穂乃果ちゃんハッピーバースデーにゃ!

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高坂穂乃果生誕祭2018Ⅴ

「穂乃果ちゃ〜ん!」

「待ってたよ凛ちゃん!」

「プール行くにゃ!」

「プール行くぞー!」

すでに膨らませた浮き輪を持つ凛に、こんな時だけ周到に準備しておいた荷物を持って自宅から飛び出す穂乃果。

灼熱の太陽が照りつける道路を、仲良く元気に駆け出した。

 

 

──数分後、

「暑いねぇ……」

「暑いにゃ……」

先ほどの元気はどこへやら。フラフラと建物の日陰から日陰へだらしない姿勢で移動する。

「……あ、コンビニあるよ凛ちゃん……」

「休憩するにゃ……」

「アイス買おうよアイス」

「凛はガリッガリ君のソーダにするにゃ」

「あ、じゃあ穂乃果はコーラ味にしようかな。売ってるといいな〜」

迷う事なくコンビニへ入った二人は、これまた迷う事なくアイス販売コーナーへ。

無事アイスを購入すると、颯爽と封を切り冷えた氷菓にかぶりつく。

「「ん〜〜〜っ!」」

時折頭を押さえながら、美味しそうにアイスを食べる二人。

「──あ、穂乃果ちゃん見て見て!」

一足先に食べ終わった凛が、跳び跳ねるように穂乃果へと手を伸ばした。

その手に握られていたのは、アイスバーのスティック。そこに、何か文字が書かれていた。

「当たったにゃ!」

「え、凄い凄い! アイスの当たりなんて穂乃果初めて見たよ!」

同じく食べ終わった穂乃果も自分のスティックを見やるが、

「やっぱり、そううまくは行かないかぁ〜……」

こちらは外れ。何も書かれていなかった。

分かっていた事ではあるが、少なからず肩を落とした穂乃果。凛はそんな穂乃果を見ながら、

「…………」

自分の手元と穂乃果のつむじに交互に視線を送る。

それから、

「穂乃果ちゃん穂乃果ちゃん」

力ない肩を叩いた。

「これ、あげるにゃ!」

「え……」

差し出された当たりのスティック。

「いいの……? 当てたの凛ちゃんなのに」

「だって穂乃果ちゃん、今日誕生日だもん! 凛からの、ちょっとした誕生日プレゼントにゃ!」

「凛ちゃん……!」

感激した穂乃果は、ハグ。

「ちょっと、穂乃果ちゃん暑いにゃ〜」

と言いつつまんざらでもなさそうな凛。ハグを解放した穂乃果は、

「すぐ交換してくるね! そしたら一緒に食べようよ!」

当たりのスティックを片手に、再びコンビニの中へと駆け出した。

数分で戻ってきた穂乃果は、

「凛ちゃん、ナシ味があったよ!」

新たな味のアイスを持って出てきた。

「美味しそうだにゃ〜!」

思わぬ二つ目のアイスを仲良く交互に食べた穂乃果と凛は、

「──よーし、休憩もできたしプール行くぞ〜!」

「アイス当たったし、きっと今日はいい事あるにゃ〜!」

再び炎天下の道路へと飛び出した。

 

 

 

 

汗だくになりながらも、何とか秋葉原の駅へ到着した二人。途中何度か見かけたコンビニへ足が向きかけたが、お互いがお互いを励まし合い誘惑を断ち切った。

「えーっと、プールのある駅までは……」

路線図を見上げて電車賃を確認しようとした穂乃果に、凛がスッと手で制した。

「いいにゃ。今日は穂乃果ちゃんは誕生日。お金は凛が出すにゃ」

「えっ……でも……」

流石に戸惑った穂乃果。

「このくらい、大した事ないにゃ」

だが凛は、キメ顔で五百円玉を取り出した。そして券売機へ投入。出てきた切符を穂乃果へ手渡した。

「元々、プールに行こうって言ったのも凛だしこのくらい当然にゃ」

「凛ちゃん……ありがとう!」

「さあ、穂乃果ちゃん行っくにゃ〜!」

穂乃果の手を取って改札口へ駆け出す凛。

「わわっ、凛ちゃん待ってよ〜!」

 

 

 

 

無事プールへ到着した穂乃果と凛。

券売機の前へ向かい、ここではどうするのだろうと財布を取り出した凛をチラリと見やる穂乃果。そして財布を開けた凛は、そこで動きが止まった。

「…………」

「……凛ちゃん?」

穂乃果が顔を覗き込むと、

「穂乃果ちゃぁ〜ん……」

今にも泣き出しそうな顔でこちらを見てきた。

「ど、どうしたの?」

「さっきので、もうお金が全然残ってないにゃぁ〜……」

「え、ええっ⁉︎」

「一人分は出せるけど、二人分には足りないんだにゃ……」

どうやら、電車賃の奢りは所持金を考えずその場のノリで行ったのだと穂乃果は察した。

「お小遣い貰う前って事、すっかり忘れてたにゃ……」

今までの元気はどこへやら。凛は俯いて小さくなってしまった。

「うーん……」

穂乃果はしばらく考えたが、

「──うん」

何かを決めて小さく頷いた。

「ねえ凛ちゃん、とりあえず、チケットは自分のお金で買わない?」

「え?」

「やっぱり、奢られると穂乃果もちょっと申し訳ない気持ちあるし……。自分のお金なら、その心配も無いでしょ?」

「う、うん。でも……そうすると、帰りの電車賃が無くなっちゃうんだにゃ……」

流石に無計画すぎて、穂乃果も苦笑い。

「帰りは、穂乃果が払うよ。だって行きは凛ちゃんが払ってくれたんだから、帰りは穂乃果が払えばチャラでしょ?」

「それはそうだけど……。穂乃果ちゃん、せっかく誕生日なのに……」

「だからこうして、一緒にプール来てるんだよ! それにさっき、当たりくれたじゃん! あれ嬉しかったんだよ?」

穂乃果は、笑顔でVサインをする。

「元気出してよ凛ちゃん! せっかくのプールなんだから、思いっ切り楽しもうよ! むしろ穂乃果的には、それが一番嬉しい誕生日プレゼントだと思う!」

「穂乃果ちゃん……」

凛は浮かんだ涙を強引に拭うと、

「──うんっ!」

笑顔で頷いた。

「よーし、プール楽しむぞー!」

「遊ぶにゃー!」

「おー!」

「にゃー!」


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