「ハルトォォォォォォ!!!!」
──ヒョイッ
「ギャァァァァァァ!!!」
俺の横を突っ走っていたやつを遠目で見守ってると、しっかりとUターンして戻ってきた。
「止まれるスピードで走ってよ。」
「ハルトがかわさなければ、止まれたぞ!!」
「それは止まれるって言わないの。」
うちは一族の集落の入口で、俺が待っていた相手は、騒がしいこの男。うちはシスイ。
「やっぱり慌ただしいね。」
「そりゃあ、うちは一族の警務部隊長の家族が、増えるってんだからな!」
「だからシスイは追い出されたんだね。」
「追い出されてねぇ!! 俺はハルトと遊びたかったんだー!」
「はいはい。」
うちはは厳重警戒の感じだ。なんせ、警務部隊長に第一子が産まれるんだから。
大人たちはその行く末を見守っているので、子どものシスイは御用なしということで、俺と一緒にいる。
「っし! やりに行こうぜ!!」
「そうだね。」
そう言って走り出した俺達が向かったのは、森に覆われた演習場。
「いつも通り、忍術は俺は分身だけ、ハルトは飛雷神だけな! 後は体術と武器だけ!」
「いつも思うけど、僕は飛雷神使っていいの?」
「俺は飛雷神をかわしたいからいいんだ!!」
同時に後方に跳び、構える。
「行くぜ!!」
──ザッ!! …キーーンッッッ!!
目にも止まらぬ早さで体をぶつけあい、クナイや手裏剣が甲高い音で弾かれ合う。
かわし、かわされ。ぶつけ、ぶつけられ。
それを繰り返すうちに、段々とズレが出てくる。それは、常人なら見逃すほどの些細なズレ。
「……。」
「やべっ!!」
無意識に交わしたクナイが、その囮だと気づいた時には、もう遅い。投げるクナイの全てに、印が仕組まれており、それは目印となって中にとどまる。
──シュンッッ
目の前にいた影が、そこにあったチャクラが、一瞬で背後に感じる。
──ダンッッッ!!!
「ぐっっ!!?」
重力に従って、そのまま地面に落下する。
落ちた地面では砂埃が舞い、一人はそこに降り立った。
「くっそー!! また負けたー!!」
「僕も危なかったよ。まさか、飛雷神を見破られると思わなかった。」
「やるってわかってんのに、動けねぇ!!」
飛雷神の存在を、俺は、シスイにだけは教えてた。というか、初めて会った時に思わず使っちゃって、それをまさかのシスイが覚えてた。……お前、二歳児だろ。
最近始めた、俺とシスイの遊びいう名の修行。忍術を使うと、明らかに公平さに欠けるから、お互い一つの忍術以外は体術と手裏剣術のみ。
そんで、こっから……
「っし、準備できたぞ!」
「わかった。」
目を閉じて集中し、周囲を認知したところで、高く跳ぶ。八個の手裏剣を投げ、続けざまに四個の手裏剣を投げ、最初に投げた手裏剣に当てる。
「おぉ!!!」
あちこちに隠された十二個の的の全てに当てる。体力を消耗した後に、いかに精密さを欠かさないか、という修行。まぁ、その内容はイタチとかがやってたパクリなんだけども。
「木の裏にもきっちり当ててるなー!」
「木の裏は回転かければ当たるけど、視界から縦に重なってる木の方が難しかったよ。」
「よっしゃ! 俺の番!!」
「ちょっと待ってよ。」
シスイとは違うところに、十二個の的を取り付ける。
「いいよ。」
「よっしゃ! 行くぜ!!」
さっきまでの騒がしさはどこいったのか、と
言いたくなるくらい、静かに集中する。
──シュンッッ!!!!
俺と同じように高く飛び上がり、手裏剣を投げ、後から追加で四つ投げる。
キーンッ!という甲高い音が響き、ぶつかりあった手裏剣が方向変えて、的に当たる。
「どうだ!」
「んー、残念。一個、ズレてるかな。」
「何っ!? 絶対、いけたと思ったんだけどなー!!」
いや、二歳でそこまで出来りゃ、すごいだろ。
「ハルト! 俺、決めた!!」
「!? ……何を?」
的を片付けていると、シスイが急に叫んだ。思わずびっくりしてしまった。
「絶対、ハルトのパートナーになれるような忍になる! んで、二人で班になろうぜ!!
ハルトに合わせられるのは俺だけだ、って周りにも、ハルトにも言わせられるような忍になってやるよ!」
「……。」
「ハルト??」
声が出なかった。反応出来なかった。
ほんのつい最近、誓ったことをまるで見透かしたように、この男はすぐに答えてみせた。
「あはははははっ!!!」
「!? ハルトが壊れた……。」
さすがだ。さすが、あのイタチが兄のように慕った男だ。
笑いすぎて、涙が出てきた。
「ありがとう。」
「!? ……なにが?」
「……
僕に出会ってくれて?」
「!?!? ……だったら、俺もありがとうだ!!」
「!?」
「俺と友だちになってくれてありがとな!!!」
二歳児に泣かされてていいのかよ、俺。
こうやって、人をひきつけていく。
持ち合わせているカリスマ性と、見合う実力。それは、善人も惹きつけ、……悪人も引きつける。
『じゃあ、兄ちゃんだ!!』
『絶対、ハルトのパートナーになれるような忍になる!!』
慕ってくれてるやつを殺されるほど、呑気ではない。
俺だって、慕ってくれてるやつには、それ相応に応えたい。
《謝罪》
今回、必須タグである“オリ主”のタグを付けておらず、運営側から警告を受けたため、一時的に、この小説が非公開となっていました。
オリ主のタグが付いていなかったことで、不快な思いをされた方、そして、応援してくださる読者の方には、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
最早、言い訳にしかなりませんが、オリ主タグは決して悪意があって付けなかった訳ではありません。完全に、必須タグだということを忘れていました。必須タグではなく、普通のタグで掲載してしまっていたため、検索除外に引っかからなかったのが今回の問題です。
申し訳ありませんでした。
これからは、一層、そういう点に気をつけて小説を書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。