こんにちは、お待たせ致しました。
今回の話はミナトが【根】の存在を知らない前提で書かせていただきました。もし違ってたら、すみません。
たくさんのお気に入り登録、感想、ありがとうございます!!
「……ただいま。」
絶対にいるはずなのに、真っ暗な自分の家。もしかして……と、嫌な想像ばかりする自分がいた。
「帰ったよ、クシナ。」
「……! おかえりなさい、ミナト。」
ついさっきまで泣いていた跡が、隠しきれていない。クシナは必死に隠そうとしているみたいだけど、
「俺の前では我慢しないでよ、クシナ。
隠す必要ないよ。」
目元の涙の跡を、優しく撫でる。
「大丈夫。ハルトは俺たちの自慢の息子だ。
弥白もいるんだから、あんまり泣いてると後でハルトにバレるぞ?」
『そうだぞ、クシナ。主が頑張っておるのに、お主が泣けば主も泣くぞ。』
「……、ふふっ。それは困っちゃうってばね。」
若干ぎこちないけども、少し笑顔が戻ったクシナに安堵する。
ハルトが誘拐されて、かなりの月日が経った。
あの後俺は、その場をフガクさんと弥白に任せて、三代目に全てを話しに行った。
その時に衝撃的な事実が判明した。
「それは……【根】の仕業かもしれぬ。」
「【根】……ですか?」
上忍の俺でも聞いたことのない部隊の名前だった。
「【根】の存在を知っている者は数少ない。なぜなら、その部隊はワシが既に解体したからじゃ。」
「ですが、実態はまだ残っていると……。」
「あぁ、ここまで来てしまえばもはや【根】の長の考えに心酔しておる、とも言えるのじゃろうな。」
火影の椅子から立ち上がり、窓の外を見たかと思えば、こちらを振り返る。その瞳には、なにか決意が宿っていた。
「ミナト。ワシはお前が次期火影だと目にかけておる。」
「ありがとうございます……?」
「時が来れば話さなければとは思っておったが、そう悠長なことも言ってられぬようじゃ。
話しておこう、木の葉の“表”と“裏”を。」
「……。」
そこから三代目から聞いた話は、どれも信じ難く、そして根深いものだった。
「タカ派とハト派がいるのは薄々気づいてはいました。
ですが、暗部の養成部隊の【根】という組織のことは知りませんでした。」
「暗部の養成部隊であれば、暗部の面と間違えても仕方あるまい。」
それはシスイがフガクに伝えたこと。
「そしてそこの長が……、」
「間違いない。
志村ダンゾウだ。」
「ダンゾウ様が……。」
三代目と同じく二代目火影・千手扉間を師として仰ぎ、その能力もさることながら、火影とほぼ同等の権力を持つと言われる、間違いなく木の葉に多大なる影響を与えている人物であった。
「本当にダンゾウの仕業であるのであれば、手際の良さも追跡が困難であることも納得がいく。」
そりゃあそうだ。木の葉の人間なのだから。
そのせいであらゆる面で障害が生じる。
もし、その部隊の模倣犯の仕業で、【根】が何も関与していなければ、こちら側の問題になってしまう。
逆に、本当に【根】の仕業であるのであれば、それはそれで問題である。
「すぐに捜索隊を編成する。
事の大きさと根の関与している可能性を考えて、事態は極秘に捜査しようと思うが、よいか。」
「はい。お願いします。」
本当は大々的に捜査して欲しかった。
しかし、
『木の葉を、疑わないでください。』
『お前の息子に言われたのだ。』
「……(ハルト……、頑張ってくれっ)。」
息子の願いを、親が壊すことなど出来なかった。
ハルトは既に、“木の葉の忍”であった。
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『!!』
「弥白??」
ミナトが通常任務に着いてる時も、弥白はなるべくそばを離れずに、ついて行くようになっていた。
万が一、戦闘が始まったらすぐに時空間に逃げること、というクシナとの約束(という名の脅し)があるため、消えることがないように配慮はされていた。
そんなことをしたら、我が主に怒られる、と言った弥白を笑顔で黙らせたクシナの顔は記憶に新しい。
そしてそれは、ミナト班はハルトの事情を知っているということ。もちろん、木の葉の裏側は知らないが、オビトたちは木の葉で唯一、ハルトの事件を知る下忍だった。
弥白が突然なにかに反応し、止まってしまった。既に任務も終え帰り道だったため、特に急いでいなかったので、全員が止まった。
『まただ。』
「そうか……。」
『しかも、今度は強くなってる。』
「!? ……それはおかしいね。」
「強くなってるって、ハルトのチャクラがってことですか?」
ミナトと弥白の僅かな単語のやり取りだけで、カカシは何を言っているのかを察した。
『さすがだな、はたけカカシ。』
弥白が目を細めて、カカシを褒める。
「そういうことだよ。最近、弱まることが多かったんだけど、強くなってるっていうのは初めてでね。」
「囚われてる身である以上、回復してもらうってことは無いですよね……。」
『主の今の力では、自力で回復するのも難しいであろう。』
班の中で医療忍者としての役割を持つリンも、真剣に考える。
「……考えたくはないけど、何かしらの方法で新しい力を手にしたのかもね。」
「じゃあ! ハルトは実験みたいなことされてるってことかよっ!」
「落ち着いて、オビト。まだ可能性の話だ。」
と言いつつ、他に何も考えることが出来ないのも事実だった。唯一、喜ばしいことは、ハルトが生きているということだった。
『チャクラが回復したというよりは、今まで抑えられてきた何かが無くなったという感じだ。
そのおかげか、主が少し元気になっているのが伝わってくる。』
それが、ハルトが手に入れた新しい力であることを、
まだ誰も知らなかった。