米屋とグリーンは、少し離れたところで打ち合っていた。いや、一方的に米屋が攻撃していると言った方が正しいか。
「お前、さっきから槍の刃当たってねえぞ!」
「…と、思うじゃん?」
「?」
疑問に思ったその刹那、グリーンの体から血が溢れ出てきた。
「な、これは…」
なにか仕掛けがあるのか…?
「ちっ。『メタモン』」
グリーンがそう言うと、身体が変化し始めた。
「なるほど。そういうことなのか」
「身体がドロドロに?それがお前のトリガーか!」
「そのトリガーってのがなんなのか知らねえが、俺らの能力ってんだ。『へんしん』!」
すると、グリーンが米屋に変身した。
「うお、俺に変身かよ。すっげえ」
「これで同等、いくぞ!」
一方その頃…
「さっきレッドが見ていたのはこの辺にある建物だけど…」
リーフはスナイパーがいるであろう建物の近くに来ていた。
「うわっとと…」
周りを見ながら歩いているために、撃ってきているのが分からなかった。
「弾道、傾き、速さ…。あそこね」
前にある20階建てくらいのビルに焦点を当てた。
「『フーパ』」
リーフの周りに金色のリングがいくつか現れた。
「浮遊してるポケモンだとわたしも浮くことができるのね」
そのまま浮上していく。
浮き上がっているあいだにも撃たれていたが、リングを使いその弾を別の場所に転送させていたため、当たらなかった。さらに、その弾は彼らがいるであろう場所に転送しているため、反撃にもなっているということだ。
「いた」
そうこうしているうちに、建物の最上階に来ていた。
そこにはスナイパーライフルを手にしたキノコ頭(奈良坂)と眼鏡(古寺)がいた。
「
「アフトクラトルのワープ女みたいだな。章平、警戒しろよ。どんな攻撃が来るかわからない」
「分かりました」
奈良坂が古寺に言う。
(やっぱり戦うつもりだね。…一応聞いておこうかな)
「わたしたち、戦うつもりは無いんだ。出来れば穏便に済ませたいんだけど…?」
2人が銃口をリーフの方に向けてきた。
「カマかけてる可能性がある。素直に受け取って討たれるわけにはいけない」
(聞かないか…)
「君たちはわたしと、わたし達と戦いたいの?」
リーフが問う。
「近界民である以上、秀次が許すはずがない。実際、俺も近界民は少し恨んでいるからな」
奈良坂が答える。
「わたし達には全く関係ないと思うんだけど…」
「繋がりがないとは言えないだろう」
そう言うと、奈良坂は引き金を引いた。
「おっと」
不意打ちだったために危なかったが、間一髪避けられた。
好戦的か…。なら仕方がない。
「やるからには、本気でいくよ!『ラティアス』!」
身体が光に包まれた。
「なんだ…!?」
2人は連続して引き金を引く。
しかしそれはすべて光に吸収された。
「なに…?…
しばらくすると光が弾けた。
そこには白い服、濃い桃色のスカートに身を包み、スカートと同じ色の髪になったリーフがいた。
「『メガシンカ』ッ!!」
粒子がリーフに集合し、服や髪、眼の色、腕の形などを変化させ、強化させた。
「『りゅうのはどう』」
腕をスナイパー2人に向け、そこから銀色のレーザーを繰り出した。
「うわっ!」
奈良坂は華麗に回転して避け、一発撃つ余裕があったが、古寺は慌てて転んだように避けた。
奈良坂が撃った弾がリーフの頬をかすめた。
血がにじみ出てくる。
「トリオンじゃない…血だと?どうなってる…。そういう世界の近界民なのか…?」
「ら、ライトニング!」
古寺が灰色の尖った形の銃に持ち替えた。
「章平?」
「彼女に当てるのは俺の技術じゃ難しいです。ならスピード勝負だと思って」
「なるほど。ならそれでいい」
会話をしながらも奈良坂は撃ち続ける。
「姿を見せながら撃つなんてスナイパー失格じゃないの?」
リーフが煽る。
「お前がトリガーを使ってないとわかった以上、隠れなくてもいいと思ってな」
(トリガー…?それが無いと何かあるのかな…)
「教えてやろう。トリオン体はトリオンでしか壊すことが出来ない。ゆえに、お前は俺らを倒すことが出来ない」
へえ…。
「『なみのり』」
巨大な波がリーフの後ろに出現した。
「あんなのに飲まれたら…!奈良坂先輩!」
「気にしなくていい。飲まれたところで最悪、緊急脱出すればいい」
冷静に2人は建物の壁などに身をあずけた。
「ん?雨か…」
ポツポツと降り出した雨はやがて大雨、いや、暴風を伴う雨に変わっていった。
「あはははははは!さすがレッドくん!分かってくれたよ!」
波の勢いは増し、大きさもさらに大きくなっている。
「吹っ飛べ!」
波が当たった建物は崩壊し、奈良坂と古寺は波に飲み込まれていった。
「ふう。これでいいかな。レッドくんの援護に行こっと」
波に背を向け、レッドの所に行こうとしたその瞬間…
ビギュン!
「うっ…。あっ…」
見ると背中から腹にかけて身体が貫通している。
「ぐ…はっ…」
血が流れでる。
「これは…まずいかな…」
その場でリーフは崩れ落ち、地面に叩きつけられた。