HARUTO~原作のないNARUTOの世界へ   作:ゆう☆彡

39 / 64

“第四章~中忍試験”終了です!読んでいただきありがとうございました!!
そして、前回の活動報告にご回答して頂いた皆さん、ありがとうございます!アンケートはまだ続いてるので、もし気が向いたら書いていただけると嬉しいです!!

さて、章の終わりですが……過去最長となりました!!
色々と地雷が多そうで、……相変わらずハルトの年齢を忘れそうになりますが。広い心でご覧下さいm(_ _)m

さて、次章をお楽しみに!


あなたのため、あなたと共に

 

 

「ハルトー!!」

「うるさいよ、シスイ。」

「辛辣!?」

 

最初に見かけたのは、私が六歳の時。彼がシスイくんと一緒にいるところだった。

 

木の葉の里と、子どもには分からない歪みがあったはずだったけど、彼だけはうちはの集落によく来ていた。

 

「おっ! アオイじゃん!」

「へっ!? あ、お、おはよう!!」

「?? 今、昼だぞ?」

 

 

「シスイ。 彼女、困ってるから」

 

輝くような黄色い髪に、透き通った青い目。身長からして同い歳くらいだと思う彼は、もういくつも上のような雰囲気だった。

 

「あれ、ハルトはアオイのこと知らないっけ?」

「見たことはあるよ。 同じクラスでしょ。

初めまして、波風ハルトです」

「あ! は、初めまして! うちはアオイですっ。よろしくお願いしますっ!」

「……、」

 

──なんかまずった???

 

「……うん、よろしくね」

「!」

 

 

素敵な笑顔とは彼のためにある言葉だと、この時ほど思ったことは、後にも先にもない。

 

───────────────────────

 

 

「じゃあ、次。 うちはシスイ、……と」

「おっす!! 見てろよ、ハルト!!」

「僕も横でやるんだけどね」

「なにぃ!? ……よーし、勝負だっ!!」

 

 

アカデミー。 実技は二人ともクラスで一番、いや、アカデミー始まって以来の天才と言われてた。

勉強もできたハルトくんは、最初はちょっと冷酷な人と噂もされていたけど、岩隠れの襲撃の一件を解決したことと、元々の格好良さでたちまち人気者になっていた。

クナイを構え、さっきまで騒がしさはどこへいったのか。真剣な目つきになる。

 

 

 

──シュンッ!!

 

──キーンッ!!

 

「はぁ!?」

「勝負だって言うから」

 

同時に投げられたクナイは、シスイくんはまっすぐ的に向かって、ハルトくんは一本をシスイくんの投げたクナイの方へ投げた。

ぶつかって、方向を変えられたシスイくんのクナイは的には当たらなかったけど、ハルトくんの方向を変えたクナイはしっかりと的に当たっていた。

 

 

周囲の歓声なんて気にせず、

 

「勝ちー」

「くっそー!!!」

 

そう言って、シスイくんに追いかけられている彼の笑顔から目が離せなかった。

 

「?」

「!!」

「僕の顔になんかついてる?」

「あっ! いや……」

「??」

 

ずっと見てたら気づかれてしまった。恥ずかしい……

 

「次、うちはアオイ」

「は、はいっ!」

 

名前を呼ばれた瞬間に聞こえる、いろんな言葉。

同期、といっても私よりも三つ年下のシスイくんがいる中、私はうちはとしてはかなり落ちこぼれだった。それを象徴するかのように、私の髪はうちは一族に伝わる黒ではなく、少し青みがかっていた。

 

「例の落ちこぼれか」

「だから髪色も違うんでしょ?」

 

もう慣れていた。一族の中でも言われ続けてきた私は。

 

 

 

 

 

 

「頑張って」

「!!」

「上手なんだから」

 

 

見ててくれた。それだけで、すごく嬉しかった。

 

「ありがとうっ。」

 

 

 

結果は七割くらい。うーん、いつもよりは多かったけどまだまだかなぁ。

 

「さっすが、アオイっ!! お疲れー!!」

「ありがとう、シスイくん。 ……って、あれ? ハルトくんは??」

「ん? あー、あそこ」

 

