お待たせしました、……と言ってもそんなに進めていない。
ごめんなさい……、もう少しお待ちくださいm(_ _)m
「爆!」―――ドガーーーン!
突然、工場のあちこちで爆発が起こる。ムカデも突然のことであまり理解ができていないようだった。
「無事かい?」
「
「彼も上手くやったようですね」
別行動をしていた父さんたちが、やって来てくれた。そして、姿は見せないがチャクラで感じるカカシ先生の存在。
「やつが手間取っている間に女王様を!」
「! サーラ早く行けっ! みんなを連れて地上へ逃げろ!」
「はい!」
サーラが鎖に繋がった民達のところへ走った。と同時にナルトはムカデに攻撃を仕掛ける。
「弥白、サーラ様について行って」
『分かった』
一人にする訳には行かないので、弥白を向かわせてナルトとムカデの戦闘を見る。
「サーラめ! 逃がすか!!」
「「いくぜ!!」」
「!」
初めて見る、その術。 この世界において、そして俺にとってその術もまた家族という繋がりを感じる特別な術。
「“螺旋丸”!!」
独特の青い光を放ち、乱回転する高密度のチャクラが一点に集まっている。ムカデに比べると小さなその術、それでもその巨体をはね返し、壁にたたきつける。
「どうだってばよ……」
「油断しない方がいい、やつの能力はまだ底知れない」
傀儡のムカデがバラバラになりながら床に落下する。普通ならば、動きを停止するような壊れ方だが、ここで普通は通用しない。
「……、」
サーラの方へ向かわせた弥白を見ると、鎖を解き民達を一緒に地上へ誘導していた。……とりあえずあっちは、きちんと進んでるかな。
「こんな程度で……俺を倒したつもりか! 俺の力は無限だと言ったはずだ!!」
「「「「!!」」」」
バラバラになった傀儡の部品が、チャクラ糸に引っ張られて一箇所に集まっていく。バラバラだった部品が、すでにムカデのもとの形をなしていた。
「こいつ……っ! “多重影分身の術”!!」
ナルトがムカデに突っ込んでいくが、簡単に弾き飛ばされてしまう。
「チョウザ!」
「まかせろ! ……“部分倍化の術”!」
チョウザさんの巨大な拳がムカデに直撃し、そのまま壁にたたきつける。
「シビ!」
「“忍法・虫玉”!」
壁に埋まっていたムカデを大量の虫が包み込む。そのまま落下すると思ったのだが……
「そのまま虫たちの餌になれ」
「うぬぅ……!!」
シビさんが青いオーラを纏って、チャクラを吸い取っているのがわかった。攻撃のつもりかもしれないが、今は逆効果だ……。
「これしきのチャクラなど、くれてやるわぁ!!!」
「……虫たちでも吸いきれないほどのチャクラだと!?」
「……っ、
虫たちをあいつから離してください!」
「!」
チャクラを吸われればそれを回復させようとして、より強力な力を手に入れることになる。虫たちで、下に落として貰えるだけでよかったんだけど……、まぁ仕方ない。
「“風遁・風の刃”」
「……何っ!?」
大量の虫たちがムカデから離れた瞬間、壁から落ちないように支えていたムカデの足付近にのみ風が巻き起こる。
殺傷力があっても、ムカデ本体を傷つけられるほど大きな術にすればここが壊れかねない。ならば、とりあえず落とすことにだけ集中する。
「ぎゃぁぁああー!」
巨体を支えていた足が壁から離れ、穴へ落ちていく。
「やったか?」
「……、」
「……まだだ!」
俺が叫ぶとほぼ同時に、ムカデの一部だったものが怪しく紫色に光り、ムカデが落ちた穴に吸い寄せられるように引っ張られていく。
そして轟音とともに、床に亀裂が入り煙が勢いよく上がる。
「俺が造り上げた究極の傀儡回旋撃!!
見せてやろう、わが新しい肉体を!!」
先程までの蜘蛛のような形から、足は太くなりもはや二足歩行を可能にしている。
「なんか……土偶みたい……」
「どぁぁあ!? ルト!見てる場合じゃねぇってばよ!!!」
「地上に逃げるよ!」
「こっの、ムカデ野郎ぉぉぉ!!」
「ナルト!?」
ナルトが天井をつきぬけて地上に出ようとするムカデにしがみつき、そのまま見えなくなった。
「とりあえず追いかけようか」
「そうですね」
――――――――――――――――――――――
「サーラ! ここはなんとかすっから、みんなを連れて逃げろ!!
お前がみんなを守るんだ! 女王だろ!!」
地上に上がると、影分身だと思われる大量のナルトが巨大なムカデを捕まえているところのようだった。
「ジャマをするな! 木の葉の小僧!!!」
そのナルトを一振で退けると、すぐにサーラの方へ近づこうとする。そのサーラは、高い塔に囲まれている中央広場へ民とともに逃げていた。ムカデほどの巨大であれば、そこに近づくのはかなりの困難であるが、それでもそこを突き進む。
「ムカデのやつ……、なんであそこまでサーラを狙うんだ?」
「何が特別な理由があるってことだね。
ナルト、もうしばらくサーラ様を守っていてくれ。 僕たちにはやることがあるんだ」
「おう! まかせとけ!」
ミナトがその場から離れると、入れ替わるようにハルトがやってくる。
「や、ナルト」
「おわぁ!? 驚かせるなってばよ、ルト!!」
ナルトがハルトと視線を合わせるためにしゃがむ形になる。
「俺もちょっと離れるから頼むね」
「ルトもいなくなんのかよ!」
「ちょっと助けてあげるから、……許して」
そう言ってハルトはナルトの肩に手をのせる。
「!」
「じゃ、任せたよー」
ハルトはそのまま下の方へ降りていった。
「んー、
ナルトは手を握りしめ、身体の中を流れるハルトから受け取ったチャクラを実感していた。
「……ま、いっか!」
そうしてナルトは中央広場へ近づくムカデと戦い、やることを済ませたミナトたちもナルトに合流していく。
そして、サーラ自身が龍脈の源を止めることが出来るため、ムカデに狙われていることに気づく。
その龍脈のもとへこれから全員で向かおうと、地上で話し合われている中……、
―――シュンッ
「ここか……」
ハルトが見下ろした先には、龍脈を吸い上げ供給する役割をする塔が存在する空間。
『主、ここで何を?』
「先に手を打っておこうかなと思ってさ」
『……?』
「行こうか」
階段を降りずにそのまま地面まで飛び下りた。
きっとたどり着くであろう場所で、最善の策で大切な人を支えるために。