ポケットモンスター―異世界調査―   作:機械龍

6 / 7
2:ワールドトリガーㅤ~対トリオン兵篇~
迫りよる巨大な地獄


「…三輪」

「申し訳…ありません」

 開口一番、城戸正宗は三輪の名を呼んだ。

「怒るつもりは無い。お前は痛手を負わせた。よくやった」

「いえ、近界民を全て倒すのが俺の…」

「過ぎたことだ。…それでは本題に移る。林道支部長」

「はいよー。じゃ、千佳ちゃん。頼んだよ」

「は、はい」

 玉狛支部の雨取千佳が前に出てきた。

「近々…というより、もしかしたら今日、近界民が来るかもしれません」

(そうか。予知能力)

 なら、なぜ奴らの時は反応が無かった…?

「さて、君が言ったからこんな大規模な緊急会議を開いたのだが、何があるのかね?」

 鬼怒田開発室長が千佳に訊いた。

「はい、今までにないほど強大な反応がするんです。もしかしたら(ブラック)トリガーかも知れませんし、力が強すぎるトリオン兵かも知れません。どっちにしても、対応しておかなきゃ大変なことになるレベルです」

「それは困るな…。鬼怒田さん、対応できますか?」

 忍田本部長が質問した。

「できる。だが、時間がかなりかかる。イルガー五体の自爆を耐えるのにはおよそ5日。それ以上なら…」

「では、至急取り掛かるように」

「分かった。開発室、聞いておったな!すぐ取り掛かれぃ!」

『了解しました!』

 鬼怒田の席にあるであろうモニターから威勢のいい声が聞こえてきた。

「では、この場は解散とする。連絡があれば後に伝える」

「じゃあ三雲くん、千佳ちゃん行こうか」

「千佳?どうした?」

 修が千佳の異変に気がついた。

「近界民…。来ます!」

 ザワザワッ!

 司令室内がざわついた。

 直後、緊急警報が鳴り響いた。

 ――(ゲート)発生、(ゲート)発生。近隣住民は避難してください。(ゲート)発生、(ゲート)発生。近隣住民は避難してください――

「これは…!」

 デカすぎる!

 街ひとつを覆い尽くすくらいの巨大な丸く黒い物体が出現した。

 中からは龍の形をした、同じく街ひとつを覆い尽くすであろうトリオン兵が出現した。

「き、緊急警報を発令しろ!」

「はい!」

 ――緊急警報、緊急警報。巨大な近界民の出現を確認しました。街の住民の方は至急、できる限り遠くに避難してください。繰り返します…――

「各正隊員に告げる!緊急司令だ!至急防衛に迎え!隊の隊員が全員揃わなくても構わん!これは大規模な戦争(レイド)だ。全員が一つの隊だと思え!そして訓練隊員に告げる!住民の避難の援助に迎え!危険を感じたらトリガーを使っても構わん!だが、倒そうと思うな。身を守るためだけに使え!」

 城戸司令が三門市全体に放送した。

「三門市役所ですか。こちら界境防衛組織、ボーダーです!近隣の市町村に伝達してください。三門市付近に住んでいる方は至急遠方へ避難してください、と!」

 沢村本部長補佐が近隣の市町村に避難を勧告している。

「千佳、行くぞ」

「うん。でも、遊真くんは?」

「空閑は既に戦っているだろう。それにさっき、城戸司令が黒トリガーの使用を許可してた。いま、空閑は『玉狛第二』じゃない。1人のS級隊員だ。空閑のことは気にするな。行くぞ」

「分かったよ」

「「トリガー起動(オン)!」」

 2人の身体がトリオンでできた戦闘体に切り替わった。




「陽介、レッドとリーフを迎えに行きたい。すまないが、先に向かっていてくれないか?」
「分かった。白チビ行くぞ」
「了解。『弾』印(バウンド)三重(トリプル)
 2つの印が出現した。
「じゃあ待ってっかんな!」
「おう!」
 さて…。
(レッドは南、リーフは南南西か…。2人が比較的近くて助かった)
「ピジョット」
 腕の召喚機からボールを取り出し、空に向かって投げた。
 中からは大きな体の鳥ポケモンが飛び出した。
「レッドの所に行くぞ!『そらをとぶ』」
 その場から飛び上がり、南へと向かっていった。

「レッド!」
「……!(グリーン…!)」
 レッドは瓦礫に寄っかかって、座っていた。
「傷、大丈夫か?」
『大丈夫だよ。少し痛むけど、オボンのみをいくつか食べたら回復したよ』
 召喚機に入力し、会話を成立させた。
「そうか。なら良かった。…早速本題だ。アレと戦うんだが、大丈夫か?」
 グリーンが「アレ」と言い、指さしたのは巨大な龍の形をした「ナニカ」だった。
『なんだアレは!?』
「人々に害を成す存在らしい。さっき聞いた」
『害を成す…』
 レッドは少し考えたような仕草を見せた。しかしすぐに了承の意を示した。
「そうか。じゃあ次はリーフを助けに行く。行くぞ」
 レッドはリザードンを繰り出し、空を飛んだ。

「リーフ!」
ㅤリーフの腹は貫通し、地面が見えている。
「レッド!ふっかつそうを出せ!早く!」
ㅤ召喚機に何かを入力し、緑色のスムージーのようなものが入った瓶を取り出した。
「既にすり潰してあったか!流石だな、レッド!」
ㅤレッドからそれを受け取ったグリーンはそれをリーフに飲ませた。
「くそ、早く…ポケモンじゃなきゃダメなんてことは無いだろ…死んでないだろ…まだ『ひんし』のはずだ…早く…早く…」
ㅤこんなに焦っているグリーンをレッドは見たことがない。ポケモンリーグのチャンピオンだった頃もグリーンは残り一体って状態でも冷静でいた。やはり、人が死に瀕している時は焦るものなのか。
ㅤすると、リーフが咳をした。
「ゲホッゲホ」
「リーフ!」
「あれ、私…」
「細かいことはあとだ!体は大丈夫か?動けるか?戦えるか?」
ㅤ怒濤のように質問を浴びせた。
「え?私はちょっと辛いけど、ポケモンにならなんとか…」
「わかった。今すぐピジョットに乗れ。アレと戦うぞ」
ㅤ同じ説明、同じことを再び繰り返した。
ㅤその結果、
「分かったよ。私も戦う!」
「無理しない程度にな」
ㅤということになった。
ㅤ3人揃ったレッドたちはすぐにトリオン兵の元へと向かった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。