お待たせしてしまい、申し訳ありませんm(*_ _)m
作者、海外に行っておりました。時差……大変ですね。
1ヶ月は空けられないと思い、書かせて頂きました。次の話はなるべく早く投稿したいと思います。
この章は、作者的に最もブレイクしたい所なので。
「そんな、急ぐ必要があるのか?」
「うん……、敵側の狙いがはっきりしてない以上、助けに向かってる二人にも危険が及ぶ可能性は十分にある」
シスイと二人でとびだし、俺が弥白のチャクラを辿って走っていた時、シスイが聞いてきた。
このスピードに着いてこれない訳では無いが、俺がこんなにも焦ってる理由が知りたかったんだろう。……もちろん、この後どうなるか知ってるから、なんて言えないが。
「リンさんは医療忍者だ。 人質には都合がいいかもしれないけどすぐに殺される可能性は低い、敵側にも需要のある人質だから。 それに、医療忍術のような繊細なチャクラコントロールを得意とする人から、幻術で無理矢理情報を聞き出すのも時間がかかるだろうから、そういう意味ではリンさんはむしろ安全だ。
むしろ、助けに向かってる二人の方が危ない。
……いや、もしかしたら最初から、二人が目的だったかもしれないけど」
「二人が?」
「写輪眼が開眼するかもしれないうちは一族と、木の葉の白い牙の息子だから。 里外でも有名な話だと思うよ」
「そっか……」
うちは一族に対する俺の心配には、目の前の人物にも当てはまるのだが、きっと分かってないんだろう。
「とにかく急ごう、弥白の話じゃ敵の数は相当多いみたいだから。
シスイ、無謀に突っ込まないでよ」
「無謀じゃなければいいんだよな?」
「……? まぁ……」
「ハルトがいるなら大丈夫だ!」
「いや、そういう事じゃなくて……」
「?? 俺、なんか間違ってる??」
嫌味かとも思ったが、本気でその疑問を口にしているのだと分かった。
「……そうだね」
「頼むぜ! ハルト!!」
シスイの信頼の声を受けながら、さらにスピードを上げた。
『主!』
「弥白、どうかした?」
「!」
俺は敢えて、弥白からの通信に声を出して応えた。基本的に、俺と弥白の会話は声を出さずとも出来る。が、今はシスイにも聞かせなければならない。
『リンのチャクラを辿っていた途中で、待ち構えていた岩隠れの忍の奇襲にあった。 カカシが左目を負傷、オビトが……』
「写輪眼、開眼したんだね」
『あぁ』
俺が声を出して反応したことによって、弥白も自発的にシスイの方にも声が聞こえるようにしてくれた。本当に出来すぎたパートナーで助かる。
「カカシさんの傷の具合は?」
『問題ないらしい。 簡易的な手当だけはしてある。 襲ってきた敵も殲滅して、間もなくリンのところに着く』
「わかった。 難しいかもしれないけど、二人のこと少しでも足止めしておいて」
『……期待はしないで欲しい』
「大丈夫、俺たちも急ぐよ」
珍しい弥白の弱気な発言に、少し肩の力が抜けた。
「オビト、写輪眼が開眼したんだな……」
「そうみたいだね」
オビトのこともそうだが、写輪眼の開眼要件はやっぱり難しいし曖昧だと思う。
“失意”と“喪失”
写輪眼に関しては、それは命に限ったことではない。実際、シスイもアオイちゃんも俺が開眼のきっかけみたいだけど、俺は死んでない。
写輪眼はその失意に対しての、自身への力への渇望が実体化したものだと思う。だからこそ、写輪眼を手に入れた時の反応は二極化する。
新たな力を手に入れて自信にするもの。そして、失意や喪失に後ろめたさを感じて純粋に喜べないもの。
おそらく、圧倒的に前者が多いのだろう。俺の周りには後者しかいなかったが、……目の前の人物も含めて。
「誰かが死んだわけじゃないんだから、落ち込むな」
「わかってる」
「でもオビトさんの写輪眼が開眼したってことは、敵の目的の達成が近くなったってことだ」
「そうだよな……」
