作者、本気を出して映画の漫画を買いました。
『ザ・ロストタワー』編、終わらせに行きますよ!!
……もう少しお付き合い下さいm(_ _)m
『ここから入る。
傀儡を操っていたチャクラ糸が繋がっていた管は全てここに集まっておる』
「確かに、ここが龍脈の力を一番強く感じます」
「よし! ここから入って行くってばよ」
四人がたどり着いたのは巨大な排気口のそばにある、鉄格子のかかった小さな窓。ナルトがその格子をクナイで外して下におり、その後弥白が下りた。
「サーラ様、失礼します」
「え? わぁ……!?」
一緒に下りられればサーラを危険にしないのだが、なんせ窓が狭い。なので、
「失礼します」
「きゃぁ!」
そのままサーラ下に投げた。
「ルト!?」
ナルトが焦るなか、空中でポフッいう音と共にサーラの身体は受け止められた。
「ルトの口寄せ!? なんか大きくなってるってばよ……」
『……弥白だ』
「俺が考え無しに、サーラ様を投げるわけないでしょ」
少し大きくなった弥白がサーラをキャッチして優しく地上におりた。
「これは……」
そこから更に下で煙が巻き上がる。その煙が晴れて見えてきたのは、たくさんの街の男の民。足にも手にも錠をかけられ、そばの見張りをしていると思われる傀儡は武装していた。
「信じられません……、兵器をつくるためにアンロクザンが民の力を利用しているなんて……」
「どうする? サーラ」
「こんなこと絶対にやめさせます」
そう言うとサーラは下をキョロキョロと見渡した。
「あそこに連れて行って下さい。 あそこでなら龍脈の力を断ち切ることが出来ます」
「よしっ!」
「わかりました。 ナルト、君は俺と一緒に行くよ」
「おぅ! ……へっ!?」
「サーラ様は彼に跨ってください」
弥白が屈み、その背中を空ける。
「なるべ隠れながら進みます。 しっかり捕まっていてください」
「は、はい」
「行くよ、ナルト」
「おう!」
更に下へ降りる。あちこちを武装した傀儡が歩いており、柱に身を隠しながら進む。まぁ、どうせこの先で見つかるのだからなぁと思っているのだが、だからといってわざわざ見つかりに行くのもよく分からない。
「ありがとうございます。 皆さん、少し離れていてください」
とりあえず何にも見つからずに到着した。
弥白がサーラを降ろして、その場から少し離れる。
「女王の名のもとに命じます。
汝 龍脈の流れを断ち 汝の力を抑えたまえ」
サーラが手をかざすと、施されていた術式は一度紫色に輝きを放つとその力を中心に封印されたように、傀儡を作る機械はその動きを止め、感じ取れていた流れは止まった。
「よし、今のうちにあそこにいる人たちも……」
『……主』
「うん……、ナルト!!」
「!」
俺が叫んだことで、ナルトも周囲の異変に気づき、サーラ様を守るように立つ。
「女王様、そんな所で何をなさっているのです!」
「アンロクザン!?」
「あいつが……!?」
ナルトが驚くのも無理はない。ナルトにしてみれば昨日ぶりに会っている男のはずが、様変わりしていのだから。
「龍脈の流れは止めました! 女王として命令します! 傀儡兵器の開発をやめ、労役を課していた民達をすぐに解放するのです!」
「なるほど、そこまで知っておられたか。 ならば、生かしておくわけにはいかない。
あなたの代わりは傀儡人形で十分! 既にあなたの龍脈を操る力は必要ない!!」
龍脈の流れを断ったはずの工場内で、動かないはずの傀儡兵器が動き出した。
「サーラはみんなを連れて逃げろ! 俺があいつを捕まえて傀儡を止めてやる」
「はい!」
「俺様は今や楼蘭の大臣……
アンロクザン閣下だ!!!」
「何が閣下だ!! ムカデのくせによっ!!」
ナルトが自分の目の前の傀儡を踏み台にして、アンロクザンに近づこうとする。しかし、龍脈の流れを断った場所で傀儡を操るアンロクザンの力は、以前とは比べ物にならない。
アンロクザンの指先からチャクラ糸がのび、遠くの動かなくなった傀儡がサーラの行く手を塞ぐ。
「っ!」
「サーラ!!」
『“狐火”』
「“手裏剣影分身の術”」
サーラに向かっていた傀儡を炎が包み、ナルトの背後から迫っていた傀儡はチャクラ糸が切られ、崩れて落下した。
「俺らがいることも忘れないでね」
「ルト! 弥白も助かったってばよ!」
