「いいかい、博麗の巫女を探して僕の元まで連れて来るんだ。いいね?」
「「はい!」」
地霊殿を発ったエディアは自身の2人の使い魔にしっかりと命令を教え込んでいた。
うんうんと相槌も忘れず、はいと返事も返す。確認は十分であると、エディアは2人を出口へと送り出した。
「さ、僕はここで待つとするか」
適当な岩場に座り込み、光が差す上を見上げた。
「私の巣に興味でも?」
彼女の後ろに声がかかる。黒谷ヤマメ。地中の土蜘蛛である。
「いや、そうじゃないんだ。この幻想郷の地上に興味があってさ」
「なるほどね」
「というか張られ方にもよるけど君の巣、僕の使い魔に焼かれてるかも」
「いいさ、壊されるのには慣れててね」
多少困り気味にカラカラと笑い、エディアの元を去った。悪評ばかり聞くが地底も案外悪くないかもしれないと、エディアは空を見ながら考えた。
「見つけた!博麗の巫女・・・だよな!?」
「間違いありません!白黒の魔法使いもいます!」
「・・・?私達に用?」
妖怪の山。霊夢達の飛ぶ先に二人の少女が現れた。エディアの使い魔、『ちびどらごんず』。赤髪のドライグと白髪のグウィバーである。
「えっと・・・確かご主人様は・・・倒せって・・・」
「そうでしたっけ?・・・でも、そうだった気も」
「じゃあ決まりだな!おい博麗の巫女!俺たちが倒してやるから大人しく・・・」
「・・・梅太郎」
霊夢の合図に頷き、梅太郎が前に出た。
「霊夢達に用だったらまずわしが相手しちゃろう!かかってこい!」
「よっしゃ!ぶっ倒してやる!」
「アンブロシウス様に褒めてもらいましょう!」
威勢良く叫ぶと、二人が梅太郎の前に並び、弾幕を放った。
炎と光弾の入り混じった複雑な弾幕。多少難儀しながら、梅太郎は隙間を縫う。
「まあ多少避けづらいが・・・なんちゃあないのう。にしてもおんしら、弾幕ごっこを知っちょるのか?」
「アンブロシウス様から聞いたのさ!」
「この幻想郷での戦いのルールだそうですね。スペルカードも用意したんですよ!」
「そいつは上等ぜよ!」
間のスペースを抜け、一気に接近。拳銃での攻撃を行う。
「うわわわわ!スペルスペル!」
急いで二人近づきつつ弾丸を避け、スペル『どらごんとつげきー!』。
小さな竜へ姿を変え、いや、戻すと言うべきか。ドラゴン形態となって梅太郎を囲んだ。
「くらえ!」
「当てますっ!」
その状態で2人から放射状に弾幕展開。隙間を抜けて梅太郎は逃げようとするが、すぐに2人が追い、抜け出せない。ならばと耐えきるべく避けに専念。
「そこ!」
しかし防戦のみと言うわけにもいかない。隙を見て銃撃。グウィバーが避けたために弾幕が乱れ、大きなスペースが開く。そこを梅太郎が抜け、2人から距離を話した。
「あっ・・・この・・・!」
「続けてスペル行きましょう!『どらごんファイアー!』」
スペル宣言。ドラゴン形態のまま2人は梅太郎から等距離離れ、両側から炎型の弾幕を放った。
「おっと、危ないぜよ!」
先ほどより大きい弾幕ゆえに避けづらい。しかしかといって当たるかといえば別問題。大変そうながら全てかわしている。
「当たんない!」
「なら!」
2人は火炎放射の勢いを上げ、火を吹き出した。
しかしどれだけ強めても同じだけ速く避けるのみ。できた一瞬の隙をつき、拳銃を2人にはなった。
「いでっ!」
「あいた!」
まさか攻撃されると予想していなかった2人は避ける余裕などなく、負けてしまった。
「く〜!」
「負けちゃいました・・・!」
「このアホドラゴン達は・・・」
穴を抜けて現れたエディアが背中側から2人の頭を小突いた。
「誰が戦えって言ったのさ。直接来て正解だったよ。あー、君たち、僕がちゃんと彼女の元へ導いてあげるよ」
「その前にあんたを倒さなきゃね。あの魔女ってのはこんな仲間まで連れて・・・全く」
「え、いや、だから」
「ほら、指摘された途端焦りよった。分かりやすすぎるぜよ」
白々しいなとうっすら軽蔑の混ざった目で見つつ指差す。誰も信じる気は無いようだ。さとりは心を見られるが誤解はなかった。そっちの方が良かったなと溜息。現実から逃げるわけにもいかず、仕方なく白のコートを整え、自分の身長を超える杖を構えた。
「さあ、来なよ・・・そう、自己紹介をしておこう。導きの魔女、エディア・アンブロシウス。エディと呼んでくれると嬉しいな」
「弾幕ごっこの最中に自己紹介ずいぶん余裕にゃあ」
「あまり舐めないでくれよ。それに君たちを導きに来たんだ。これぐらい練習するさ。・・・まぁ、なぜか戦ってるけど」
