迷いの竹林で、ワーウルフと舌禍の女神が出会ったようです。

注意:『東方文果真報』ネタが含まれています。そちらを読んでいない方はネタバレの恐れがあります。

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狼と白鷺・上

「くそー、あとちょっとで勝てたのにー」

 

 普通の魔法使いこと霧雨魔理沙が、テーブルに突っ伏して悔しがる。

 

「ふー、ここの選択外したら負けてたわー」

「危なかったわねぇ。やっぱり華扇の方を信じといてよかったわ」

「くっそー、霊夢めー……」

「これが日頃の行いの差よ、魔理沙」

 

 魔法の森の入り口に構えられた店、香霖堂。

 その一角で、少女たちが騒いでいる。博麗霊夢、霧雨魔理沙、茨木華扇、宇佐見菫子、今泉影狼、そして本読み妖怪だ。

 

「いやぁ、外の世界では『人狼ゲーム』として有名なゲームが、まさか幻想郷に来ていたとは」

 

 感心した面持ちで、菫子が言った。

 

「こっちでは、『汝は人間なりや?』として、結構アレンジ加えたんだけどね。外の住人が遊んでみてどう感じたのかしら?」

「なかなかいい感じです。外の世界でも流行るかも」

「そう、それはよかったわ」

 

 菫子からの評価を受け、影狼の頰が緩み、耳もぴくぴくと動いた。

 

「初めて遊んだけど、楽しめましたね。妖怪が人間の立場になって、食われるのを回避する、という趣向も斬新だし」

「仙人様にまで褒めていただけるなんて、光栄ですわ」

 

 最近、香霖堂で流行りだした遊戯『汝は人間なりや?』は外の世界で有名な『人狼ゲーム』を幻想郷風にアレンジしたもので、高度な心理戦といつ妖怪役に食われるか分からないスリルが話題となり、人気が上昇してきている。

 主催者である影狼も、始めた当初は軽い気持ちだったのだが、天狗から取材を受けるほど有名になるなんて夢にも思わなかったので、嬉しさ半分驚き半分の状態だ。

 

(ま、好評でよかったけどね)

 

 菫子からもいい評価を得られたので、そろそろ天狗に大々的に報じてもらおうか。影狼はそんなことも考えていた。

 

「異変解決も、弾幕じゃなくてこの遊戯にしようかなぁ」

「あなたは巫女の仕事をちゃんとこなしなさい!」

 

 とんでもないことを口走った霊夢に、華扇がげんこつを落とす。頭を抑えてうずくまった霊夢を、魔理沙が指差して笑った。

 茨華仙の霊夢への説教が始まり、菫子は黙って見ていた店主の所へ向かい、魔理沙はミニ八卦炉をいじり始める。

 本読み妖怪が、大きな本をその小柄な体躯で抱え、店を出て行くのを目で追ってから、影狼は、もう既に太陽が傾き始めているのに気がついた。

 夜になると、凶暴な妖怪も出歩くようになる。あまり戦闘を好まない影狼は、さっさと帰ろうと席を立った。

 

「それじゃあ、私はお先に」

 

 おーう、とか気をつけて、とか各々の返事を背に、影狼は店の扉に手をかけた。

 

 ◆◆◆

 

「あー、遅くなっちゃったなぁ」

 

 香霖堂を出て、橙色に染められた空の中、急いで飛んできたつもりだったが、竹林の入り口へと降り立った時には、太陽は地平線の向こうへと身を隠してしまっていた。

 ここまで暗くなってしまうと、竹林の中に光は届かない。普通の人間だったら、明かりもなしに歩くのは自殺行為だろう。

 しかし、影狼は妖怪である。この程度の暗さに難儀するほどヤワではない。

 

(早く帰ってお酒飲みたいなぁ。筍の刺身をおつまみにして——)

 