「道を開けますので全力で走ってください、彼がついて行きます。
弥白、頼むよ」
『わかっておる。
“狐火”』
「“風遁・風切り”!!」
弥白が放つ炎を風の力で威力を上げて範囲を広げる。
「今です!」
「はい!」
サーラの後を追う傀儡のチャクラ糸をチャクラ刀で切っていく。
『“雷獣”』
「“雷華刀”!」
俺を抜けても、弥白がしっかり守ってくれていた。しかし
「くっ……おわぁっ!!」
「ナルトっ!!」
「ちっ……、弥白! サーラのことだけ守れ!」
あの弥白でさえ、この状況に苦戦する。
この工場に入った時から気づいていた。俺の知っている世界よりも、傀儡の数が異様に多いことに。俺のせいで異変が起きることには慣れていたが、正直、弥白に頼らないと対処しきれない数だった。
傀儡に捕まったナルトのことを助けに行けないほど、俺の周りにいる傀儡の数も増えていた。そしてナルトのチャクラがどんどん減っていくのを感じる。
「おやめなさい! アンロクザン!!」
「今までのお礼を申し上げますよ、サーラ様。 あなたは亡くなられた母君と比べてとても優れた傀儡だった。 あの女を直ぐに切り捨てて正解でしたよ」
「まさか……、あなたがお母様を……?」
「えぇ。 そろそろ本物の傀儡と交代していただきましょうか」
「うっ……」
サーラの目に涙が溜まる。信じていた側近に裏切られ、大切な母上を殺された事実は、少女の心に重くのしかかった。
「サーラ! しっかりしろっ!!」
「『!!』」
暗く沈んた空気を断ち切るように声が飛ぶ。
「お前は……お前は傀儡なんかじゃねぇーー!!!」
サーラの目に若干、生気が戻る。しかし、ナルトにはより一層傀儡が覆いかぶさっていき、アンロクザンがチャクラ糸で折れた刀を持ち上げた。
「(くそ……っ、頼む……っ。 共鳴してくれっ……!!)」
原作でなら跳ね返す傀儡の鎧が、ナルトをどんどん包んでいく。 ……その中で、
―――グワンッ!!!……――バキィーン!!!
「……きた」
オレンジ色のナルトのチャクラが膨らんでいく。その中に、僅かに感じる母さんのチャクラ。ナルト本体から吸い取っている傀儡の影響も、母さんのチャクラが込められている御守りにはない。
目の前のその現象が、俺の目には奇跡のように映っていた。違う世界、それでも親子だからと似ているチャクラ同士が共鳴した。
それは、世界が違くとも目の前にいる【うずまきナルト】が自分の【弟】であるという事実を証明してくれていた。
「君は……、俺の……」
ナルトのチャクラが跳ね上がることで、爆発とともに傀儡の檻が壊れていく。その激しい音の中で、俺の言葉と涙は消えた。
「なんだ、このチャクラの量は!!」
「サーラ……、泣いてる場合かぁ!!
おめえはやるべき事を真っ直ぐ貫け! そいつは俺が……、ぶん殴る!!!」
ナルトの言葉で、自分が若干笑みを浮かべていることが、自分でわかった。
「やったことないけど……やってみるか」
まだ全ての檻を壊せた訳では無い、ナルトを包む傀儡を見て決意し、胸の前で十字を作り影分身を出す。
「“雷伝”!!」
自分と影分身の間に雷撃が走り、そのまま傀儡の集団に突っ込む。
ナルトは傀儡の上の方に捕われてるから、……下の方なら大丈夫だよな!
「ナルト!!」
「ルト! って……そのまま突っ込むのかよぉ!!!」
巨大な爆発と、大量の煙が巻きあがる。
「ムカデェェェ!!」
ナルトの足下ギリギリを雷撃で破壊し、ナルトを助け出した。ナルトはそのままの勢いでアンロクザンの顔を殴りつけた。
「なんだ……こいつの身体……」
「……ちっ!」
人間ではありえない形で、顔が壊れ、中が空洞になっていた。 ムカデの近くにいたナルトを抱え、その場を離れる。
「この桜蘭で俺の力は無限だ!!」
倒れたムカデの体にばらばらになっていた傀儡の破片がくっついていく。相変わらず、龍脈の力が通っていない場所で傀儡兵器は動き、そしてムカデ自体も攻撃力を上げて暴れていた。
『乗れ』
「弥白様……」
『逃げるぞ』
傀儡兵器に囲まれたサーラは弥白が助け出した。
「どうするってばよ……」
「……もう少し、のはず」
「何がだってばよ」
そう、もう少し。
俺の知っている知識なら……もう少しで、
―――ドォォォーン ―――ドォォォーン
「きた」
待っていた人達が。
君を大切に思う人が、……来る。