──……やしろ。
『!?!?』
「弥白?」
──やっと、……、、、、。
『クシナ!!』
「!?」
『ミナトに連絡しろ!!』
「どうしたってばね!!」
『主の……、
ハルトの意思が聞こえている!』
その日は、ようやく訪れた。
「そうか、弥白が……。」
「三代目! すぐに捜索隊を出して下さいっ。」
「分かっておる。お前の気持ちもわかるが、焦るなミナト。」
クシナからの伝達を受けて、火影室にはミナトと三代目・猿飛ヒルゼンの姿があった。
「すぐにでも出したいのだが……、今、里の上忍は別の任務でいないのだ。」
この件が【根】の暗躍であること、そして、うちはが巻き込まれかけたこともあって、里の中でも極秘扱いとなっており、担当している忍は上忍ばかりだったのだ。
「俺だけでも行きますっ!」
「そんなことは里の長として許可できんっ。」
「っ!」
ミナトも分かっている。火影という立場で、民を危険な目に合わせるわけには行かないことは。
分かっていても、どこかで私情が入ってしまっていた。
「落ち着け、ミナト。お前が焦れば、出来ることも出来なくなる。」
「「!!」」
火影室の扉のところにいたのは、イタチの父、フガクだった。
「フガクさん!?」
「警務部隊か……。確かに戦力としては申し分ないが……、」
「いえ、今回は俺だけです。」
うちは一族の力は借りたかったが、今回は事が事だけに容易には頷けないところではあった。
「我らの一族が狙われていたことは既に承知しています。その事を理解している俺が一番適任かと。」
「じゃが、二人というのも……」
「後は、ミナトの部下を連れて行きます。」
「……なんじゃと?」
ミナトの部下といえば、もちろん、カカシとリン、そしてオビトのことだ。
「残っている忍の中で、事を理解しているのはあいつらだけです。」
幼いハルトでは、関わった人物はそう多くはなかった。が、関わった人物にとっては相当印象に残る忍でもあった。
そのため、ミナト班のメンバーは、すぐにハルトがいなくなったことに気づいた。
「確かに、彼らはハルトの身に何かが起こっていることも理解しています。
上忍がいない中でこなせるのは、彼らだけです。」
結局、その三人を同行させた計五人で、ハルトの捜索に出ることになった。
「三代目。」
「なんじゃ。」
「今回の出来事の真実を、俺はフガクさんには話しておくべきだと思います。」
「……なんのことだ。」
それは、木の葉の裏側のこと。
ミナトですら知らなかったこと。であるならば、うちは一族は知っているはずなかった。
「今回はハルトが攫われたので、うちはと木の葉の関係は悪化しませんでした。しかし、本当の狙いがうちはであるならば、フガクさんにだけは話しておくべきかと。
この人なら信頼出来ます。
うちはと木の葉の関係が、これ以上悪化してはならない。
……とれる、最善の策かと思います。」
ただの上忍が、火影に進言したところで通ることのない話。だが、それをしているのが波風ミナトであるならば、話は別なのだ。
いずれ、彼が長になり守っていく国を、彼なりに良いものにしようとする、その進言を蔑ろにはできない。
「相わかった。ミナト、お主がそこまで言うなら話そう。
じゃが、今は時間が惜しい。すぐに出発の準備をせい。移動中に話すほうが良い。」
「わかりました。」
極秘情報を扱っているにも関わらず、移動中にその会話を許す。
それは三代目なりの、彼らへの信頼の表れだった。
───────────────────────
「これが俺が聞いた真実です。」
「“暗部育成の根の存在”と“火影と同等の力を持つ志村ダンゾウ”か……。
確かに、俺ではないうちはの者が聞けば、怒り心頭だろうな。」
「そうですね……。うちはに限らず、木の葉全体に混乱を起こしかねません。
そしてその混乱の矛先は……」
「あぁ。志村ダンゾウによって、うちはに向くだろうな。」
ハルト捜索任務のため、移動中のミナトとフガクは、カカシ、オビト、リンを同行させて、先頭で話していた。
フガクには話した。しかし、だからといって何かが解決する訳ではない。
「……っ、」
ミナトは自分の無力感を悔いた。
──ドガーンッ!!!!
「「「「!?」」」」
「先生っ!!」
突然、先の方で黒い煙があがった。
「ハルト……っ!」
『あぁ……間違いない。主のいる場所だっ。』
「っ!!」
──やっと……、見つけたっ。
「急ぐよっ!」
「「「はいっ!!!」」」
隊のスピードが一気にあがる。
「ミナト。」
「!!」
ミナトの横を急ぐフガクが、話しかけてきた。
「今は余計なことは考えるな。お前の身に何かあっては、任務は失敗だ。
それから、俺は今回、お前が絡んでいる任務だからこそ、同行に名乗り出たのだ。」
「!!」
「うちはと木の葉の関係が良い方向に向かっていないことはわかっている。それを知った上でお前の息子が、身を挺した。
俺もお前の息子と同じことを考えている。」
「どういう……」
「お前だから信じているということだ。」
「!!」
それは木の葉のせいで何かと不便を強いられてきたうちはの者からは、聞けないと思っていた声。
「ミナト。お前が火影になって、里を変えると、俺は信じてる。
そしてお前なら、言葉だけじゃなく行動で示してみせる、とな。」
──これもその一つだと思え。
そう付け加えられたフガクの言葉。
これが、後に火影になる波風ミナトの全ての行動に繋がっていく。
『言葉だけでなく、行動で示してみせろ。』
たくさんのお気に入り、評価、ありがとうございます!
これからも頑張っていきます!!
私事ですが、早くヒロインを出したいあまり、書きだめでヒロイン登場を書いてしまいました(笑)
皆さんに見せられるのはいつになることやら……。
これからも見捨てずに、応援していただけると嬉しいです。
~追記
タイトルつけ忘れていました(汗)申し訳ないです。
【ナルト、お誕生日おめでとうっ!!!】