 そこまで想像したところで、お腹がきゅう、と鳴った。口の中に溜まり始めた唾を飲み込み、影狼は足を早めた。

 

(いっそのこと走っちゃおうかな……でもこの格好で走るのもはしたないし……)

 

 妖怪からすれば、はしたないなんて気にするのはおかしいのかもしれないが、影狼は乙女なのである。ドレスをバッサバッサと翻しながら走るなんてことはしたくない。

 そして、彼女は気づいた。『飛べばいい』ということに。

 簡単なことじゃないか、と地を蹴って浮かび上がろうとしたその時、背筋を悪寒にも似た何かが走り抜けた。

 

「…………」

 

 この静寂の中、明らかに殺気を放っている奴がいる。影狼が耳をすますと、かすかに地面を踏みしめる音が聞こえた。しかも複数。

 

(まずいわね……囲まれ始めてる……)

 

 普通の獣がこんなに鋭い殺気を出せるとは思えない。つまりこの気配の正体は妖怪の群れか——。

 あまり遭遇したくない事態になってしまった。心臓の高鳴りを感じながら、影狼は懐からスペルカードを取り出し、手に備えた。

 荒くなる呼吸を抑えながらも、敵の包囲がジリジリと狭まっているのを肌で感じる。

 張り詰めた弓の弦のような緊張が、バチンと弾けた。

 二つの影が、左右から同時に狼女へ襲いかかった。彼女の目が捉えたのは、しなやかで狼のような体躯。しかし、頭頂部に生えた大きな一本角が、敵が妖の類であることを主張している。

 二匹の攻撃を半身になってかわすと同時に、影狼は大地を蹴る音を背中で聞いた。真後ろから飛びかかってきた一匹に数発の弾幕を叩き込む。

 次の瞬間、前方から五匹が一斉に飛びかかってきた。

 影狼は狭い竹林の中で出せる限りの弾幕を全て撃ち込んだ。五匹は悲鳴を上げて吹き飛ぶ。

 そして——

 

「あづっ……!?」

 

 ——右腕に激痛が走った。一匹が、彼女の腕に噛みついたのだ。

 振り解こうにも、恐ろしい力で噛みついていて離れない。ギチギチと肉が裂ける音がする。

 

「放してって……ば!!」

 

 痛みのあまり飛びそうになる意識を繋ぎとめ、影狼はあらん限りの力を込めて、一本の太い竹に妖怪狼を叩きつけた。

 ようやく彼女の腕を放したそいつは、ふらつきながら竹林の山の中へと姿を消した。

 もう周りに何もいないことを確認し、影狼は倒れ込んだ。

 血液が沸騰したかのように身体じゅうが熱い。右腕はぐちゃぐちゃに噛み裂かれ、溶岩にでも浸しているかのような痛みだった。

 狼女である自身が狼の妖怪に襲われるとは、なんたる皮肉だろうか。

 

「……怖いわー……狼怖いわー……」

 

 弱々しくつぶやいて、影狼は意識を手放した。

 

 ◆◆◆

 

「——か……い……りし……かげ……う……」

 

 意識の向こうで誰かの声がする。

 

(あぁ……もう少し寝てよ……)

 

 浮上しかけた意識をもう一度沈めようとしたその時。

 

「起きろ、影狼っ!」

「ひゃ、ひゃい!」

 

 自分の名前を呼ばれ、影狼はかばっと身を起こす。その拍子に右腕に激痛が走る。

 

「っつぅ〜……」

 

 体を丸めて悶える影狼の背中を、誰かが優しく撫でる。

 

「大丈夫か? まったく、死んだのかと思ったよ」

 

 聞き覚えのある声に顔を上げると、赤い瞳が影狼を覗き込んでいた。

 

「妹紅さん……」

「はぁ、びっくりしたよ。竹林歩いてたら血のにおいがして、行ってみたらあんたがぶっ倒れてんだからな」

「心配かけてごめんなさいね。でももう大丈夫だから」

 