そう言って、シスイくんが笑いながら指さした方向を見ると、ハルトくんが一人の男子生徒の腕を掴んでいるのが見えた。

 

何か言ったらしく、その男の子はちょっと青ざめてから、すごい勢いで首を縦に振っていた。何を言ったかは聞こえなかったけど、

 

 

「アオイがバカにされてるのが我慢ならないんだとさ。」

「!?」

 

よく見ると、確かに私のことを色々言っていた生徒だった。

 

「アオイもハルトが応援してくれたから、いつもより上手くいったとか思ってるんだろ?」

「えっ!? そ、そんなことないよっ!?」

「えー? ほんとかぁ?

 

あ、ハルトこっち来たぞ」

「ほえっ!?」

 

 

なんだか終わったのか、振り返ってこちらに戻ってきた。周りの女の子たちが黄色い歓声をあげてる中、見向きもせずに真っ直ぐこちらに近づいてきて、

 

 

「お疲れ」

「あ、ありがとうっ」

「……、」──グイッ

「!?」

 

ハルトくんに突然、腕を掴まれて引き寄せられる。多分、シスイくんには私たちの顔が見えない。

 

「これ、あげる」

「わぁ……、綺麗……!」

 

ハルトくんの手にあったのは、水色の花が入っている桃色の水晶。

 

 

「何かあったら、僕が守るから」

「!」

 

私はやっぱり、彼の笑顔には弱い。この時の私の顔は、絶対真っ赤だったと思う。

 

 

 

───────────────────────

 

 

……こんな時に、何思い出してんだろ。

思い出の中の私は、まだ額当てもしていない未熟者だったけど、今の私は額当てもしている。そんな成長を感じてる場合じゃないけど。

 

 

「おらっ、立ってさっさと歩けっ!」

 

決して大きな声ではない、それでも、威圧感を含んでいる声。背中の後ろで手を縛られているせいで、転んでもうまく立ち上がれない。

 

 

 

うちは一族の中では、落ちこぼれの私。

虐げられる青みがかった髪。

そして、中忍試験でそこそこの実力が証明されたが、写輪眼は開眼していない私は、敵里にとっては格好の獲物だった。

 

里の中心から少し離れた森の中を一人で歩いていた時、急に背後から襲われた。声を上げる間も、助けを呼ぶ間もなく私は国境まで来てしまった。

 

 

 

──誰か、気づいて……っ。

 

みんなが揶揄したこの髪色も、私は好きだった。

 

『髪色なんて関係ない。

それに、青くて綺麗な髪だと思うよ』

 

 

彼が、褒めてくれたから。

もしかしたら、この髪の毛に気づいてくれる人がいるかもしれないと、わずかな願いを込めて落としていった。

 

 

──ダメだなぁ。

 

気づいてくれるはずない。それでもどこかで期待していた。

 

気づけば、国境は目の前だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハル……ト……くん……っ」

 

そう思った瞬間、私の胸元のポケットが淡く光った。

 

そして、

 

──シュンッ!!

 

──ザッ!!! ──ドサッ

 

 

「!!」

「誰だっ!」

 

──ザシュッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫」

 

一瞬で。私を連れていた四人の忍は力無く倒れていた。

顔をあげ月明かりが照らされた所には、彼がいた……多分。

 

 

「……、」

「君を助けに来た」

「ハルトくん……だよね?」

「……そうだよ」

 

多分と言ったのは、その顔に見慣れない面がついていたから。 それでも、暖かいチャクラの雰囲気と、不安がる私を感じて面を取り笑った彼を見て、助かったんだと分かった。

安心した瞬間に、思わず身体の力が抜けた。

 

 

「……っと。 帰ろっか」

「えっ! ちょっと……っ!」

 

倒れる私を飛雷神の術で優しく受け止めて、俗に言うお姫様抱っこをしてもらい、森を飛び出した。いつもとは違う感じがしたけども、月明かりに照らされる彼は本当にかっこよかった。

 

 

 

「ねぇ、どうして分かったの?」

「これ」

 

彼の手に握られていたのは、私の髪の毛。

 

