今回は、そのことと今まで遅れてしまっていたことへの謝罪も込めてちょっと早い投稿です。
……さぁ、中忍試験編ももうそろそろ終わりですかね?
「シスイ。 おつかれさま」
「ハルト……」
試験監督による試合終了の合図と同時に、俺は試合会場に降り立った。
敵の雷遁の術により、シスイは壁に強く打ち付けられて敗北した。
「くそっ……、い゛っ!?」
「無理して立とうとしないの。 一応、出血すごいんだから」
『アオイのところまで連れて行ってやる』
「弥白……」
「頼むね」
歩くのも痛そう、というか俺があまり歩かせたくないのもあり、弥白に救護室までシスイを運んでもらうことにした。
「ハルト!」
「?」
弥白に乗って向かう直前に、シスイが叫んだ。
「気をつけろよ……」
「大丈夫だって」
「あと……」
「??」
シスイは少し目をそらしたかと思ったら、じっと強くこちらを見つめて、
「負けんなよ!!」
「あったり前」
「続いての試合を行う!
アサギVS波風ハルト!!」
既にこの時点で、中忍が確定している二人が同じ班であり、俺と戦うアサギというやつもその二人と同じ班であることから、俺がここで負ければ決勝は行わないのだろう。
逆に言えば、俺がここで勝てば決勝は実質二対一になるということだ。
「どっちもめんどくさそうだ……」
さてと、俺がこの試合で確かめたいことは一つ。……『光遁・乱反射』の能力。
先程の最後の試合で、どうしてシスイの火遁は第二陣が無かったのか。
「それでは、試合開始!!!」
「……」
「……」
開始の合図が出ても、向こうは全く動く気配がない。やっぱり、彼らの戦闘スタイルは乱反射からのカウンターなんだと思う。
……んー、見れば見るほどさっきの試合の謎が深まるな。
「仕方ない、こっちからいくか。
『水遁・爆水衝波』!」
俺の背後から、大量の水かアサギに向かって押し寄せる。
「『光遁・乱反射』」
もちろんアサギ自身は水を浴びることもない。水気の多い地帯にするための術とはいえ、殺傷能力がない訳では無い。
「やっぱり返ってくるよなぁ。 ……そんで、」
目の前にはね返ってくる自分の水遁をかわし、そのままアサギに背を向ける形で、水遁の行く先を見る。
「!?」
さすがに敵に背を向けられるとは思っていなかったのだろうか、アサギはちょっとだけ怯んでいた。まぁ、俺にとっては都合がいい。
「んー、火遁がダメだったのか? それとも威力の問題??」
俺の水遁は普通に第二陣として帰ったきた。
「『雷遁・感撃波』」
自分の水遁、しかも帰ってくるとわかっているんだから、多少は手を抜いておいた。はね返ってきた大量の水は、雷遁に弾かれ重力に逆らわずに落ちた。
──ボフン
「?」
なんだ、今の音。
水が落ちるバシャバシャという音に隠れて、ものすごく小さかったけど、確かに聞こえた。……まるで、何かが消える音。
「……『光遁・光加速』」
「!?」
──ボフン
「影分身か」
「ほんとに見えないなぁ……」
それは先程のシスイ戦で見た、超高速で移動する術。実際、受けてみると本当に見えない。
でも……、どうして今、発動したのか。
彼らの戦闘スタイルがカウンターを狙ったものであることは間違いない。であるならば、今の『光遁・乱反射』は俺にダメージを与えられなくとも、攻撃自体は成功していたはずだ。シスイの時とは明らかに状況が違う。
──もっと他のことが要因か?
「『光遁・光加速』!」
「……かわせないなら、全方位守ればいいんだよ。
『風遁・風の刃』」
俺を中心に周囲に風が巻き起こる。
それは敵にとって、想像以上の範囲だったようで。
「っ! 『分身の術』!!」
「……は?」
「……『『『『雷遁・雷球』』』』!!!」
かなりの方向から雷遁がとんできたが、『風の刃』で防いでいるのでなんの問題もない。むしろ、分身を出したところで全員消えるだけなので、無駄にチャクラを消費しただけのように感じる……。
ボフンという音と共に、大量のアサギの分身が消える。
「あ……」
そうだ、この音だ。一番始めの攻撃の直後に聞いた音。
多分、水遁に雷遁をぶつけたから感電して分身体が消えたんだと思う。
え、でもあの時あそこにアサギの分身体なんていたか……??
「ま、考えてるよりもやってみた方が早いな。」
チャクラ、結構使うからあんまり使いたくないけど……
「『水遁・水龍弾の術』!」
俺の背後に巨大な水の龍が形成される。以前は、影分身と共に一体を作るのが限界だったが、今では一体ならオリジナルだけで出せるようになった。
「『光遁・乱反射』!!」
予想通り俺の技は全部はね返され、俺は全てを難なく避ける。
「芸が無いな……、同じことを何度も……」
「それはどうだろね」
「……何だと?」
ジャンプして避けた空中で、俺は再び印を組む。いつもより集中してチャクラを込めた。
「『雷遁・感撃波』!!!」
「何!?」
第二陣ではね返ってきたものではなく、第一陣で俺がかわした術に雷遁をのせた。つまり、今の水遁の術は感電させる威力を持つということだ。
「この水遁と雷遁の組み合わせの目的は、水遁を当てることじゃない。
水遁が弾かれたとしても、若干の水気を敵に残すことだ。」
水気を残しておけば、後は勝手に雷遁が反応して感電を起こす。
──ボフン!!!
会場の至る所で、分身体の消える音がした。
第二陣の攻撃がなかったこと、そして、あまりにも大量の分身体の消える音によって、忍はもちろん観戦していた一般客までも、俺が乱反射を打ち破ったことがわかったらしく、会場はざわついた。
「まさか、この術を見破るとはな」
「姿が見えなかったのは、想像でしかないけど光遁の術。 『乱反射』を利用すれば、自分の姿を消すことなんて難しくもなんともない」
「そうだな」
「だけど……
それが全てじゃないよね?」
「!?」
「とっくに、マーキングは完了してるんだ」
一般客には分からない。が、関係者席から見ている上忍はすぐにその意味を理解した。
見つけたのだ。会場のある二点に、父親譲りの独特の形をしたクナイが刺さっているのを。
「っ!」
「……お前ら、誰の差し金だ。」
「……何のことだ」
先程までとは明らかに違う俺の雰囲気に若干押されたのか、相手が一歩引く。
「とぼけんなよ、この二次試験が始まる前から俺に殺気を向けてたのはお前だろ?
お前ら三人、特にお前の実力は中忍試験に出るには突出していた。」
「それが分かっていて……、答えるとでも思ったかっ!!
『光遁・光加速』!!!」
目の前からアサギが消える。
「その術だけどさ……、
光って音よりも速いんだよ。 逆を言えば、お前が光の速さで動いた後、少し後で聞こえる音がお前の場所を示す。」
そんで、
「俺は光なんか関係ない。
移動する場所は時空間なんだから。」
俺が次に現れた場所は、アサギの背後。
──そして、会場の北側と南側の客席の一番後ろにいた、アサギと同じ班であるオウギとアオギの背後だった。
※前回の話で『水遁は雷遁に弱い』という記述がありましたが、読者様からの指摘で間違いであることが発覚しました。申し訳ありません。
ご指摘を受けて、『属性的に優劣はないが、相性的に水は雷を通してしまう』というように解釈を返させていただきました。失礼致しました。