 妹紅は目を細めて言った。

 

「その傷はあまり大丈夫には見えないな。何にやられたんだ?」

「狼みたいな妖怪の群れにね。額に角が生えてて変な奴らだったわ」

 

 それを聞いて、妹紅はきょとんとする。

 

「狼が狼にやられたのか」

「そうよ、皮肉でしょう?」

「皮肉だな」

 

 二人して苦笑を浮かべる。

 いまだに痛む右腕はできるだけ動かさないようにしながら、影狼はそっと立ち上がる。

 出血は既に止まっていて、固まった血のせいで服が肌に引っ付いて気持ちが悪い。

 腕はまだかなり痛む。腕の中を何かが這い上がろうとしてくるような、不愉快で鋭い痛みだ。

 

(怪我は何度もしてるけど、こんなのは初めてだわ)

 

 慣れない類の痛みに影狼が顔をしかめていると、妹紅がおずおずと口を開いた。

 

「あー、なんだ。どうせなら永遠亭まで連れてってやろうか?」

 

 ありがたい申し出だったが、あまり手を煩わせるのは悪い気もしたし、この程度の怪我なら、今までの経験からして二、三日あれば治る。

 それに、妹紅と永遠亭の姫様は、よく殺し合いをしていることも影狼は知っている。遠目から一度お目にかかったことがあるが、あんなのを見るのは、穏便派の影狼からすればごめんだった。

 

「ありがとう。でも大丈夫よ。このくらいだったら安静にしてればすぐに治るから」

 

 そんなわけで、妹紅の申し出を断った。

 

「まあ、そんならそれでいいけど……」

 

 妹紅はがりがりと頭をかいた。美しい白銀の長髪が揺れる。

 

「なんか困ったことがあったら言ってくれ。それなりに力になれると思うし、私は輝夜(あいつ)よりはマシな性格してるから」

 

 長年の宿敵への憎まれ口を忘れない辺り、彼女らしいと思いつつ、影狼はもう一度ありがとう、と頭を下げた。

 

 ◆◆◆

 

 その夜、影狼は眠れずにいた。

 住処に帰ってきてから、服を着替えて消毒し、包帯を巻いて様子を見ることにしていたのだが、深いかみ傷は夕方になると熱を持ち、疼くような痛みを発するようになった。

 

(妖怪に噛まれるだけでこんなになるなんて……)

 

 水を飲んでから、右腕にそっと触れる。感覚が鋭敏になっている腕がびくりと痙攣する。

 

「はぁ、妖怪怖いわー」

 

 ため息交じりにつぶやき、傷口を確認しようと包帯を外す。

 

「え、うそ……でしょ」

 

 彼女の口から、恐怖の混じった声が漏れる。

 傷は影狼の思っていたよりもずっとひどくなっていた。午前中に見た時、かみ傷だけだったはずの右腕は、今や毛の上から分かるほどにはっきりと、青紫色に腫れ上がっていた。

 

「あぁ、今日の昼間に永遠亭に行っておけばよかった……」

 

 しかし、後悔してももう遅い。

 明日の朝、永遠亭に行くことを決めた影狼は、清潔な包帯を巻き直し、眠れそうにない夜を過ごすことにした。

 

 ◆◆◆

 

 夜が明けてから、影狼は永遠亭の門を潜った。

 来るには少し早過ぎたかとも思ったが、薬師の八意永琳は彼女を快く迎え、診察してくれた。

 

「これはひどくやられたわね」

 

 傷を一目見て、永琳は目を細めた。

 

「昨日の午前中はここまでひどくはなかったんです。夕方あたりから痛み方が変わってきて……。あの、かなり大変な状態なんですか?」

 

 心配する影狼に、永琳は優しく艶やかな笑みを浮かべて言った。

 

「大丈夫ですよ。あと数日遅かったら壊死してたかもしれないけど、この程度だったらすぐに治るわ」

「は、はぁ……」

 

