投稿、遅くなってしまって申し訳ありません。平成→
令和で頑張りすぎました(笑)
今回は会話が多くなってしまいましたが、意味があっての事です。この話は多少読みずらいかもしれませんが、ご了承ください。
「……」
全員が沈黙するある塔の中。ナルトが父さんたちに攻撃したのを俺が止めた後、どこか安全に話が出来る場所に移動しようということで、ここにやって来た。外でバレないように弥白に見張らせているが、多分大丈夫だろう。
「ごめん、まだ痛む?」
「あ、いや。 大丈夫だってばよ」
分かっていたとはいえ、実際に見たナルトのスピードが速くて、攻撃を防ぐときにちょっと手加減をミスっていた。
俺に防がれた方の手をじっと見つめていたから、まだ痛むのかと心配したが、そうではないようで安心した。
「ここまで来たら仕方ないね。 本当は話したくなかったけど、できる範囲で説明しようか。
君もそれで構わないかな?」
俺の方を向いて同意を求めてくる。
……そうか、父さんが説明する内容は、ほとんどが俺が提供した情報なのか。
「大丈夫です」
「分かった。
俺たち三人は木の葉から極秘任務を受けてこの街に来た。 確かにここは、君の知っている楼蘭ではない、僕の考えが正しければ、君は未来から来た人だからね」
「……未来っ!?」
「あぁ、君に話したくなかったのは未来の人間がこの時代に関わることで、時の流れが大きく変わってしまうからさ。 ここは君のいる時代からおそらく十五年ほど昔。
そして六年前にも未来から来た忍がいる、君と同じく突然ね」
そこまで言うと、父さんは僕の方を向いた。何か付け足すことはあるかってこと?……ゆうてない、名前くらいだ。
「その忍の名前はムカデ。 女王陛下にも分かるように言うのであれば、この街の大臣を務めているアンロクザンという男です」
「……!!」
「俺たちが追ってたやつもムカデだってばよ!!
……あ゛ーーっ!?!? 何が何だか分かんねぇ!?」
ま、今のナルトの頭じゃ仕方ないか。
「君のいた時代で何があったのか話してくれないか? もしかしたら何かわかるかもしれない」
そこからナルトが話したのは、俺が原作で知っていること。龍脈までムカデを追い詰めたが、封印式を体内に取り込んでしまったらしい。
「なるほど。 君もムカデも時空間忍術で未来から過去に遡ってきたってわけだ」
まぁ、そりゃあ、実は世界まで違うなんてことはわからないよなぁ。
ナルトの世界では、おそらくミナトが封印を行ったから、時空間忍術が発動したのだと思うが、それだけではナルトが世界まで超えた理由に説明がつかなくなる。どこかで何かしらのズレがあるはずなんだけど……。
「……よく分からねぇけど、それじゃあ俺ってば元の世界に帰れねぇのか?」
「うん、でもムカデが体内に術式を取り込んだのなら、奴を倒せば術式も元に戻って、君も元の世界に帰れるんじゃないかな」
「本当か!」
「とにかく、急いでムカデを倒さなければ、時代がさらに大きく歪んでしまうだろうね」
「あぁっ!! 思い出した!!」
びっくりしたぁ……!……そっか、この展開は忘れてたな。
「
それにそっちの二人も……ぶへっ!?」
「はい、そこまで。今は三代目だから、君が未来から来たことは間違いないみたいだね。 でもそれ以上、未来のことを話されるとどんな影響が出るかわからないから、この話はおしまいです」
思わずナルトの口を抑えてしまった。まさか、そこまで言うとは思わなかった。チョウザさんもシビさんもナルトの友達の父親であることは分かっていたが、元の世界の君はそんなこと気づかなかっただろ……。
「い、息できねぇっ!!」
「あぁ、ごめんごめん」
「謝罪が感じられねぇってばよ!」
「感じてるよ、多少は」
「盛大に感じてくれ!!」
まぁまぁ、とナルトを落ち着かせて、この後の動きを父さんと決めようとしていた時に、俺の事をじっと見ていたナルトが口を開いた。
「そういや、お前は何者なんだってばよ」
「ん? 俺?」
「そうだってばよ。 お前だけ面とらねぇし、そういや兄(あん)ちゃんも“俺たち三人”って……」
「意外と聞いてたんだね」
「バ、バカにすんなってばよ……」
最後、ちょっと自信なさげに言うなよ。
「んー、そうだね……」
「! いいのかい? 見せても」
「??」
俺が面を外そうとしたことに、少しだけ驚いた父さんに聞かれた。
そりゃあそうだ。俺は父さんたちの火影直属の命ではなく、秘密裏に動いて欲しいという言わば極秘任務だ。暗部への任務、それも俺に依頼するということは、色々とめんどくさいことがあるのだろう。そんな任務で、どこぞの者かわからない人に正体を明かすのは得策とは言えない。
「大丈夫です。 問題ありませんし、いざとなったら自分でなんとかしますから」
だが、今回は相手が誰かわからない者ではない。父さんたちにとってはそうであっても、俺にとっては大切な弟なのだ。
それに……どうせ記憶は消される。
俺は面を外し、ナルトの方をむく。俺の顔を見て、直ぐに父さんの顔を見たあたり、やはり直感がよく働くようだなぁ
「俺も木の葉の忍だよ、だけどこっちの三人とは任務の内容が違うんだ。 三人の任務は楼蘭での真実を突き止めること、そして女王陛下をお守りすること。
対して俺の任務は、楼蘭で作られている傀儡兵器の真相をつきとめ、あわよくば破壊すること。 後は、こっちの三人の案内係ってとこかな」
「お前みたいな小せぇ奴一人で、そんな任務受けてんのか!?」
「そうだよ」
若干バカにされた気がするけど、気にしないでおこう。
「お黙りなさい! さっきから聞いていれば、あなた方は嘘ばっかり!!
