ちょっと短いのはご勘弁ください。
みなさんはどのような“令和”の迎え方をしましたか?
作者は朝の七時から仕事だったので、そんな時間まで起きている場合ではありませんでした。起きたら“令和”でした笑
“令和”の時代が皆さんにとって良い時代であることを願っております。
そして“令和”もこの小説をよろしくお願いします。
「あ! あいつ……」
「ん? 知ってるの??」
女王・サーラがいる塔にナルトと向かっている時に、塔に近づいたことでサーラの顔がはっきり見え、ナルトが会ったことがあることを思い出したみたいだった。……ま、知ってるんだけどさ。
「
「そうなんだ」
あの地下で彼女が歌っていた光景を思い出してるんだろうなと、ナルトを見て笑いながら向かっていた時だった。
「きゃっ!」
「「!!」」
まだ遠いからかその声は小さかったが、間違いなく聞こえた悲鳴。
そして見据えていた塔の上の部分が突然崩れ始め、そこに巻き込まれている女の子の姿が見えた。
「やべぇ!!」
「あ、ちょっと……。 早いな……」
迫るスピードをあげたナルトに、難なくついて行くハルトは考えていた。
「(おかしい……、本当ならもっと余裕があったはず。 ナルトは近くの塔から助けに行ってた……、少なくともここよりは近くの塔に。
やっぱり、少しずつずれているのか)」
―――それも悪い方向に。
初めてナルトに会った時も、あそこで間に合わないなんてことは無かった。そして今もそうだ。
たった二回。……されど二回だ。
―――ガンッ、ダンッ、ザーーッ!!
「くっそ……」
「あ、考えすぎた」
実際よりも遠かったこと、それによってスピードがかなり上がっていたこと。
色々と重なって、残りの落下距離では止まれないほどの速度で壁を降下していく。
「やばいやばい」
ナルトが落ちてくる先の壁に、高速で移動した。
「大丈夫?」
「な!? お前、どこからっ!」
ナルトがなんだか騒いでるが、ちょっと放っておく。ナルトと共に落ちながら、大きな柱を見つけ、その影に向けてクナイを投げる。
「しっかり持ってて」
「どういう……!?」
ナルトに触れた瞬間、飛雷神の術でとんだ。その先の柱にナルトはそのまま寄りかかって座り込む。何故ここを選んだのかというのは、ここが見たことある場所だったから、……原作で。
「大丈夫ですか? 二人とも」
声をかけると女王様は顔を上げた。別に他意は無い。ただ、声をかけた次の瞬間に、まずったなとは思った。
声をかけたのは俺だけど、彼女が顔を上げた時に見えるのはナルトだけだ。
「い、いやぁぁぁぁ!!」
「ぶへっ!?」
ナルトの両頬に手型がくっきりついた。
「この! 無礼ものっ!!!」
「落ち着いてください、女王様」
さすがに顔面パンチをくらうのは可哀想だと思って、彼女の手を掴んで止める。
……細っ!?もう少しギュッてやったら折れそう……。
「!?」
「我々は怪しいものではありません」
「そうだぞ! 塔から落ちてきたあんたを助けただろ」
「そ、そうだったのですか。
ひとまずそのことには感謝しますわ、ありがとう」
「……お前、本当に女王か?」
「そうです、私がこの街・楼蘭の女王サーラです」
「サーラか! 俺はうずまきナルト、でこっちが……」
ナルトが俺を紹介しようとして、名前を聞いていなかったことを思い出したらしい。
「俺は他国の忍です。 任務のため、名前は言えませんが」
「こいつもお前のこと助けてくれたんだってばよ!」
ナルトからの援護射撃で、どうにか信用してもらえたらしい。
「それで、お前ってばどうしてあんな所から落ちてたんだ?」
「っ! それが……、誰かに押されたような気がしたのです」
「なっ!?」
「あなたの命を狙っている奴がいるということですか」
「そんなことあるはずがありませんわ! この街の民たちはみな、私をこんなにも歓迎して下さっているのですよ! 」
「ではなぜ、あなた様が塔から落ちそうになった時、誰も取り乱さなかったのでしょうか」
「っ、それは……」
「確かに、何事もないように歓声送ってただけだったってばよ」
「き、きっと取り乱してそれどころではなかったのでしょう!」
うーむ、意外と現実が見られない方のようだ。いや、ナルトとの出会いで変化があるのだから、それも致し方ないことか。
「全く、街の外に出ていて欲しいと頼んだはずだったんだけどね」
「!?」
「すみません、緊急事態と判断しました」
「……まぁ、君が判断したなら間違いないんだろうけど」
「はぁ……」
無条件の信頼は嬉しいものだが、ここまでくると不思議になってきてしまう。
「一体、何者ですか! あなた方は!! 楼蘭になんのなんの用ですか!」
「女王が知らないってことは……、お前たちがサーラの命を狙ってる奴らか!!」
「……あら、」
俺の事は信頼してもらうために援護射撃してくれたから、父さんたちのことも擁護してくれると思ったけど、そこは原作通り進むらしい。まぁ、ナルトの頭なら仕方ない。
「一体、何者だってばよ! お前ら!!」
ナルトがクナイを取り出して、父さんたちに向かっていく。父さんがやられることは無いし、制圧もするのだが、ナルトについていろと命を受けたのは俺なわけで。そんな中で、ナルトが第三者に攻撃するのはちょっと問題があるわけで。
―――『お、俺を連れ出すんじゃねぇのかよ?』
―――『連れ出して欲しいなら、連れ出すけど?
まぁ、あちらの任務を邪魔しなければいい訳だから。 それに……、』
―――『それに?』
―――キーンッ!!
父さんに向かっていくナルトの目の前に現れ、下から迫ってくるクナイを上からクナイで相殺した。
―――「それに、君があちらの任務を邪魔しそうになった時は……
俺が全力で止めればいいだけの話だから」
ナルトの手からクナイは落ち、握っていたその手は若干痙攣してクナイを握れるような状態ではなかった。
忘れないで欲しい。
俺は、ただの六歳児ではないし、ただのナルトの兄でもない。
これでも一応、暗部に身を置く忍なのだ。
―――僕の息子かっこいい!
『ミナト、顔がだらしない。 直接見えなくてもわかる』
『精神世界にわざわざ言いに来てくれたの?』
『直接言ってもよかったのか?』
『んー、それは困るなぁ』
『……、』