HARUTO~原作のないNARUTOの世界へ   作:ゆう☆彡

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遅れてしまいました、申し訳ありませんっ!

作者、39℃の熱が出ました。既に治りましたが、皆様も体調にはご注意ください。


二種の影

 

《アオイside》

 

「くそっ、こんな時に……っ!」

「うるせぇ! 殺されたくなかったら、大人しくしてろっ!」

 

 

先生とクナイを構えている敵が、言い合っているのをどこか他人事のように聞いていた。

 

アカデミーの中の一番大きな教室に、アカデミーにいた生徒と先生の、全員が集められていた。……いや、正確に言えば全員じゃない。他の人たちは先生も含めて気づいてないみたいだけど、私はすぐに気づいた。

 

「(ハルトくんとシスイくん……、どこ行っちゃったんだろう。)」

 

額当てからして岩隠れだと思う忍たちは、あっという間にアカデミーにいた人たちを人質にしてしまった。そしてその中に、二人の姿はなかった。

 

 

 

「まだ交渉は終わんねぇのかよ。」

「知るか。

だが、合図がなければ殺していいと言われてるんだ。もう少し待て。」

「そうだな。」

 

私の近くにいた忍が小声で話しているのが、たまたま聞こえてしまった。

 

 

「(交渉……、殺す……。誰とかはわからないけど、殺されるのは私たち……だよね? ここには先生達もいるけど、それでもかなわないの?)」

 

聞こえてしまったことで、より一層不安が募る。

それでも何故か、どこかで安心している自分がいた。それは、ここに二人がいないことによる安心。

 

──たくさん過ごしたわけじゃないけど、二人は群を抜いてクラスではすごかった。

──シスイくんの性格上、みんなをおいて一人だけ助かろうなんてしない。

 

 

──そして、あの二人は……強い。

 

 

 

それだけで大丈夫のような気がした。

 

 

 

 

 

 

────ドガーーンッッッ!!!

 

 

大きな爆発と煙。視界が見えなくなっていく中で、

 

優しい二つのチャクラを感じた。

 

 

───────────────────────

 

 

「でもよ、俺たちだけで大丈夫か?アカデミー内はなんとかなるとしても……。」

「シスイがちゃんと考えてる……。」

「バカにすんなー!!」

 

いやぁ、シスイはもう少し年齢に見合う思考回路を持った方がいいよ。誰だよ、こんな小さな子に物騒なこと考えさせるようにしたのは……。

 

 

……俺だな。

 

 

「大丈夫だよ。もう、手は打ってある。僕らもアカデミー内が終わったら、向かうからね。」

「? どこにだ?」

 

ある情報が来るまで、しばらく待機していたところ、アオイさんの近くにいた忍が話していたことが、口パクから色々とわかった。

 

──交渉、──殺していい

 

 

どこかで交渉しており、失敗すればここにいる人質を殺すのだろう。簡単に想像できる。

 

 

「まぁそれは、ここをおさめてからね。」

「おう!」

 

多分、ここを制圧するのは簡単だ。シスイもかなり強いし、ある程度解放すれば、先生方も戦えるようになるだろう。

でも、俺はこの戦闘を少し利用しようと考えていた。

 

「シスイ。本気でいきなよ。」

「! ……気づいてるってことか?」

「逆に、なんで気づかないと思ったの?」

 

シスイは意外にも、写輪眼を開眼したことを俺に話さなかった。別に、それがどうということではないけど、理由はわからなかった。

 

「別に言わなくてもいいよ。

 

今日、僕も新しい技を見せるから。本気でいってほしいなって思っただけ。」

「分かった!」

 

 

俺は見せようと思った。シスイにだけは。

それは、未来のため。

 

──俺はシスイの相棒でありたいし、

 

──シスイの相棒は俺でありたかったから。

 

 

 

その為に、この力を君に認めてもらいたかった。

 

 

───────────────────────

 

 

「“水遁・水陣壁”」

「“火遁・豪火球の術”!!」

 