アンロクザンはムカデという男ではありませんわ! あの男はお母様の意志を継いで、この国のために力を尽くしてくれています。 平和を愛するあの男があなた方の言うような兵器など、作ったりするはずがありません!!」
「女王陛下、残念ながらあなたは騙されています」
「どうしてそんなことを言うのですか! あなた方のほうがずっと怪しくて、騙しているように見えます!」
んー、それには言い返せないなぁ。
「あ、おい! どこ行くんだってばよ!」
「……私が直接、確かめて参ります」
「おまっ! さっき命を狙われたばっかりだろっ!! そのアンコロザンって奴のせいかもしれねぇんだぞ!!」
「残念だけど、アンロクザンね」
「おんなじようなもんだ!!」
いやいや、原作よりも離れちゃったから。あんころ餅かな?
「二手に別れよう。 君にはサーラを守って欲しい」
「それはいいけど……、俺ってば早くムカデを捕まえなきゃなんねぇし、元々俺らが取り逃しちまったせいでこんなことになってるんだからな」
「でも、この時代の楼蘭の事なら俺たちの方がよく知っている。 始めに彼から情報ももらってるからね」
「ん? お前が提供したのかよ!?」
「ん? そうだよ」
「お前……何者だよ」
ナルトの俺を見る目がだんだん、いち忍として認めざるを得ないみたいな目になってきた。俺としてもいつまでも弟に舐められたままってのも嫌だしなぁ。
「とにかく、君を三人と同じ任務につかせる訳にはいかない。 途中で人数を増やすことは出来ないって、木の葉の忍なら分かるよね?」
「まぁ……、サーラを守るってのも大事だろうけど」
「だから俺は、君と一緒に行こうかな。 それでもいいですよね? というより、むしろ、そっちの方がやりやすいですよね? 人は増えなくて済みますし……」
「またお前とかよぉ」
「一人で動くより、役に立つと思うよ?」
最初より、あからさまに嫌がられたり拒否ったりしないところを見ると、だいぶ認められたかな。
「君にこれを渡しておくよ」
そう言って、父さんがナルトに渡したのは、あの特製クナイ。
それを見てナルトが何かを思い出したように、顔をあげた。
「これを持っていれば君がどこにいても駆けつけることが出来る。 俺の特製クナイだよ」
「
「早く行け、時間が無いよ」
「……わかったってばよ」
そう言ってナルトは後方に走って行った。
分かってる、きちんと。
頭では理解している。
ナルトに正体を明かせば、時代が変わってしまうことも、
世界が違う中で、知らないはずのことを知ってしまうことが危険であることも、
「ハルト? 追いかけないの?」
「ん、追いかけるよ」
先に走っていたナルトのそばまで来る。
「お前の名前も、なんとか“ルト”なんだな!」
「!? ……どうだろね?」
「いーや! 聞き慣れてるから間違いねぇ!」
―――記憶を消さなければならないということも。
それでも、どうしても、
「じゃあ、俺のことはルトって呼んで」
「は?」
「だって、ずっとお前って呼ばれるのは嫌だからね」
「んー、まぁそれもそうか!」
ナルトに何も教えてやれないというのは、心苦しかった。
この世界の歪みを知っている俺が、この街での決着をつけなければならないということを、
利用できないかと考える自分にも気づいていた。
『……、』
口寄せ契約を結んでいる口寄せ獣とその術者は、精神世界で繋がっている。
意識しなければ、互いの心の内が互いに伝わってくる。
彼は意識して制御しているため、向こうに流れてはいないだろうが、彼の術者からは、その心が流れてきた。
そして、彼はとても賢かった。
『一体、何を隠しておるのだ……、主』