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海に浮かぶ1つの村。
その村には1人の少女がいた。
その少女は両親にハンターをもち
自らもまた、ハンターになるという
夢を持っていた。
「おとーさん!遊びにいってきまーす!」
「おう!気を付けろよ!」
少女は村と近くの島を繋ぐ橋を
全速力で走って渡る。
少女は採取をするのが好きで
自分で採ってきた素材を親に渡して
自分で採ってきた素材が武器となり
誰かのために使われるのが好きであった。
そんなある日。
少女はいつものように採取へ向かうが
森は不気味な程に静まり返っていた。
「なんか不気味だなぁ…今日は早く帰ろうかな?」
そんな事を考えるが、採取をしていたら
時間を忘れ、既に夕暮れ時だった。
「そろそろ帰ろうかな?」
そう少女が言った瞬間森がざわめく。
妙な胸騒ぎがする。急いで村の方へ走り
門を潜るとそこには
半壊した自分の村
そして
白い甲殻に身を包まれた海竜がいた。
慌てて村へ戻ると既に地獄絵図だった。
村を見渡せば
下半身の失った友人
誰かも分からないほどに焼かれた死体
建物に潰され臓物の飛び出た男性の死体
そして上がる爆炎
村は1匹の海竜により
爆炎と血により真っ赤に染め上げられていた。
少女は家へと走り出す。
自分が14年暮らしてきた思い出の詰まった家へ
親と楽しい時間を共にしたあの家へと
家が見えてくる。
あと少し
あとすこ…し
家の近くに1つの閃光が走る
そして閃光は轟音を轟かせ
爆発をおこし、爆炎は少女の家を
飲み込み、水面に滲んでいく。
少女は涙を流す。
「う…そ…」
少女が村の広場の方を向くと
村の人たちの声がする。
悲鳴が─
怒号が─
慟哭が─
だが、それも爆炎と轟音に掻き消され
全てが群青の海に消えていく。
そして海竜がこちらを向く。
「…ぁ」
少女が嗚咽を漏らす。
そして海竜がブレスを吐こうとする
その瞬間爆音が聞こえ
海竜が怯む。
そして後ろから声が聞こえた。
「無事だったか!」
父親だった。
「この村はもうおしまいだ
あの海竜に全て沈められる。
だがお前だけでも生き残れ」
「母さんと父さんが時間を稼ぐ
その間に逃げろ、そして橋を渡り
向こうの島に行け。
そこにはギルドの人達がいるから
あの村の生き残りだと言え。」
そして父親が抱きしめてくれた。
「ここまで元気に育ってくれてありがとう
こんな血に濡れた手でしか抱きしめてやれない
俺を許してくれ。」
そして父親は言う
「時間がない!いけ!
お前なら大丈夫だ!なんせ
俺の自慢の娘だからな!」
そういうと父親は私に1つの片手剣を渡して
海竜へと向かう。
私は泣きながら走る。
燃える村の中を走る。
そしてもう少しで橋が見えるところで
転んでしまう。
だが気にせず走ろうと立ち上がろうとしたその時
母親の悲鳴が聞こえた。私は母親と父親の方を向く
そしてその瞬間
母親が海竜に噛み砕かれ。血の雨が父親に降り注ぐ。
父親は激情し、海竜に向かうが、海竜の爪によって
引き裂かれ、穿かれる。
そして父親が倒れる。
それを見た私はその場に跪く。
海竜が近づいてくる。
そして海竜が私の腹を穿く。
痛い
憎い
その痛みが
その憎悪が
私の心を黒く
果てしなく深い光の届かぬ海の底よりも
深く─
黒く─
染め上げていく。
憎い
あの海竜が憎い
あのモンスターが憎い
全ての感覚が薄れ、視界が朦朧とする中
1つだけはっきりするものがあった。
殺意─
あの海竜に対する殺意だけがはっきりと残っていた。
あいつだけは殺す
私が死んでも殺す
生まれ変わり殺す
何をしてでも殺す
何処にいても殺す
確実に絶対に殺す
果てしなく深い殺意を抱きながら少女は目を瞑る。
自分が死んだとしても、奴への殺意だけは忘れぬように
怒りを、憎悪を、脳裏に刻みこんで
そして少女は意識を手放した。
その日、1つの村が爆炎に飲み込まれ慟哭に染まった海へと消えていった。
勢いで書いた