 何か不穏な単語が聞こえた気がしたが、今のところ命に別状はないようなので、影狼は安堵の息をつく。

 

永遠亭(ここ)に来てよかったぁ。もしこのままにしてたら——)

 

 背筋が震えた。狼の妖怪が狼の妖怪に襲われて腕一本なくした話なんてぞっとしない。

 

「薬と特別な包帯を処方するから、詳しくは処方箋を読んで頂戴。使い方間違えるとパキンってなるかもしれないけど、別に使用法は難しくはないから安心して」

「ぱ、ぱきん……?」

 

 使い方間違えてパキンってなるなんて、いったいどんな薬だ。いいのか妖怪にそんなもの渡して。

 内心で影狼が困惑する中、あれよあれよと小さな瓶と包帯が用意された。

 おっかなびっくりそれを受け取る。

 

「そんなにビクビクしなくて大丈夫よ。ただの塗り薬と包帯なんだから」

(今の話を聞いて『ただの』塗り薬なわけないわよね……)

 

 影狼の内心のツッコミなど永琳が知るはずもなく、彼女は薬の説明を始める。

 

「一日三回、その薬を傷口に薄く塗ってね。包帯の交換は一日一回すれば大丈夫よ。あとは、そうねぇ……じゃあ一週間したらまた見せに来て頂戴」

「分かりました」

「詳しくは処方箋を読んで。他に聞きたいことがあればどうぞ」

「あ、あの……本当にこのお薬、安全なんですよね……?」

 

 思わずそんな質問が影狼の口を継いで出る。

 その質問に、永琳はわざとらしく驚いた様子を見せた。

 

「あら、私の薬が信用できない?」

「い、いえ、そんなことは……」

 

 『なきにしもあらずです』と影狼は心の中で付け足した。

 

「それなら大丈夫ね。それじゃ、お大事に。——あ、腕はあまり動かさないようにね」

「はい、分かりました。ありがとうございます」

 

 礼を告げて、影狼は診察室を後にした。

 美しい日本家屋らしい長い廊下を抜け、玄関へ。こんな家に住んでみたいな、なんて思いつつ、影狼は門を潜ろうとする。

 その時だった。

 一人の女性が門へ向けて歩いてきた。

 

(うわぁ、綺麗な人……)

 

 女である影狼ですらため息をこぼしそうになるほど、その女性は美しく、そして輝いて見えた。

 紅い宝石のような目。セミショートの銀髪はガラス細工のよう。その顔に浮かぶ涼やかな表情。

 そして、何よりも目を引くのはその背中から生えた片翼。純白のそれは、まるでこの世の穢れの一切を知らぬようにさえ見えるほど清い。

 腕の痛みすらも忘れて、影狼は女神のような女性に見入っていた。

 口元に手を当てた片翼の女性は、一切歩調を乱さずこちらへ向かってくる。

 影狼は少し避けて彼女とすれ違いざま、にこやかに声をかける。

 

「こんにちは、いいお天気ですね。あなたもこちらで診察を?」

 

 どんな声をしているのだろう。きっと繊細で綺麗な声を持っているに違いない。

 そんな確信にも似た期待を抱き、影狼は女性の返事を待った。

 しかし、影狼の期待はすぐに裏切られた。

 その美女は影狼の横を通り過ぎるとき、彼女を一瞥しただけですぐに屋敷へと入ってしまった。

 

(ちょっ、えぇ……、無視!? 無視なの? 悲しいんですけどぉ……)

 

 挨拶を華麗にスルーされ、影狼は、ぽつんとその場に取り残される。じくじくとした腕の痛みが戻ってきた。

 

◆◆◆

 