ハルトが人質となっている木の葉の忍の周囲に水で壁を作り、シスイの火遁で岩隠れの忍に攻撃する。

 

「感触は?」

「……全滅は無理だな。」

「充分だよ。」

 

「お、お前たち、何してるんだ。」

 

何も無いように話し出すハルトとシスイに、講師の忍が話しかける。

 

「助けに来たんだ! もう心配しなくていいぞ!」

 

 

そのシスイの言葉は、生徒には安心できるのものだが、講師にとっては純粋に喜べない言葉でもあった。

それでも何も言わないのは、守ってもらったことは事実であるから。そう認識する忍は問題ない。

問題なのはそういう認識よりもプライドが先行する忍だ。

 

「うちはになんぞ助けてもらわなくとも、我らだけでどうとでもなった!!

余計な手出しは無用だ!!」

 

 

 

──ブチッ

 

「……やば。

 

“風遁・風の刃”」

 

 

ハルトを中心に広がる風の塊は、みんな手を縛っていた岩隠れの忍の術を器用に壊していった。

しかしシスイによって一人の忍だけはその術が届く前に、その手に掴まれていた。ハルトの術はシスイが防ぎ、手は縛られたままだった。

 

「げっ……、」

「じゃあ、何とかしてみろよ。」

「!?」

「俺らの手を借りるまでもないんだろ? じゃあ、大人しく縛られてないで一掃してやってくださいよ、先生。」

「あ……っ、いやっ……。」

 

それは、普段のシスイからは考えられないほどの圧。

うちはが貶されたことで、普段温厚なシスイの中で何かが切れたのだ。

 

 

「頼みますよ、先生。」

「や、やめろ……っ!」

 

周りは驚きと恐怖の声があがる。先生たちにどうにかしてと懇願の視線が生徒から向けられる。

 

「シ、シスイくん、やめて!」

「シスイ、やめろ!」

 

少ない生徒たちが必死に止めようと声をかける。しかし、その言葉もシスイには聞こえてないようだった。

シスイの手が講師の忍を持ち上げ、その身体は中に浮く。

 

 

「他の先生方もどうにかしてくださいよ。

 

“風の刃”」

 

ハルトの操る風が、器用にシスイの手から講師の忍をかっさらった。

 

「ハルト!!」

「今なにかしても、何も変わんないよ。

理不尽な力で聞かせるより、実力を見せてやればいいんだよ。」

「……ごめん。」

「シスイは間違ったことしてないよ。」

 

ハルトの手が自然とシスイの頭を撫で、笑った。

闇の覆われていたシスイの瞳には光が戻り、普段、表情をあまり変えないハルトの意外な姿に、生徒たちは少しざわつく。

 

シスイが落ち着いたのを見ると、ハルトは風を操りゆっくりと講師の忍を下ろして、その手を縛る術も解いた。

 

「た、助かった……。」

「……、」

 

下ろした忍は、ハルトに礼を言うために顔を上げると、そこにハルトの姿は無く、

 

「……

 

二度目はないと思え。今ここに、彼(シスイ)がいることに感謝するんだな。」

「!?」

 

いつの間にか、背後から首筋にクナイを当てられていた。

 

「ど、どうして……、うちはの者に……っ!」

「……未来、わかる日が来る。いや……、

 

 

俺が来させる。」

「どういう……!?」

 

 

 

後にも先にも、ハルトの決意を聞いたものは、この者しかいない。

 

 

ハルトは感じた。シスイはナルトに似ていると。

周りがなんと言ってようと、大切なものは守る。

熱くなりやすい。

そして、仲間想い。それは木の葉の人という単位で。

 

違うのは、才能を見せ始めたのが早すぎて、幼少期から目をつけられてしまったということだ。

 

 

──そんな忍を木の葉の闇で消させない。

 

 

──シスイを支えていく。

 

 

波風ハルトが、

 

 

 

──うちはシスイを火影にすると、

 

 

誓いを立てたことをまだ当人ですら知らない。


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