HARUTO~原作のないNARUTOの世界へ   作:ゆう☆彡

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お待たせしました、間が空いてしまって申し訳ありませんっ。

2019年ももう少しで終わりますね……、2019年内には、この章を終わらせて、次の話に入っていきたいです。頑張ります。


師の存在

「シカク先生っ! アオイのチャクラがっ!!!」

「っ、……分かってる。 なるべく忍術を使わせるなっ!」

 

ミナトと弥白の代わりに、アオイの相手を引き受けていた二人の元に戻ると、戦況は未だに膠着状態だった。

いや、おしているはずのシスイとシカクの方が、神経をすり減らして戦っていた。

 

「戻りました」

「ミナト、ハルトはなんだって?」

「……、アオイに封印されているのは……尾獣ではないか、ということでした」

『それもかなりの高確率だ』

「「!?」」

 

 

その存在だけで、隣国の脅威となる。一国の権威を何倍にも何十倍にもする。忍界のパワーバランスでもある存在、尾獣。

もちろん、手中に治めることは難しく押さえつけることで人間が手にしている力。それを、気付かぬうちにアオイの中に存在させる。尾獣の存在以上に、それをやってのける敵の方に脅威を覚えた。

 

『主には何かしらの手があるように思えた。 間もなくこちらに戻ってくる』

「じゃあハルトが来るまで、アオイのことを傷つけないように抑えとけばいいんだな!!」

『そういうことだ』

 

簡単に言っているが、それは想像以上に難しい。それでも、シスイのその言葉で全員の目が変わった。

 

「俺と弥白でアオイに近づきます! ミナト隊長とシカク先生は後ろから援護をお願いします!!」

「!」

「わかった。 けど相手は尾獣のチャクラだ、無理はしないように」

「後ろに二人が控えてるなら大丈夫です!」

 

ミナトは何の気なしにその提案を受けたが、下忍の頃に同じ班として任務に当たってきたシカクからすれば、その提案は意外なものだった。

 

『シスイも冷静になったということだ』

「……知らないうちに、成長してくってことか」

『師がいるという安心感が後押ししているのかもな』

「!!」

 

下忍の頃、シスイが自ら作戦を口にしたことは無かった。シスイは特攻で突っ込み、後からそれを活かすようにハルトが作戦を考えていた。しかし、それもシスイが成長するにつれて作戦を伝えるまでの時間が短くなり、ハルトが何度も注意していたのを、シカクは見た事があった。

 

『シスイはむしろ、主がいることで甘えていた部分もあったのかもしれぬ』

「甘え……?」

『あの二人は長い時間、共に居たからな。 作戦を考えるのは主の役目、自分がどんなに暴走しても主ならついてこられる。 そういう考えが、シスイの思考を止めてしまっていたのかもしれぬ。

ただ、中忍になり班が解散になると、小隊長として考えなくてはならない機会も増えただろう。 そんな中での、今回の任務だ。

 

シスイにとって主は親友であろう、信頼のおけるな。 それでも、そこには間違いなく好敵手(ライバル)であるというプライドがある、無自覚であってもだ。 そんなライバルに中忍となった今、下忍時代と同じ注意をされるわけにはいかないと無意識に意識する。

そんな状態で今は主はおらぬ、いるのは自分よりも実力のある忍、それも自分の師だ。 いつもより冷静に、そして、間違っていても助言があるという安心感がシスイのことを、決定的に変えたのだろう』

 

「弥白! おいてくぞ!!」

『……、まだまだおぬしの力が必要であるということだ、シスイにも、……主にも』

 

そう言うと、弥白に叫び続けているシスイのもとに移動していった。

 

シカクは、自分が思っていた以上に頼られているということを知り、喜んでいる自分に驚いていた。

アカデミーの同世代に限らず先輩にあたる他の班からも、班を結成した時には既に一目置かれていたシカク班。そして、異例の速さで中忍に昇格したことにより、班自体の結成期間はとても短い。自分の元から卒業してすぐに舞い込んでくる教え子たちの活躍。自分の教え子に厳しい目で見たとしても、とても優秀な忍だった。それは喜ばしいと同時に、どこか寂しかったのかもしれない。

 

 

「それでもまだ、頼ってくれんのか」

 

それはとても誇らしく、そして彼自身を奮い立たせた。

 

───────────────────────

 

 

「はぁ、はぁ、……くそっ!!」

 

アオイ自身のチャクラが切れそうだったため、シスイと弥白は連携して体術でアオイに相対してた。しかし、乗っ取られる形とはいえ三尾の力で動いているアオイに対抗するためには、体術だけでは限界が見えていた。

 

「……、今って、アオイは三尾に操られているんだよな??」

『そうだな』

「でもアオイの中で納まってるってことは、三尾(あいつ)は今、自立できないってことなのか?」

『!』

「確かにシスイの言う通りだね、尾獣は人の手に縛られることを嫌うはず……、しかも今は、アオイによっては縛られていない」

「敵さんがどんな術を使ったかはわからんが、今の尾獣はアオイありきなのかもな」

 

ミナトとシカクの助言により、シスイは確信を持ったのかクナイを取出して構えた。

 

「アオイの存在が大切ってことは、アオイに攻撃してもアオイの中のやつが応戦してくるってことだよな! なら、多少は本気でいっても大丈夫じゃないか?」

「……そうだな」

 

この時、シスイには言わなかったが、三人は同じことを考えていた。

例えシスイの想像が間違っていても、それは本能的なものによって何かしらの対処がされるということ。どんなに相手が強いとしても、多少なりとも人は抵抗する。シスイは本気でいくと言ったが、それでも百パーセント後からではない。操られていたとしても、本能的にアオイなら充分に防ぐことのできる、三尾の力があるならばより簡単な威力のものだった。

 

「”火遁・鳳仙火(ほうせんか)の術”!!」

 

判明している水属性の相手には、効果の低い火遁の術。全ては万が一のため、細心の注意を払った結果のはずだった。

 

 

 

 

 

 

──それを待ってたんだよ

 

「「「『!?』」」」

 

その場にいた全員の聞こえた声。しかしそれは耳から聞こえてきたというよりは、頭の中に直接語りかけられているような感覚。

 

 

 

「アオイ!? よけろっ!!」

 

そしてその不思議な声が聞こえると、さっきまで見境なく攻撃していたアオイが、一切の動きを止めた。

起こってほしくない、しかしあまりにも可能性の低い事が、目の前で起きてしまっていた。

 

───それは本能レベルでの支配

 

 

 

「アオイ!!」

 

────ドガーーーーンッッ!!

 

 

 

アオイに向かってまっすぐとんで行った火の玉は、大きな爆発音とともに白煙を上げた。

敵が潜んでいるかもしれなかったが、その白煙の中にシスイはとびこんだ。

 

 

「アオイ……っ、!!」

 

近づいたシスイが見たものは、倒れたアオイでもケガを負っているアオイでもなかった。

 

 

同じ場所に立ったままの、何の衝撃も受けていないそのままの姿だった。

違うことは……、

 

 

 

「”晶遁・紅の果実(くれないのかじつ)”」

 

その周囲を、桃色の結晶で守られており、その上に人影があることだけだった。

 

 

「ハルト!!!」

「間に合った……」

 

シスイの方は見ずに、誰もいない一点をただ見つめていた。

 

 

 

 

──────さぁ、君に止められるかな

 

 

 


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