んー、短いなぁ。
……申し訳ないです。
それは、特に何かあった訳でもない。
普通に暮らし、普通に終える一日、
……になるはずだった日。
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上忍が通常よりも少なく、戦力が落ちてると言わざるを得ない木の葉の中で、
わずかに残る忍の中のまたさらに僅かな忍と、
未だ日の目を見ない、才能溢れる二人の忍びだけが、
その異変に気づく。
「「「「“土遁・大地動核”!!!」」」」
岩隠れの忍が、気配を消して木の葉を囲み、結界に対してゼロ距離から力づくで木の葉に攻撃を仕掛けてきた。
それは、奇襲には向かない明るい昼間である故の弱点。一般人が動くため、小さなチャクラを感知できなかった。いや、本来であれば出来たはずなのだが、今の木の葉にそれに気づくだけの実力者は少なすぎたのだ。
そして昼間の奇襲は、いきなり大きな被害が出なくとも、混乱から被害は拡大していく。
結界を無理矢理突破し、土遁を使った忍、即ちまさに今木の葉と争いの最中にある岩隠れの忍が木の葉の里に攻め入ってきた。
里のほぼ中心に位置するアカデミーにも、敵襲の情報はすぐに舞い込む。生徒を一箇所に集め、全教師で一つの場所を死守する。
そこでは、俺の住む世界では当たり前にすることをしない。いや、いつもならするのだが、今日はしていない。木の葉に上忍が少ないというのは、こうも影響を出すものなのか。
「どうだ?」
「うん……、やっぱり点呼しないなぁ。気づかれてないみたいだよ、僕らがいないこと。」
今は都合がいいから気に止めないが、うちの教師陣大丈夫か?
「気づくの早かったなー、ハルト。」
「シスイも同じくらいでしょ、アオイさんを引っ張ろうとしなければ。」
アカデミーの中で、誰よりも早く俺とシスイは外の異変に気づいた。その場で全員に声をかけてもいいんだけど、……この中じゃ混乱しか見えなかった。
シスイが反応したのは分かったから、天井を指して行こうとしたら、まさかのアオイさんの方へ走った。いや、走ろうとした。
その時の瞬神の速度は、過去最高だと思う。
俺だってアオイさんを助けれるものなら助けたい。それでも、俺には彼女が殺されない確信があった。
それは、奇襲を受けてからの敵の動き。
「やっぱり、真っ直ぐ向かってきてるね。」
「アカデミーを狙うなんて、珍しい戦法をとるやつもいるんだなー。」
木の葉に侵入した忍のほとんどが、一直線にアカデミーに向かってきていたのだ。忍としては一番戦力には向かない、……まぁ未来を見れば価値はあるけども。戦争において、一番最初に狙う標的ではないと思う。それでも敢えて、アカデミーを狙う理由。
「人質ってとこかな。」
「まっ、火影の体面考えても、無視出来ないよな。アカデミー生の人質は。」
上忍がいないとはいえ、五大国の中でも上位に存在する木の葉を、奇襲に裂ける最大限の人数だけで落とすのは無謀な話だ。ならばこちらの都合のいいように使える人質を取ればいいって話だ。
「で、ハルトー?」
「ん?」
「まさか、逃げるために屋根裏に隠れたわけじゃないよな?」
「……。」
ここにいる限り、滅多に戦場へ送り込まれることのないアカデミー生のシスイと、新たな力を試したい俺。
「……もちろん。」
誰よりも修行を積み、試したいことがたくさんある俺たち。
「もう少ししたら動こうか。」
「おう!」
隠れている身で大きな声は出せないが、意気込んだシスイの顔は、決意に満ちた笑顔だった。
そして、もう一つ。
「……弥白は上手くやってるかな。」
「なんか言ったか?」
「なんでもないよ。」
奇襲を受けてすぐ、ハルトのもとを離れた弥白。それは、以前に弥白と話した危惧していたこと。
『これは……どういうことだ。』
アカデミーとは違うところで、もう一つ事件が起きようとしていた。