軽く弾幕を展開するが、使い魔のものとは比べものにできないほど濃く、精密なもの。避ける梅太郎も先ほどの余裕はなかった。
「ならわしもしておこうかのー、エディ。わしは才谷梅太郎。維新の立役者と呼んでくれても構わんぜよ」
「なるほど。悪いがウメタロー、君には負けてもらうよ。『ストーンヘンジ』!」
彼女のスペル宣言に合わせ、筒型に弾幕が形成される。
「おっと!」
縮まっていくそのスペースからギリギリ抜け、次の筒に入り込む。
「危ないぜよ・・・」
続けて移動。次の筒へ移る。その時、エディアの合図でさらなる弾幕が展開。複雑な交差の隙間を抜ける。
そして4つ目の筒に移動。狭まるスピードがどんどん加速し、脱出が難しくなる。体を横に倒してギリギリで抜けると、最後の円筒へ。縮まる光弾の壁と丸く広がる光弾の波。重なる隙間を少しずつ、ゆっくりと抜ける。
「結構しっかりかわすんだね。なら次はどうだい」
スペルカード、『英雄の選定』を掲げ、弾幕を放った。
剣を模した弾幕がエディアの周りを時計回りに旋回するように放たれる。パターンのわかりやすさゆえに梅太郎も先程より簡単にかわし続ける。
「それなら・・・!」
突如、剣が向きを変え、再び旋回。反時計回りとなった。急な動きに驚くが、かわし切る。
「先回りね・・・と言うことは・・・」
「ああ、ここから昌鯖が出たか・・・もしくは居るか。冥界は途方もなく広いからな」
同刻の白玉楼。幽々子の元に魔界からの客人が来ていた。美しい青髪と白い和服の少女、先見諫。
「逃げたエディアが幻想郷へ向かったんだそうだ。よくは知らんがな」
「なるほどねぇ、でも結界を開けるわけにもいかないわね。あそこ。あそこだけ閉じられない隙間があったわ。ちょうどいいからあっちから出なさい」
「感謝しよう、西行寺幽々子」
彼女の軽い礼を幽々子は微笑みで受けると、妖夢を見送りに付けて送り出した。
「いつになったら終わるんじゃけえ!」
エディアの弾幕は左右反転をずっと繰り返す。今までの耐久スペルとは比べものにならない長さ。少しずつ精神をすり減らした。
「ん・・・そういえば・・・」
避けながら、ふと弾幕の中に紛れる違う色の弾幕を見る。先程から見えていたが、あれは何なのだ。そう一瞬思案ののち、答えを導き出した。
「なるほど・・・あいつじゃ!」
ピストルを構え、1、2、3と撃ち落としていく。そしてエディアが放ったばかりのものをすぐさま撃墜。もう出てこなくなったところで、スペルは終了した。
「まさか見破るとはねえ。これで終わらせる。『赤と白の眠りし塔』!」
続けてラストスペル。彼女の後ろに古ぼけた塔が現れ、そこから紅白の一対の龍が現れた。
「さあ、行くんだ」
彼女の杖を振る合図に合わせ、竜が弾幕を放ち、梅太郎へ突撃。弾幕の隙間を縫いつつ避け切った。
竜の残した弾幕がゆっくりと広がる中、エディアも杖から弾幕を放つ。三つが交差する間を抜ける。
「さっきより断然濃いがー、避けるのは難儀ぜよ!」
上手く避け続ける。このまま避け切ると思った矢先、何かが自身へ飛ぶ音。振り返れば先程の2頭。塔から出た時とは比べ物にならない速度で接近した。
「これはまずいぜよ!」
焦った様子で右左と移動。ほぼ数センチかという間で避けた。そして竜の残した弾幕が全て飛んだ。残るはエディアのみ。
「ゆにおん号!」
今だと言わんばかりに叫ぶ。スペル宣言。『れっつごー!ゆにおん号!』だ。彼女の周りにオーラが集まり、小舟が形成。合図に合わせ、砲弾を放出。大半はエディアの弾幕に消えるが、2発のみ間を抜け、エディアの胴を捉えた。
「くっ・・・僕の負けか・・・まあ、別に悔しい要素はないんだが・・・」
「今すぐあんたのボスのとこに案内しなさい!」
後ろで観戦していた霊夢が梅太郎を追い抜いてエディアに接近。襟を掴んで頭を近づけて脅すように言った。
「ハナからそのつもりだってば。別に僕のボスじゃないし彼女にはいつも僕の困っていて・・・」
「御託はどうでもいいぜ。あんたがその魔女の敵か味方かはこの際関係ないから案内してくれよ」
「あんだけボコボコにさせといて・・・」
「だとしたら謝るぜよ。とにかく頼む!」
「・・・まあいいさ、導いてあげよう。といっても冥界にいるんだろうがね」
ため息混じりに3人を案内。魔法の森を紅魔館を背にする方向へと進んだ。
展開上vs魔理沙ばっかになりそうだったのをこらえて霊夢2魔理沙2梅太郎3に配分しました。やっぱオリジナル主人公ゴリゴリ出したいよね。以上、現場から土佐弁を調べながら執筆中のサードニクスでした。