HARUTO~原作のないNARUTOの世界へ   作:ゆう☆彡

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信じるべき相手を信じて

 

「くっそ、あいつどこ行ったんだ?」

「忍でもない彼女の足じゃ、そう遠くへは行けないと思うんだけど……」

 

高い塔がそびえる街を見下ろして、サーラを探す。エレベーターに乗ってたことは覚えてるけど、……こりゃあ自分で探すしかないな、エレベーターありすぎる。

 

 

「……あっ! ルト、あそこだってばよ!」

「ん?」

 

……よく見えるなぁ、おい。

 

ナルトの指さした方向にある塔で、エレベーターに乗ったサーラを見つけた、……最早、気配で。

 

「で、サーラ様に近づいてどうするの?」

「んー、連れ出すってのもおかしいからな……、とりあえずそばにつくだけでいいってばよ!

なんかあった時は、俺たちで何とかすればいいだろ!」

「……そうだね」

「俺ってば、なんか変なこと言ったか?」

「ううん、何も」

 

無意識に、自覚なくそういうことが出来てしまうのは、やはり主人公だからか。

 

「行くぞ、ルト!」

 

“俺たち”と言われて嬉しいのは、

 

 

「うん」

 

可愛い弟だからか。

 

 

「入口、こんな高い場所にはないよね」

「……だぁぁぁぁ! だからってあんな下から入って、上まで登れるか!!」

 

サーラを見つけて、その塔まで来たのはいいが、建物の入口とは本来、地上にあるものだ。屋根の上などを移動してしまう忍用に上に入口がある、なんてサービスのいい建物はない。

 

「気配を察知しておけば、下から行っても見失わないんじゃないの?」

「そうだけどよぉ……」

 

どうしたもんかと唸っているナルトをのんびりと見ていたら、

 

 

「きゃぁっ!」

「「!!」」

 

サーラが部屋に引っ張りこまれた。

 

「ルト」

「うん」

 

ナルトに呼ばれただけで、何をするのか分かった。お互い顔を見合わせて、

 

 

「「せーのっ!」」―――ガッシャーーンッ!!!

 

 

二人で窓を突き破り、そのままの勢いでサーラが連れ込まれた部屋の扉を押し開けた。

 

「お前ら、何者だ!!」―――ドサッ!

 

 

……、

 

ドサッ?

 

ナルトがチャクラ刀を構え、黒い布のマスクを被った集団からサーラを守る。俺の知っている原作通りの話が目の前で展開されていた、

 

 

「……、」―――カタ

「?」

「!?」

 

俺の足もと以外では。

そういえば、俺が立ってるここって、村の人が電気をつけるスイッチがあるところだ。

でもそのそばに居るのは、俺よりも小さい子ども一人。スイッチに手が届くわけがない。

 

俺に気づかれたとわかったその子どもは、少し震えながらも必死に何かを訴えてきた。

 

「……あ、ぁの」

「どうしたの?」

 

ここは見た目が子どもの特権だ。一緒に屈んで目を合わせて聞けば、小さい俺になら多少なりとも心を開いてくれる。

 

「あ、あそこのぼたん、おしてほしいの……」

 

子どもが指さす所にスイッチらしきものを見つけた。

 

「いいよ、でも……」

 

明るくなった時に、俺がつけたって思われたら混乱が起きる気がした。だから、

 

「!?」

「一緒にね」

 

子どもを抱っこしたまま少しジャンプしてスイッチを押した。

 

 

「「「「!!」」」」

「……、」

「あー……、まぁ、電気はついたってことでいいよね?」

 

抱っこしてもしなくても、結局不思議そうな顔で見られることには変わりなかったみたいだ。

 

 

 

サーラとナルトが村の人と話している時も、その子は俺から離れようとしなかった。なんだか随分と懐かれたようだ。

 

「ルト! 俺たち、ちょっと地上に行ってくるってばよ!」

「分かった。 他の人たちも連れて、追いかけるよ」

 

おそらく、外で行われているパレードを見に行ったんだろう。その後、確かどっかに行っちゃうからついて行かなきゃダメだな。

 

 

「君はここにいたの?」

 

ナルトとサーラ、そして村の二人が出て行った後、部屋を片付けている時に、スイッチの上に小さい子どもが乗れるくらいの板が取り付けてあるのを見つけた。

 

「うん」

「ここから電気をつけるつもりだったんだね」

「どあがあいて、びっくりして、おちちゃったの」

「それは……ごめんね」

 

間違いなく俺たちのせいだ。

 

「んーん、おにいちゃん、やさしいから大じょーぶ」

「ありがと」

 

「こんな感じですかね」

「んー、はい。 多分、バレることは無いと思いますが、証拠は消しておくに限りますからね。

 

我々も上に行きましょうか」

「……、」

 

誰も動こうとはしない。そりゃあそうだ、見知らぬ国の見知らぬ奴に言われても、ついて行く気にはなれない。

さっきは少なくともこの街の女王がいたから、落ち着いただけ。いない今、信じる要素は何もない。

 

それでも……

 

「信じてください」

「……、」

「俺ではなくて、あなた方の女王様を」

「……!」

「そして、……一緒にいる少年を。

 

必ずこの街の力になってくれますよ」

 

 

守らなければならない。

この街を、この街の人を。

 

その信頼を。

 

俺のことは信じてくれなくても、自分たちの女王様まで疑わないで欲しい。

 

 

俺が生きていることで起こっている悪い流れによって、

 

これ以上の犠牲を払わないで欲しいから。

 

 

「サーラ様も、うずまきナルトも、

 

強いですよ」

「……!!」

「上に急ぎましょう」

 

上に向かって走る村の人たちの背中を見て……誓う。

 

―――犠牲は出させない、と。

 





「おい! サーラ!!」
「……逃げられたの?」
「おまっ!? 逃げられたとか言うなよ! ……だぁぁ、見てろよ!」
「あ、ちょっと……」

来るのが遅かったか、サーラが既にこの街の真実を知り、傀儡の群衆の中へ逃げ出たところだった。
そして、それを一目散に追いかけて行ってしまったナルト。……村の人たちをこのままにしておく訳にはいかない。

「“口寄せの術”」───ボフン

「弥白、悪いんだけど今の黄色い髪の忍、追いかけて」
『分かった』
「あー、弥白」
『?』

この時の発言は、確信と疑いが半々。

「その忍に触れないでね」
『……

分かっておる』

ほんと、俺の口寄せ獣は賢くて助かる。


───ナルトと俺には何かしらの関係がある

弥白がそう勘づいていると完全に確信した。
そしてそれに気づいていながらも、何も言わずに従ってくれる。

それは、俺も信頼されてるって思っていいのかな。

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