たくさんのお気に入り、ありがとうございます!
みなさんの期待に応えられるよう、頑張ります!
またまたオリジナルの術です。
やっぱり、地雷の方はご注意くださいm(_ _)m
──ハァハァ、ハァハァ、
「どうした、へばったか。」
「……っ、クソっ!」
「まぁ、ワシ相手にここまでやったのだから、充分だろう。」
術の威力は負けていない。むしろ勝ってる。
が、この間まで忍なんて二次元の世界と思っていた元一般人であり若干四歳の忍と、数々の修羅場をくぐり抜け、三代目火影と共に成長した忍とでは、経験の差がありすぎた。
「お前を外に出すわけには行かんのでな。」
「それは……、俺がここの存在を知ったからか。」
そう聞くと、ダンゾウは僅かに目を開き、膝をつく俺を見下ろした。
「お前の口を封じておく手などいくらでもあるわ。
お前が適合させたその力が最初から目的だ。まぁ、あわよくば暗部に引き抜こうとは思っていたがな。」
やっぱりそうか。
血継限界にも分類される晶遁。その力を適合させた俺の身体を調べ尽くしたいのだろう。どうやるのかは知らないが、それを別個体に移植。
……考えただけでも悪寒がする。
「んなこと、されてたまるか。」
「口ばかり強がるな、弱く見える。」
ダンゾウと一気に間合いを詰め、体術で応戦する。が、本来持つはずのない写輪眼の前では、すべて見切られる。
「その写輪眼……、一体どこで手に入れた。」
「それを知ったところでどうする。
……ワシを殺すか?」
「……。」
「すべては木の葉のため。
木の葉がうちはを抑えておくためには、それと同等、もしくはそれ以上の力を持っていなければならぬ。……ヒルゼンは甘すぎるのだ。」
そう。これがこいつのすべての行動に繋がっている。
一概に悪いとは言いきれない。木の葉を守るための行動としては、何も悪すぎる策ではない。
ただ、最良の策でもない。
その中に生まれた僅かな犠牲者が、いつの日か木の葉に大きな影響を与えるとは知らない。──いい例がうちはサスケだ。
「何を言ってもお前とは分かり合えなさそうだな。」
「お前が波風ミナトの息子であるならば、尚更であろう。」
──いーや、そういうことではない。
俺は、父さんやナルトのように里のために自分を犠牲になんて出来ない。
「俺は、自分の大切なやつが傷つくのが嫌なだけだ。」
いつの日か、お前がシスイやイタチを苦しめることになるから、お前を憎んでいるだけ。
お前が持つ写輪眼も、今、奪っているということではなく、未来でそれに巻き込まれる大事なやつがいるということに、納得いかないだけ。
「……それだけで、俺の戦う理由は充分。」
そう思うと、何故だか心が軽くなった。
それが、何かのきっかけだったのかもしれない。
「気を抜いたな。」
「っ!?」
拮抗していた体術の応酬が、僅かに上回られ、首を掴まれ息が出来なくなる。
「いつの日かのために、お前には施しておいた方が良いようだな。」
「!」
痛みは感じない。なんの違和感もない。
──やめろっ
それでも本能が何をされたのか分かったようだった。
「お前がワシのことを話そうとすれば、術が発動して、話せなくなる。」
呪印だ。サイが施された術と同じものか?
「っぁ……! ケホッ……っ!」
酸素が回らなくなり、思考が遅くなる。意識が朦朧としだす。
「この状態であれば、幻術もかかるであろう。」
距離ゼロ。チャクラもほとんど使いきった今の自分に、あの幻術破りのチート能力が発動するかどうかは分からなかった。
「くっ……そっ……!!」
目を背けようとしてもそんな力はもう残っていなかった。
こんなとこで……また捕まるわけには……
──キーンッ
「!!」
「……なんだ。」
甲高い金属音がなったかと思ったら、身体を電流が駆け抜けたような感覚。
そして、
──ダンッ
「なっ……」
──ザッ!
──キーンッ!!
まさか抜け出すとは思っていなかったのだろう。蹴りを入れられた一瞬のうちに、俺はダンゾウの手から逃れた。
「ゲホッゲホッ……っ、」
自分の顔を鏡もなしに見ることは出来ない。それでも、何が起きたのかすぐにわかった。
はっきり見える。相手がどこを警戒し、どこを庇っていて、どんな動きをしようとしているのか。
ただ、見れば見るほど目に痛みが走り、既に少ないチャクラもどんどん消費されていく。それでも、何故かスッキリと感じている自分もいた。まるで、身体にあった異物が取り除かれたかのように。
「そっちも目覚めていたか……。」
ダンゾウの顔にうかぶのは驚愕。
が、知っていたかのようなその口ぶりに、再び怒りを覚える。
クナイに反射して写る俺の瞳は、ダンゾウと同じ赤だった。
「なんだ……、これ……。」
「“鏡眼”
……大蛇丸が研究しておった、新たな瞳術だ。」
「こんな、やばい術も作ってたのかよっ!」
本当に吐き気がする。しかし、今はそんなこと気にしている場合じゃない。
「俺は誓った。
お前が俺に与えたこの力で、お前を苦しめる。」
そして、今がその時。
「“晶遁・六角手裏剣”」
“鏡眼”と呼ばれるその瞳術の代償に奪われた残り僅かなチャクラを全開で使う。
写輪眼を宿すその瞳は、チャクラまでも見切っていた。どの程度のチャクラ量で、二種類のチャクラ性質は均衡を保つのか。
──キーンッ!!!
甲高い金属音が、周囲一帯に響きわたる。
それは晶遁だけではない。風の性質チャクラが、晶遁の手裏剣を纏うようになっていた。
風の勢いでより一層回転が早くなる。
「次にお前に会う時は、必ず決着をつける。」
「これを防げば、お前はワシのものだ。」
「防げるもんなら防いでみろっ。
“晶遁・螺旋六角手裏剣”っ!!!」
「“風遁・真空大玉”っ」
──ドガーンッ!!!!
巨大な爆発に紛れて、外に逃げる。
その音の中で僅かに聞こえたのは、
──ハルト……っ!
「父……さん……っ。」
久しぶりに聞いた、大好きで大切な人の声だった。