原作で、カカシ先生たちが狙われた理由は……ちょっと思い出せない。でも、少なくともこの世界との目的は違うのだろうと俺は思っていた。
かけている数が違いすぎるし、今の三人は仲違いを期待できるようなチームワークではない。
つまり、成り行きではなく明らかな目的を持って三人を狙っているように見えるのだ。
『……、……っ、』
「……??」
「ハルト? どうかしたか??」
走りながら僅かに首を傾げた俺に、シスイはすぐに気がついた。
「いや……弥白との繋がりが雑になった」
「……?」
「妨害されてる感じ……、っ!!」
「えっ、ハルト!?!?」
シスイなら着いてくると信じて、無理矢理スピードをあげた。
俺と弥白の繋がりは、もちろんチャクラを介することで可能にしているものだ。つまり、それが悪くなるということは弥白に何かあったか、もしくは、
「結界の中か……っ!」
「は? どういうことだよ!」
「……、
カカシさんとオビトさんはやっぱりおびき寄せられてる、でなきゃリンさんが囚われている場所に着いた途端、チャクラを遮る結界なんて張れない」
「いやいや、なんでカカシさんたちがリンさんの元に着いたってわかるんだ!?」
「当たり前だろ……、カカシさんたちはリンさんのチャクラを追っているはずなんだから」
「!」
「リンさんのチャクラを追えるってことは、結界なんて張ってないってこと、なのに弥白との繋がりは突然悪くなった。 そもそも、リンさんを捕まえている場所に結界を張らないのもおかしな話だと思ってたけど、本当の目的がカカシさんとオビトさんなら、それも納得できる。 リンさんじゃなくて二人が追跡されないことが本来の目的なんだ!」
「二人がそこに着いたから、結界を張ったってことか!」
まずい……、そこまでして二人を狙う理由がわからない。二人ももちろん実力者だが、もっと狙いやすい人物はいただろう。どうしてこの二人を、このタイミングで狙ったんだ。
―何か……嫌な力が働いている気がする……。
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「カカシ、……お前にこの瞳をやる。 俺だけ……上忍祝い、やってなかったからな」
「っ!」
「いやっ、……やだよ、オビト!!」
リンの幻術を解き、見張っていた岩隠れの忍も倒し、あとは脱出するだけだった。しかし、外側のチャクラの気配が突然、感じにくくなったその空間ではカカシやリンだけでなく弥白までもが、外で陣形を組んでいた岩隠れの忍の存在に気づくことが出来なかった。
岩隠れの忍による土遁の術により、三人のいた洞窟が崩されるという原作と同じ展開になっていた。
最初は渋っていたカカシとリンも、オビトに諭されその目の移植をしていた。
そんな中、弥白だけは冷静に周囲を見ていた。
『……、主の気配が突然、感じにくくなった。 外で何が起きてる……』
考えながら、天井を見上げて気づく。自然の力ではないということに。
『っ!! カカシ!リン!!逃げろっ!!
これは忍術だ、意図的に起こされているものだ!!』
「「「「「「“土遁・
弥白が叫んだタイミングと岩隠れによる術の襲撃が同時に起こる。カカシの目に移植が完了していた。右半身が潰され、左目をカカシにあげたオビトには既に光は映っていない。しかし、弥白の切羽詰まる声と周囲の轟音から、リンとカカシに逃げるように叫ぶ。
「オビトっ!!!」
リンの悲痛な叫びが、岩が次々と落ちる洞窟内に響くのと、
「“晶遁・紅の果実”!!」
逃げ出そうとしていた天井穴から押され、洞窟内に戻されたカカシとリンの後ろから声が聞こえるのはほぼ同時だった。
洞窟には似合わない桃色の輝きが、洞窟の内部を覆う。
「ハル……ト……?」
「……、
間に合った……っ!!」
焦ったり、急いだりしないその忍の額には、うっすら汗が滲んでいた。
そういえば、今日は勝手にアオイちゃんの誕生日なんです
……出してあげられなくてごめんね(> <。)