でも頭の中で、どんどん話だけは進んでいきます。
この妄想がいつの日か皆さんに見せれたらいいな、と思っています。
何が言いたいかというと、頑張ります。
「それでは只今より、うちはシスイとアオギの試合を行う!!」
一つ前の試合で負傷したアオイは、そのまま救護室に運ばれた。その過程を見つけたシスイが、試合を放棄するんじゃないかくらいの勢いで会場を出て行こうとした時は、流石に焦った。
結局は俺が代わりに見に行くと言って落ち着かせたけど……。
アオイはしばらくすると意識を取り戻して、状態も安定した。命に別状は無いと言われたことと、アオイ自身にシスイの試合を見てきて欲しいと言われたので、俺は会場に戻ってきた。
──ま、シスイに頼まれたこともあるし……。
『もし俺が戦ってる時に、関係ない人達まで巻き込みそうになったら、頼んでもいいか?』
自分が関係の無い人まで巻き込んでしまうかもしれないという、自分の弱さを認めたともとれる発言。それほど怒ってると考えれば、まぁ分からなくもないけど。
……それとも敵の能力でなにか気づいたのか??
「それでは……始めっ!!!」
「『火遁・豪火球の術』っ!!!」
始めの合図とほぼ同時にシスイが術を繰り出す。
「ふっ……、うちは一族も結局はこの程度か。
『光遁・乱反射』」
アオイがやられた戦法と全く同じだ。違うのは、不意打ちでやられている訳では無いシスイには、はね返ってくる自身の術を全てかわせるほどの体力と余裕があるということ。
「でもこの術はこれで終わりじゃない……」
そう。この術の本質はここから。
第一陣ではね返された術をすべて交わしても、ある一定置までいくとそのまま戻ってくるのだ。しかも、その一定置までも不規則ときた。
正面でかわした術が、背後から不規則にとんでくる。これを交わすのは結構厳しいものがある。
「……っ、」
だがシスイは落ち着いてすべてをかわしていく。その瞳は赤く光っていた。
「お、……本気だ。」
全てを躱せばその術は、はね返したアオギに向かうのだが、そりゃあ正面から戻ってくる術に当たる程、敵もバカではない。
たった一撃。されど一撃。
今の一つの戦いの流れで、よく分かったことがある。それは、体力という観点でシスイが圧倒的に不利であるということ。
躱し続ければいつの日か体力が尽きる。それが、シスイが負ける時だ。
そして、そのことをシスイも気づいていた。
「それを回避するには……」
「短期決戦だなっ!」
シスイが再び印を結ぶ。だが、今までに見たことのない印だった。
「新しい術じゃん、……まじかっ!」
優雅に見ていた次の瞬間、シスイのチャクラが飛躍した。そして、シスイが一瞬ではあったが俺の方に目をやった。ちょっと何の術を出すのかはわからなかったけど、嫌な予感がして影分身を試合会場の四方にとばす。
「『火遁・豪火滅却』っ!!」
まじかよ!? 豪火滅却なんてマダラしか使っているの見たことないんだけど!?
確かに攻撃範囲が広くして敵にあたる面積を広げ、なおかつチャクラ量でごり押しで乱反射の術を突き破るのが、短期決戦においては一番いい戦法かもしれないけども!!
「うわぁぁぁ!?」
「こっちに来るぞ! に、逃げろぉ!!」
慌てふためく観客席。あれ、そういえば普通にとんでくる術防ごうとしてるけど、失格になったりしないよね?
少しだけ心配になって、関係者席を見てみると、
「……。」
「……。」
「……(グッ)。」
いやいや、グッじゃないから。
三代目が笑顔で、試験監督であった森乃イビキがこちらをニヤニヤしながら見ていた。唯一、この試験の監督であるマイト・ダイだけが慌てふためいていたが……。
「とりあえず認めてもらえたというふうに理解しますよ。」
聞こえるはずもないと思うが、まぁいっか。
「『口寄せ』」
親指を噛み、弥白を呼び寄せる。
「何度も呼び出してごめんよ。」
『別に構わぬが何を……、なるほど。』
「わかってもらえて嬉しいよ。
あの術、多分、防御にも使えると思うんだ。ちょっと応用して逆向きになると思うけど……」
『うむ、どちらも問題ない。』
「おっけー。ありがと。」
そう言うと、弥白も飛雷神でとび、その間に分身していたらしく二体に増えていた。
前に使用した時は、結界だったからドーム状にした。けど、それだとシスイをも傷つけてしまうかもしれない。
であるならば、観客の方に結界を張れば良いのだ。ドーム状ではなくその周りを囲む観客に結界が張られるようにドーナツみたいな形で。
「『『性質結界封印術・雷』』」
第一陣で薄い紫色がかった膜が、観客を守るように張られる。
そして今回は、念には念を入れて……
「
『
紫色だった結界が、赤色と青色も混ざった色になる。
結界の中にいる観客にはシスイの術の影響は全くないらしく、俺はこの封印術にチャクラを断絶することが出来る能力があることを初めて知った。
「なんか、こういう使い方もあるみたいだね」
『主が作った術だからな。 未知の部分があっても仕方あるまい』
「そうだね」
乱反射ではね返されたシスイの火遁は、俺の結界に当たったものはそのままそこで消滅した。
それでも俺は気づいた。
「……ん?」
『どうしたのだ、主』
「いや……、なんで今回は
乱反射の術の能力だと思っていた、第二・第三の自身の術が今回は無かった。つまり、シスイに背後からの攻撃がなかったのだ。
『確かに……』
「シスイも気づいたみたいだ」
「……、」
会場の中心で、考え込んでいるようなシスイがいた。多分、理性で考えているというよりは本能で考えているのだろう。
「『光遁・
「「!?」」
──ザシュッ!!
人が斬れた音と、赤い血が飛び散る。
今、極限まで高められているシスイの集中力をも上回る、そのくらいの速さでアオギは移動した。
「名前の通り、光の速さってわけだ」
『まずいな』
「そうだね」
シスイの現状よりも、俺にはもっと気になることがあった。
なぜ、先程の『乱反射』の術では第二陣以降がなかったのか。
どうして今になって、自ら攻撃を仕掛けてきたのか。
そこにはシスイの短期決戦を危険視するよりも、
もっと深い意味があるような気がした。
「『光遁・光加速』!」
「……っ! 『水遁・水陣壁』っ!!」
「……甘いな。
『雷遁・雷球』っ!!!」
ほぼゼロ距離で、しかも相性の直接的な優劣がないとはいえ、性質的には水が弱い雷が撃ち込まれた。
──うちはシスイが三回戦で姿を消した。