この地球上において、人類は目覚ましい発展を遂げていた。
多くの繁栄、国家の確立。もはや地球上において、人類以上に発展した生物は存在しなかった。
人類科学が発展した今も尚、青く美しい地球。
そんな地球を、虎視眈々と狙う者がいた…………
───20××年
この地球上において、人類は目覚ましい発展を遂げていた。
多くの繁栄、国家の確立。もはや地球上において、人類以上に発展した生物は存在しなかった。
「ようやく着いたな。ここが例の星か」
地球からおよそ384,400km離れた宙域から、地球を見降ろす者達がいた。
スペースデブリに擬態している宇宙船。まだ人類に存在していない技術でそれを可能としている。
その異様ともいえる物体の中に居る者は、宇宙の旅人である。
「ああ、非常に珍しい星だと聞いていたけど……情報は正しかったようね、アダム」
地球の人類からすれば、二体の宇宙人。彼等は、青く輝く地球を見つめている。
アダムと呼ばれた宇宙人は、見た目は人間とほとんど変わらない男性の姿をしていた。
全身を銀色のタイツのようなもので身を包んでおり、頭部からは一本角が生えている。
「エヴァ、みたまえ。美しい星だ……銀河連邦が手を出さない理由がわからないな」
そう言って、アダムは地球を指差した。そこには青く輝く美しい星が静かに佇んていた。
「ええ……でも、聞いた話によると、地球人は恐ろしい能力をいくつも持っていると言うじゃないの
見た所、兵器のレベルは些末なものだけれど、ここは一旦、調査してから侵略するとしましょう」
エヴァと呼ばれた宇宙人も、人間の女性と見た目は変わらなかった。
アダムと同じく銀色のタイツに身を包み、アダムとは違い角がなく、雌ライオンのような尻尾がはえている。
「そうだな……」
アダムはエヴァの言葉を噛み締め、複雑な計器を前に着席した。
「俺達スクウェーア族の星はもう、生物が生きていける環境じゃない
仮の住処とされているドラキュエ移民船も、いつまでも保つわけではない……」
「ほんと、戦争なんて馬鹿みたい
皆が馬鹿正直に無能上官に従うからこんな事になるのよ」
彼等スクウェーア族は、人間からしてみれば高度な技術を持っていた。
しかし、野心に惑わされた各地の族長が同族を襲い始める。
集落の争いはスクウェーア族全体の領土争いに発展し、
この戦争は15度も繰り返されてしまい、最後の15度めにはとうとう世界中を生体兵器で覆いつくし、星そのものが生物の生きていける環境ではなくなってしまった。
「
かくしてスクウェーア一族の生き残りは移民船に移り、新たな住処となる星を探している。
この地球から人類を抹消し、一族を移民させようと考えているのだ。
「レーダーで調査した所、地球からは一種の映像電波なようなものが各所から飛んでいることが解った
これは地球人の活動記録と見て間違いないだろう」
「こちらでもキャッチしたわ
一つずつ見てたらキリがないから、手分けするわよ」
───数時間後
アダムの居る部屋から何度か絶叫が聴こえたので、心配したエヴァは彼の部屋まで足を運んだ。
「どうしたのアダム。そんなに叫んで。」
「ああ……恐ろしい事が解った
どうやら、人類は強い怨念を抱いたまま死ぬと、非常に高い戦闘能力を持って復活するようだ
しかも物理的な攻撃はほぼ効果がなく、瞬時にして意識した場所に移動し、襲われた者はほぼ無抵抗なまま殺されてしまう。
この状態の地球人は、
「なッ!?……なんという事………そんなバケモノを、いったいどうしたら倒せるっていうの!?」
「その
すると
「そんなの一匹ずつやってたらキリがないじゃない!!!侵略なんて不可能よ!!!!」
「まぁ落ち着け、いい考えがある……
ようは俺達の仕業だと思わせなければいい。
怒りの矛先を地球人同士に向けるんだ。
そうすれば、俺達が恨まれることも、攻撃されることもない」
「もしかして、私達の星で使われた生体兵器を使うの?
そ……それは……難しいと思うわ…」
アダムの提案を聞き、顔を青ざめて目を背けるエヴァ。
「何故だ?何か問題があるのか」
「私も調査してて解った事があるの
地球人はウィルスをバラ撒かれ死に至ると、凶暴になって復活するのよ」
「また復活か!!!地球の生物はいったいどうなってるんだ!!!」
アダムは机を両手で叩いて悔しがった。
「厳密にいえば、一度死んでるから死体のみが動いている状態よ
一度死に 復活した地球人の遺体は思考能力が低下しており、見境なく周囲の生物に襲い掛かる。
体の一部が骨となっても延々と動き続けるのよ
これを地球では
「ふざけるな!それではウィルスで殺した所で
これでは地球人の駆逐なんて不可能だぞ!!!」
「つまり、地球人を滅ぼすには、地球人に納得してもらった上で消滅してもらうしか、私達が無事でいられる方法は無いのよ……」
「くそっ!!!だが、まだ諦めないぞ!我々一族の為に!!!」
────更に数時間後。
アダムは食事も摂らずに調査を続けていた。
見かねたエヴァが軽食を用意して、アダムの所まで持ってきた。
「アダム。そろそろ休憩したらどう」
「もうダメだ、おしまいだ」
アダムは両手で頭を押さえて地球を睨みつけている。
「ど……どうしたと言うの」
「恐ろしい事実が判明した……
どうやら地球人は、過去の戦争等で活躍した英雄を現代に召喚し使役することで戦えるようだ」
「地球人が、地球人を召喚するの?それなら大した脅威にはならないはずよ」
「驚くべきはその戦闘能力だ
召喚された地球人は、金属で出来た棒状の物体を一振りするだけで山をも粉砕する威力の光線を発生させる
更には何もない空間から物体を出現させ、高速で敵対者に射出し攻撃することもできる」
「!? 過去の地球人は、私達の技術を遥かに上回っていたというの!?」
「それだけじゃない……驚くのはまだ早いぞ!