「月の光に反射して、青く綺麗に光ってた。

君のだってすぐに分かったよ」

 

それはいつの日か君に褒められた髪。

 

「それだけで……っ?」

「!!」

 

そう聞くと、急に顔を赤く染めてふいっとそっぽを向いた。

 

「?」

「えっと……

 

 

 

 

 

 

君に渡したそれ、まだ持っててくれたんだね」

「!」

「君の、助けてっていう声が聞こえた。

 

君を守りたかった、君を失いたくなかった。 ……大切だから。

約束、ちゃんと守れてよかった」

 

“必ず守る”

もらったあの日から、肌身離さず持っていたハルトくんから貰ったお守り。

綺麗な結晶の中に淡い水色の花が入っていた。

 

呼んでないよねー、と言って笑う君の顔は、今まで見てきた中で一番輝いていた。

 

 

「呼んだよ、……ハルトくん」

「!」

 

綺麗な結晶を大切に握りしめる。

 

「ハルトくんを呼んだ。 ……ありがとうっ!!」

 

首に抱きついた私を優しく抱きしめてくれた。

 

 

 

 

 

「最後に君を守れてよかった」

「……さい、ご?」

 

うちはの集落の入口まで私を送ってくれたハルトくんが言った。

 

「うん、しばらく長い任務に出るんだ。 多分、一年くらい帰って来られないと思う」

 

 

直ぐにバレる嘘をついた。

長期任務なんて嘘。私でも、ハルトくんが持ってるお面が何を示しているのかは分かった。

 

「どうして……?」

「?」

 

「ハルトくんは充分強いよ。 私もシスイくんも分かってる!

危険なところにわざわざ行かなくても、ハルトくんは充分……っ!」

 

そこまで叫んだところで、ハルトくんの手が私の頭を撫でた。

 

「足りないんだ、まだ。

大切な人を守るためには、もっと違う強さが必要なんだ。

 

 

もしかしたら、守られたくないのかもしれないけど、

 

それでも僕が守りたいから、……君のことも」

「!」

 

次の瞬間、ハルトくんの後ろには同じような面をつけた忍がたくさん現れた。

 

「出発するぞ」

「はい」

 

こちらに背中を向けて、ハルトくんが歩き出す。

 

初めて会った時から、どこか大人びていた。

いつも落ち着いていて、冷静に状況を判断して。

 

そんなハルトくんの背中にいつも隠れていた。

 

 

「そんなことないよ」

「!」

「自分のこと責めないで。 僕も君に守られてた」

 

お面をつけていても

そうやって、いつも見透かして。

私が安心出来る言葉を言ってくれる。

 

でもちょっと悔しくて。

いっぱい悲しくて。

 

 

「私は! ハルトくんの横にきちんと立てるように……っ!!

 

ハルトくんに支えられないで一人で立てるようになるからっ!!

私のことを守ってくれるハルトくんのことは私が守るからっ!!」

「アオイちゃん……」

 

 

お面をつけていたハルトくんが、お面を外してこちらを向いた。

 

「僕が君にとって、大切な人であったことが嬉しいよ。

 

その事実でさえも僕のことを守ってる」

「これ……っ」

 

こんな事で気づきたくなかった。

 

ハルトくんは私にとって、それほど大切な人だったということ。

そして、そう思わないようにしても、思ってしまうハルトくんを失ったという感情。

 

守られてばかりいる【自分への失意】と

愛する人からの【大きな愛の喪失】によって花開くもの。

 

【写輪眼】

 

うちは一族伝わる最強の瞳力

 

「まっ、失ってなんていないけどね」

 

笑ったハルトくんは、私に近づいて

 

 

 

 

額に軽く口付けをした

 

「必ず戻ってくる、……君の元へ。

 

俺は君を悲しませたくないから、……大好きだから」

 

 

―――だから待っててね

 

そう言って、ハルトくんは今度こそ姿を消した。

僕から俺に変わったのは、きっと彼なりの決意とけじめなのだろう。

 

 

 

―――強くなろう

 

次に彼と会った時に、横に並べるように。

堂々と、胸を張って。

 

彼の感触が残る額をそっと触って、……誓う。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。