前回の話は地雷だった方が多かったようです。申し訳ないです……。シスイが切れちゃったのがダメだったか……。
シスイも幼いし、まだ一族思いの思考でもいいと思うんです。
そんなシスイ、もはや何歳か忘れそう。……幼いはず。
今回はそんな話です。
「すごい……。」
誰かがそう呟く。
それは、まだ幼い二人の忍に守られてる彼らの中から漏れた言葉。
彼らの視界には、最初にハルトくんが放った水遁の術が、未だに壁として存在していて、最前線に立つ二人のチャクラ量は、既にアカデミー生としてのそれを超えていた。
──キーンッ!!
「!」
水の壁を通って投げられた手裏剣だったが、二人は全く動揺することもなく弾いてみせた。
「──、────。」
「──? ──!!」
ハルトくんが何か言うと、シスイくんはハルトくんの方を見て、表情をコロコロ変えて話している。
次の瞬間、水の壁は無くなりシスイくんの最初の火遁で生き残った忍が表れた。
「シスイ。残念だけど、この瞳はあんまり長く使えないんだ。だから、最初っから全力で。」
「そうなのか? わかった!」
数が少なくなったとはいえ、明らかな人数差がある戦闘。その危険と絶望に、悲鳴や心配の声をあげる人たち。
私もその中で声をあげた。でも、悲鳴や心配の声ではない。
「あれ……?」
疑問と驚きの声と言った方が近い気がする。
一瞬だったけど見えたのだ。
ハルトくんとシスイくんの瞳が、
──同じ色に光っているのが。
───────────────────────
──シュンッ!!
いくつかの手裏剣を敵に向かって投げた。明らかに数は足りてないけど、まぁ、問題ない。
「“手裏剣影分身”」
少なかった手裏剣は、倍以上の数になる。だが所詮は分身、と侮ってもらっては困る。
「“火遁・鳳仙花爪紅”っ!!」
シスイの火遁の術、鳳仙花爪紅は放った手裏剣に小さな火球を纏わせるもの。分身の手裏剣にもかなりの殺傷力がつく。
「シスイ。」
「おう!」
陽動と多少の戦力が減少できれば、後は力技で押しきる。
所詮、アカデミーの人質確保に回された忍。そんなに大量に強い忍がいるようにも思えない。
圧倒的な数の差を埋めるには、質を高めれば良い。そんなことはどこの世界も共通。
二人という数で、大多数に勝つには、その連携が全ての結果を呼ぶ。
幼くともうちはの天才忍者であるシスイに、俺がついていくためには、これしかない。
いや、これはシスイやイタチについていくための力なのかもしれないな。
頭は痛いし、目にも異常な程の力がかかってるけど、三回目にもなればだいぶ慣れてきた。
「ハルト……。」
「シスイがメインで行っていいんだよ。僕はそれに合わせてまわるから。」
「その目って……。」
「うん。シスイの写輪眼だよ。ちょっと借りてるね。」
「……、」
うん、あまり理解が追いついて……
「すげぇ!!」
……なくもない?
「すごい?」
「なんかよく分かんねぇけど、すげぇ! 俺、あんま考えてないのにハルトが全部合わせてくれるっ!」
うぉぉぉぉ!と叫ぶシスイを呆然と見ていた。
「そうだ……、理解よりも先に本能が勝つんだった。」
いやぁ、これがイタチが尊敬するあのうちはシスイになると思うと、人生わからないなぁ。
「シスイ。残念だけど、この瞳はあんまり長く使えないんだ。だから、最初っから全力で。」
「そうなのか? わかった!」
忍術をある程度見せたところで、再び構え直す。
俺たち二人が得意とする分野は忍術ではない。むしろ、忍術の連携は最近やり出したもの。
出会った時から、ほぼ毎日のように二人でやってきたのは“体術”。
シンプルで、連携はしやすが崩されやすい。しかし、相手の力量を上回ればなんの問題もない。
写輪眼で相手がどう動くのかを予測して動くシスイの動きを、予測して動く俺。
勝敗はすぐについた。
「ここ、お願いしてもいいですか?」
「あ、あぁ。わかった。」
ようやく動けるようになってきた先生方が生徒の介抱をしたり、警備を強化してる。その中の先生の一人に縛り上げて忍の監視をお願いした。
「シスイ、行くよ。」
「どこにだ?」
正直、時間がかかってもいいならわざわざ“鏡眼”を使う必要はなかった。今回、それを使ったのはなるべく早くここを片付けたかったから。
「本拠地。」
「?」
岩隠れの忍の話から、アカデミー生は何かしらの交渉の人質だった。であるならば、木の葉のどこかで交渉が行われているはず。
「木の葉と交渉するなら、するべき人は一人しかいないからね。」
「……、三代目様か!?」
「そういうことです。」
三代目の実力もかなりのものだ。それを抑えるために、アカデミーを占拠したのだろう。それを出されては、何も手出し出来ていない可能性がある。
「僕が行けば三代目も反撃出来ると思うので、行ってきます。」
「わかった。気をつけて行けよ。」
「はい。シスイ、行くよ!」
「おぅ!!」
既に俺たちの実力を見た先生も、俺たちが行くことを止めなかった。自分が行くよりも早く着くと考えたんだろう。頼りないけど、……まっ、正解か。
アカデミーを飛び出して、急ぐ。飛雷神の術を使えば速いのだろうけど、そんな一気に近づいたら逆に気づかれそう。
「なぁ、ハルト。」
「ん?」
「俺たちだけで大丈夫かな?」
「……心配?」
「……いや! そういうことじゃねぇ!!」
どうしてそこで強がってしまうんだ……。まぁ、面白いしいいんだけど。
「大丈夫。心強い味方が向かってると思うよ。」
「いつの間に……。」
──もう一つ。
──倒せる敵を倒しておきたい。
たくさんの感想ありがとうございます。読者の方にハルトの外見のイメージを聞かれました。
ハルトは、髪型はミナトの幼少期の耳前の髪をなくして自然に流した黄色の髪色です。目の色とかは決めてないですが……、いいのがあったら教えてください(笑)
小さい頃は可愛い感じです。大きくなるにつれて、クールなイケメン路線にいけたらいいな。