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──サワァ……
髪の毛の間を風が通り過ぎて、耳元でサラサラと聞こえる音に心地よさを感じながら、俺はそのまま地面に仰向けに倒れた。
「うわぁーーんっ!!」
「!?」
木の葉にある人気の少ない、小高い丘。今日は、母さんと父さんとピクニックに来ていた。父さんも母さんも任務が久しぶりに無かったから。
まだ準備するから、俺は遊びに行ってきていいと言われ、やって来たのは木の葉を一望できる丘のてっぺん。たまに吹く風が、すごく気持ちがよかった。
そんな中、俺の耳に届いた泣き叫ぶ声。すぐに起き上がり、周囲を見渡すと、少し先にある大きな木の下で子どもが泣き、お母さんがあたふたしていた。
子どもが泣いて指さす方には、木に引っかかった風船。多分、お母さんは忍じゃないんだろう、とってと泣いて喚く子どもをあやしていた。
「大丈夫ですか?」
「僕、迷子かな??」
「あ、いえ。泣いてるのが聞こえたので……。」
とりあえず来てみたら、逆に心配されてしまった。
「この子が風船離しちゃったのよね……。」
「僕がとってあげますよ。」
「……えっ!」
「ほんと!? 兄ちゃん!!」
いや、ちょっと待て。多分、お前は同い年か年上だぞ、……身長的に。
「ちょっと待ってて下さい。」
そう言って、俺は木の方に向かった。跳べば届きそうだけど、どうせなら修行の成果を使うのもありだ。
そう思って、そのまま木の側面を地面と水平になりながら歩いた。そう、サスケとナルトが競って修行したあれ。
「僕、忍だったのね。」
「はい。……これ、どうぞ。」
登りきって、風船をとったあとは、そのままジャンプして地面に降りた。
「ありがとう!!」
「今度は、離しちゃダメだよ。」
「うん!!!」
「さすが、ハルト!」
「すごいってばね! ハルト!!」
男の子とお母さんが行ったあと、やって来たのは俺の父さんと母さん。
「……いつからいたの?」
「大丈夫ですか?、の辺りからかな。」
「父さん。それ最初だよね?」
そうだったかな?ととぼける父さんと、
「いつの間に、チャクラコントロールそんなに上手くなったの!」
と、興奮しながら俺に抱きつく母さん。
「か、母さん……、苦しいよ……。」
「もう! さすがハルトだってばね!!」
「んー、やっぱりアカデミーに入れたいなぁ……。」
「ミナト!! ハルトはまだ子どもだってばね!!」
「わ、わかってるよ……。」
……相変わらず、母さんの前では弱いなぁ、父さんは。
そんなこと思いながらも、そんな2人が大好きなんだ。
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──パシャ、パシャ、パシャ
「……。」
目を閉じ、神経を集中させ、胸のあたりで印を組む。
──ザーーーッ!!!
「おぉ……、」
俺の周りの水が、俺を中心に周囲を水の壁で覆った。
「ハルトは細かいチャクラコントロールが上手なのかもね。」
「そうなの?」
「木を昇るのも、水面に立つのも繊細なチャクラコントロールをするための第一歩なんだ。」
俺と父さんが話している場所は大きな湖の上。俺が木登りが上手いのを見て、別の日に父さんと一緒にここに来ていた。
俺がやったのは術の名前とかはなく、自分のチャクラを水に馴染ませて、壁を作る。……まっ、そんな感じ。
「もっと勢いをつければ壁になって“水遁・水陣壁”の術になるよ。その為には大量のチャクラがいるから、今はまだ無理しなくていいんじゃないかな。」
……きっと出来る。
何故かわかんないけど、そんな確信があったから、後でやってみよっと。
「後は……“分身の術”かな??」
「!! ……もう?」
「ハルトなら出来るよ!」
わぁ、スパルタとかそういう話じゃないよ、もう。
「と言っても、分身はチャクラの量じゃないからね。実践よりも、知識が先かな?」
「うん。」
やった、と俺は心の中で思った。
三歳児しかいない家庭に教科書はないし、忍術の本も、家で見たことなんてなかった。
帰ったら俺のを見せてあげるよ、と言われ、早く見たかったので、今日はもう帰ろうということになった。
「あ、丁度いいしチャクラ紙、使ってみる??」
「……、」
「……あぁ、忘れてた。チャクラ紙ってのはね、」
……危なっ!!普通にうん、とか言っちゃうところだったよ!!!
チャクラ紙ってのは、人が持っているチャクラの性質をはかる紙。火・水・風・雷・土。この五代性質のうち、大抵の人は何かしらの性質を持って生まれる。チャクラ紙はその性質を紙の変化で知ることが出来る。火なら燃えるし、水なら濡れる。風は一直線に切り込みが入り、雷は紙にシワができる。土はボロボロになって崩れる。まっ、こんな感じの説明をされた。
あぁ、原作にはなかった設定として、チャクラを流し続ければ、表れる性質は一つじゃないらしい。
「はい、じゃあこれね。」
「父さんがやったらどうなるの?」
「ん? そうだね、見せてあげるよ。」
……なんで、ちょっとドヤ顔なの?
父さんが持つチャクラ紙は、チャクラが流れた瞬間、真っ二つに切れたかと思ったら、シワになって、最後には燃え尽きた。
「俺は風をメインとした、火と雷の性質を持ってるんだ。」
「へー!」
まさか、三性質持ちだとは思わんかった……。
「じゃあ、ハルトもやってみて。」
「うん。」
身体の前で持ち、チャクラを流した。
「……おぉ。」
「……、
クシナーーー!!!! やっぱり、ハルトのことアカデミーに入れよう!!!」
「急に何言ってるてばね!!!」
父さんが、もう見えていた家に向かって叫びながら走っていった。
父さんが興奮するのも無理はない。……ていうか、だからさっき、水陣壁の術が使える気がしたんだ。
俺の持つチャクラ紙は真ん中で切れた後、シワになってから、……濡れた。
「僕も三つか……。」
「さすがだよ! ハルト!!!」
「ぐえっ、」
すごい勢いで戻って来た父さんに、抱きつかれた。
これはチートなのか??神様にも会ってないのに、チートなんて持ってていいのか?
……まさか、フラグだったりしないよね!?
正直、他の人とは違うところで心配している俺だった。