ、チャクラをとことん奪われ、そして、何か変な薬を打たれる。
もちろん、チャクラは練れないようになっている。どんな仕組みかは知らんが、練ろうとすると、全身が燃えるように熱くなる。
だから今は、口寄せしてきた弥白を維持するための、微量のチャクラしか送れない。
「あー、きっつ。」
打たれてる薬も、もちろん何かわからんくて、とりあえず、身体を流れるチャクラに異物が流されてる感じだ。それが、一層、チャクラを練るのを阻害してる。
弥白が見たり、感じたりするものを俺が認知するには、弥白の口寄せを解かなきゃならない。そして、解いてしまえば、弥白を口寄せすることは出来ないことは、今の自分の身体を考えれば当然のことだった。
今、弥白の口寄せを解けば、俺は死んだ扱いになるかもしれない。そう考えると、怖くて解けなかった。
考えが無いわけじゃない。
俺を縛ってるこの術も、縛られ続ければ慣れてくる。そうすれば、ここの檻を壊して逃げることくらいは出来る。
ならば、今出来ることは、絶対に奴らに屈しないこと。それだけを目的に、毎日生きていた。
「だいぶ慣れてきたようだな。」
「そろそろ次の段階にいけるか……。」
俺が思っていた以上に、根の奴らは手強かった。
チャクラを練ることを阻害する術の威力は、強まったりはしていない。むしろ、そちらの方は慣れてきていた。しかし、俺に打ち込まれる異物は、適当な期間ごとに違うもののようだった。
俺は、そっちの方になかなか適合できずに、かなり苦戦していた。
「これで最後か。」
……最後?どういう意味だ??
「これに適合したら、あの方もお喜びになるだろうな。」
「ここまで来た者も数少ない。それに、こいつほど拒絶反応が少なかった奴も初めてだ。」
まぁそれは、俺が必死に耐えてたからなんだけど。
「じゃあ、打つぞ。」
余程、興奮しているのか。いつもなら、タイミングなんて分からせずに打つのだが、今回は勝手に教えてくれた。
──ドクンッ!!!
「!?」
──まじかよっ!!!
いつもの比じゃない。全身がその異物を取り出そうと、戦っている。完全に、チャクラが俺の中で暴れ回っている。
「っあ……、くっ……そ、がっ……!」
「……いつも通りの反応だな。」
「後は牢に入れておけ。耐えれなければ、こいつもそこまでだ。」
っ!……慣れたような反応しやがって……っ!
こちらの状況に全く狼狽えていないことを見ると、想定内らしい。一体、どんだけの人にこんなことしてきたんだっ、こいつらっ!!
「!! くそ……っ、……っ!!!」
慣れた手つきで、いつも通りの牢に入れられる。
「解。」
いつも通りに術が解かれ、クリアになった視界で捉えたあいつの顔を、俺は忘れることはない。
もちろん、面をしているから本当に顔が見えた訳では無い。それでも、
「絶対ぇ、生き残ってやる……っ!!」
明らかに人を見る目ではなかったことは分かった。
また失敗作か……と、軽蔑するような目。
その目を、俺は絶対に忘れない。
お前らのその面を剥がし、黒幕を見つけるまで、絶対に死なない。
お前らが俺に与えた力で、お前らを必ず、
この手で。