それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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仕事は出来るんですよ、仕事は。そう説明したFMG-9の目は些か死んでいた


ヴァニラという女性

「では、こちらが給与等の書類です」

 

現在、カフェにてヴァニラに契約等の説明及び交渉がカリーナが代表して行われていた。

 

と言っても相場かそれより上での提示、待遇面も高待遇故に揉めることもなく進んでいっている、それを同じ席で眺めている置物とかした指揮官、正直、喋ることも出る幕もないがかと言って何か食べるわけにも飲むわけにもいかずにとりあえず笑みだけでも絶やさないようにと努力している。

 

「大丈夫ですかボス?」

 

「え、ああ、大丈夫だよ。これから同じ基地で働くんだからこれくらいどおってこと無いよ」

 

「笑顔が震えてますわよ……」

 

PPKが心配そうな声でそれを指摘されるといや、これはそのさっきまで色々あってまだ整理がついてないだけだよと答える指揮官、ヴァニラはそんな健気な少女と戦術人形達のやり取りを見て満足げな微笑みを浮かべる。

 

「指揮官に無理させちゃってるかしらね」

 

「今まで私以外には人間と言うのは居ませんでしたからね、ご自身で言い出したとは言え直ぐには難しいですよ。えっと、他に何か質問はございますか?」

 

「貴女か指揮官のスリーサイズ?」

 

「どちらも非売品でございます、では無いようですので私は少々席を外しますわ、指揮官さま」

 

席を立ちペコリと頭を下げてからカリーナは書類を手にカフェを出る。席に残っているのは指揮官、FMG-9、途中で着いてきたPPK、ヴァニラとマスターのスプリングフィールドだけ、休日だと言うのに利用者が少ないのは流石に副官が倒れたとだけあって一応の厳戒態勢が引かれているからである、解除は既にされているのでしばらくすれば何時ものカフェになるが今は静かなものである。

 

因みにG36はヴァニラの自室等の掃除へと消えた、最近は指揮官の側にいる時間が少ないが良いのかと思われそうだが彼女曰く仲間がいるのなら問題ないとのこと。

 

「いやぁ、それにしても良い基地ね、指揮官がいい娘だからでしょうけどね」

 

「あ、ありがとうございます?」

 

コーヒーを一口飲んでから優しい笑顔で褒められれば指揮官は緊張しながらもそう返す、だが彼女の中ではどうしてFMG-9はヴァニラに妙に辛辣なんだろうかと言う疑問が先程から浮かんでいた。

 

確かに偶に斜に構えたような態度が出るFMG-9だがあそこまで露骨に辛辣になるなんて珍しいというのもありつい聞いてみれば

 

「ああ、ボス。この人ちょっとヤバイやつなんですよ」

 

「え?」

 

「その言い方はないじゃないアリババ、ていうか元パートナーに対して辛辣すぎて泣くわよ」

 

元パートナー、どういうことだと指揮官がFMG-9を見つめれば、あ~と喋りづらそうに頬を掻いてから、まぁあまり褒められたことではないんですがねと前置きしてから

 

「昔、悪徳企業やら犯罪組織やら、たま~にブラックな司令部にハッキング仕掛けてはデータを誰彼構わずにバラ撒いて潰すって事やってた時の、パートナーが彼女なんですよ」

 

「アリババ、今はFMG-9か、とね噂を聞いては手を出して、また別の噂を聞いては手を出して、そしてそいつらが情けない面で最後を迎えるのを眺めるってのを繰り返してたのよ。まぁ結局、最後は足が付いて私達はバラバラに別れて逃げることになるんだけど」

 

「アリババとメジェド、そっちの方面では少し有名なハッカーコンビだったんですよ。まさか生きてたなんて思いませんでしたけど」

 

「それ言ったら、アンタがグリフィン基地で勤務してるなんて思わなかったわよ」

 

一通り聞いた指揮官とPPKはへぇと同じような顔で感心する、何処か抜けているこの基地唯一のカップルに反応にいや感心しないでくださいよ犯罪ですからね自分たちがやってたのはとFMG-9が言う。

 

だがそれを聞いてもヴァニラが何がどうヤバイやつなのかが分からない指揮官、もしかしたらこれまでの会話になにかヒントがとカリーナとの会話も思い出しながらうーんと唸る、その愛嬌ある姿に

 

「やっぱり良いわね、この基地」

 

「あ、バイキングですか、独房って空いてましたっけ?」

 

「ちょっと?何度も言ってると思うけどさ、私は手を出すつもりなんて無いの、そりゃちょっとネタに描いたりするけどそれだけだって」

 

「同僚や上司を普通にネタにする発言も十分どうかと思いますよ私は!!」

 

「ネタ?描く?」

 

指揮官の疑問の声がカフェに響く、あ、ヤベッと言うFMG-9の声も響く、そこから察したPPKが笑顔のままヴァニラを見つめて底冷えするような声で告げる。

 

「指揮官に手を出したら、容赦はいたしませんからね?」

 

「もしかしてだけどさ、貴方達そういう関係?」

 

「え、あ、え、ええそうですわ!」

 

常人であればそれだけで怯むはずのそれを受けてヴァニラは余裕の表情を崩さずに寧ろ逆に質問を飛ばせば、PPKは驚きながらも指揮官の手を握り言い返す。

 

そして突然握られた指揮官は驚きながらも、何故か嬉しかったようでえへへと笑いながら握り返せばそれを直視してしまったヴァニラが手で鼻を抑えて顔を俯かせる。

 

(ヤバイ、この基地ヤバイ。天国だ、殺されてもいいわこんなん、しかもこれで男が一人も居ない基地でしょ、最高かよああもう描けってことよね!?しかもあれ自然体よ、不純物一切入ってない白百合とか聖域じゃない、ああ、なんてこったアヴァロンは此処にあったのね!!!)

 

「ヴァニラさん?えっと、大丈夫ですか?」

 

「ああ、いや、放おっておいても大丈夫ですよこのダメ人間」

 

突き刺さるFMG-9の刺々しい言葉に顔を上げ反論しようとしたとき、丁度目の前には心配そうな指揮官の聞いてた年齢にしては幼く見えてしまう顔、気付けばそれに見惚れてしまった、こんな普通ならこいつそういう人間なんだと気付きこんな反応をしても誰も心配もしてくれなかったのに彼女は純粋な心配を向けてきた、何だこの天使と理解したとき

 

「マーベラス!!」

 

「え、ヴァニラさん!?」

 

FMG-9の冷たい視線、PPKの軽く恐怖する視線、指揮官の心配している視線を受けながら私、ここを永久就職先にしますと頭の中で宣言しつつ、ゲヘッゲヘヘへと女性がしてはいけない顔で笑みを浮かべながらテーブルに突っ伏したヴァニラ。

 

彼女はペルシカが自信を持って彼女の基地に送るほど優秀な人形専門の整備士、しかし今まで基地勤務をしなかったのはどの基地にも男が居るのが我慢できないからと言う理由でフリーとして活動するほどの女好き、中でも少女同士の百合というのは大好物らしい、趣味は本の作成、誰かに見せるわけでもないが妄想を形にできるって良いわよねと語ったとか。




シリアスが続きすぎて結果生まれた存在ヴァニラ姉貴。まぁ人形のメンテナンス問題はあったので丁度いいよねとなった

彼女は決して手を出しません、第三者としてその白百合を眺めるのが好きな女性です、間に入ろうとする男が居たら女にする勢いで殺しにかかるくらいの過激派です。

物語の着地地点に突然ドリーマー現れたんだけど……
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