 それから一週間、影狼は永琳に言われた通りに薬を塗り、できるだけ腕を動かさずに生活した。

 説明は怪しかったが、やはりそこは八意永琳の腕の良さが出たのか、まだ腫れは残るものの、ここ一週間で痛みはほとんど引いていた。

 妹紅が時折様子を見に来てくれて、知り合いからもらったからと、人間の里で売られている菓子や、彼女自身が取ってきてくれた山菜や魚なんかをくれた。

 霧の湖にすむ友人のわかさぎ姫には過剰気味な心配と、夜に出歩くなんて不用心だと、妖怪としては複雑になるを得ないお叱りを受けた。

 

(腕が治ったら、二人にお礼しないとね)

 

 それを考えることも、影狼にとっては楽しみの一つだった。

 そして、何よりも彼女が気になっていること。それは謎の美女である。考えれば考えるほどに不思議な人だった。

 背中から翼が生えていたことから察するに、あの女性はただの人間ではないはず。となれば、妖怪の類か……あるいは——。

 しかしそんな小難しいことを考えるよりも、影狼がまず思ったことがある。それは——

 

(あーあ……どうして挨拶無視されたのかしら……)

 

 もともと話すのが好きな影狼である。挨拶を無視されたことは、彼女からすれば割とショックだったのだ。

 もしや、こんな獣女なんかと話すことなどないとか思われたのだろうか。そんな自虐的な想像までしてしまう。

 

(よし、次会ったら必ず挨拶を返させてやる……!)

 

 影狼は決心した。

 明日は永遠亭に怪我の経過を見せる日である。もしも会えるとしたらそこでだろう。

 拳を握り、影狼は一人気合を入れるのだった。

 

◆◆◆

 

 そして次の日。お昼時少し前に永遠亭に到着した影狼は、きょろきょろと辺りの様子をうかがった。もしかしたら例の美女が見えるかもしれないと思ったからだ。

 

(ま、そう簡単に見つかるわけないわよねぇ……)

 

 そう思い直し、永遠亭の門をくぐろうとしたその時。

 ガラリと玄関の扉が開いた。

 中から姿を現したのは、一週間前に遭遇した美女。あの時と同じ涼やかな雰囲気を纏い、こちらへ歩いてくるではないか。

 

(こ、これはチャンス……!)

 

 この前は完璧なスルーを食らってしまったが、今度こそ挨拶を交わし、にこやかな談笑をするのだ。

 狼女、今泉影狼は気合十分、女性の前に立ち塞がった。

 相手の方も影狼に気づいたようで、彼女から数歩離れた位置で立ち止まった。

 片翼の美女は、不審なものを見るような目で影狼を見つめてくる。その鋭く怜悧な視線に思わずたじろぎそうになったが、そこは妖怪の意地で踏みとどまる。

 そして、影狼は自身が浮かべられる精一杯の笑顔を浮かべる。大抵の男はこの笑顔にときめくこと間違いなしである。

 

「こんにちは。いいお天気ですね」

 

 完璧な挨拶。今までの彼女の経験上、ここで挨拶を返してくれなかった者はない。

 

「…………」

 

 しかし、目の前の美女、口元に手を当てたまま沈黙を返す。

 完璧に出鼻をくじかれた影狼だが、まだ諦めるわけにはいかない。にこやかな表情は崩さずに言葉を重ねる。

 

「あなたもこちらで診察を?」

「…………」

 

 またもや沈黙。しかも向けられる圧がハンパではない。

 控えめに言って泣きそうになった影狼だが、一つ思い当たる可能性が浮かんだ。

 

(ひょっとしてこの人は病気か何かで喋れないのかしら。もしそうだとしたら私はものすごく失礼なことを……)

 

 なんだかズレたことを考えているが、今の影狼はそれほどまでに焦りを感じていた。

 

「あ、あの……もしかしてご病気か何かで話すことができなかったりするんですか……? もしそうなら——」

 

 ごめんなさい、と続くはずのその言葉は遮られることとなった。

 

「そうではない」

 

 この一言で。

 

 

 


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