地球人はのほほんと暮らしているように見せているが、それは全てフェイクだった!!!
彼等はとっくの昔に宇宙戦争にまで参戦していたんだ!」
「嘘でしょう……そんな記録は残っていないはず!」
「嘘じゃない!!!見ろ!これを!!!」
アダムは腕に装着されたリモコンのような装置を操作し、エヴァに映像を映して見せた。
白い巨大ロボットが宇宙を駆け巡り、他の緑色のロボットを破壊してゆく映像だった。
「そんな……なんてこと……」
ショックを隠し切れないエヴァは、その場に座り込んでしまった。
「驚いたか……無理もない。これはグンダムと呼ばれている人型巨大兵器だ
かつてスペースコロニーの住民と地球人が戦争していたということらしい。
銀河の何処を探しても、地球人が宇宙でコロニーを作ったなどというデータは無い
更には、一宙域を焼き払うビーム砲など、我々は想定していなかった!
だが、ここには確かにある。地球人は恐るべき兵器をいくつも隠し持っていたのだ!」
「無理よ……私達の装備じゃ、グンダムは倒せない…とても地球人を滅ぼすのは無理よ……ああ……」
「……しかしまだだ。
ここまで高い戦闘能力。むしろ鹵獲して我々の物とすれば、逆に利用できるかもしれない
更なるデータ収集を進めるぞ、エヴァ!」
───更に数時間後
「エヴァ、調子はどうだ」
「アダム?珍しいわね、あなたから私の部屋へ来るなんて」
「あ……ああ……少し疲れてしまってね」
アダムは明らかに憔悴していた。地球人の恐るべき能力を目の当たりにしすぎたのだろう。とエヴァは察した。
「無理もないわ……私のカプセルで休んでていいわよ
それともデータの報告があるの?」
「ああ……いや、言いたい事がある。
地球への侵攻は止めにしよう。諦めるんだ。」
アダムの弱きな提案に、エヴァは憤りを隠せず、アダムの胸倉を掴み上げる。
「私達は、ここまでくるまでに様々なものを犠牲にしたじゃないの!!!
全ては一族を救う為、新たな楽園を探すためよ!そうでしょ!!!?」
…さっきまでの勢いはどうしたのよ!あなた私達が滅び去ってもいいっていうの?」
胸倉をつかみ上げられたアダムは、もうどうにでもしてくれと言わんばかりにうなだれて虚ろな眼差しをしていた。
「そうじゃない。不可能だと気づいたんだ……」
「……話を聞かせてよ」
下ろされたアダムは、その場にへたりこんでぽつぽつと語り始めた。
「こんなことは、あってはならないんだろうが……
地球にはかつてサーイヤという異星人が降り立ったことがあるようだ」
「サーイヤ?そんな記録は無かったわ。それにそんな名前の異星人も聞いたことない」
「この映像を見ろ」
頭髪が禿げあがった男が指をクンッと上げるだけで町一つが吹っ飛ぶ映像が流れた。
「え?」
「これがサーイヤの力だ。地球にはかつて過去にも侵略者が来ていたのだ
だが、地球で育てられた更に強力なサーイヤがそれを撃退した。つまり我々が戦う相手は地球人だけではなくサーイヤも含まれるという事だ。
映像はまだある。」
次に、大きな眼鏡をかけた地球人の子供らしき人物が、拳一つで地球を真っ二つに破壊している映像が流れた。
「…………は?意味がわからない
これもサーイヤの力なの?」
「いや、どうやらこの子供もロボットらしい。
とある地球人の科学者が作り上げた愛玩用のロボットだそうだ」
「色々突っ込みたい所だけど、まず言わせてもらうわ
地球、割れてない?なんで元通りになってるの?」
「詳しくは俺にもわからない。
だが、7つのオレンジ色の球体を集めると、緑色の生物が現れ願いをなんでも叶えるという……」
「あーーーもういい聞きたくないわ、地球人はもうこりごりよ!こんな星絶対住めない!」
「わかってくれたかエヴァ
せっかくここまで来たが、地球は諦めよう
俺には、銀河連邦がここを諦める理由がよく解った。
地球人は、強すぎる。」
───こうして、地球の危機は去った。
これからも、異星人は地球へと侵略してくるだろう
地球は、常に侵略の対象として狙われているのだ。
しかし、地球は人知れず創作物によって何年も救われてきた。
そうやって異星の侵略者を恐れさせ、地球を守り続けてきたのである。
「ねぇ……ところで、所々で発言されていたフィクションってどういう意味があるのかしら」
「さぁな……今となっては知りたくもないね」
彼らがその意味を知るまでは、地球は安全である。
おまけ
「ハーァ……旅費が無駄になっちゃったわ…
メイク道具もバッグも我慢したのに~」
「俺達が甘かったのさ
まっ ほんの少しワープすれば、また似たような星が見つかるさ」
彼等の旅は、まだ続くようだ。