それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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今回は『通りすがる傭兵』様の『ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー』の最新話とのコラボ回です、なのであちらから読んでもらうことをオススメします、場面はあちらの話の後ですので!

ひだまりは、全てを受け入れ前へ進み始まる。


もう、逃げない。

重い沈黙が支配する医務室から3つ挟んだ場所の休憩室、そこには医務室を映した映像投影機、それは勿論音声も拾ってくれる高性能な機械なのだが、今回ばかりはその機能がここまで欲しくないと思わなかった。

 

「……思った以上ね」

 

「……」

 

「こんなに、抱え込んでたと言うのですか?」

 

PPSh-41の言葉が部屋に響く、自分達では決して引き出せなかっただろう指揮官の精神の歪み、彼女が刺され意識が戻ってから発覚した意識の逆転。

 

それは当初はまだ初期段階だと思っていたのだが副官が依頼して来てもらったガンスミスが所属している基地の指揮官が行った荒治療に近いカウンセリングによって発覚したのは

 

「揺さぶられただけです、それなのに……」

 

「蓋が取れれば、こうもなる、か。私達は触れなさ過ぎたんだよ……」

 

ヴァニラの呟きにPPSh-41も副官もモニターを見つめる、どちらも自分の無力を感じ取っていた、それと同時に自分達が如何に彼女に対して甘く接していたのかと思い知らされた。

 

見れば、副官の身体は震えており、手からは血が流れ始めていた。それを見つけたPPSh-41は休憩室に置いてある救急箱を開いて彼女の手当を行う。

 

「あ、すまぬ。呵々、駄目な祖母じゃなぁ、自分からあの指揮官にカウンセリングを依頼して、手段を選ばんで良いと伝えたくせにいざ見せられればこのザマじゃ……」

 

「そんなの私達も同じよ、って副官どこに行くの?」

 

「あやつらの見送りじゃ、ヴァニラは指揮官を頼む」

 

それだけを伝えて部屋を出ようとする副官をPPSh-41が止める、止められた彼女はなんだと言いたいような顔で止めた本人を見るが、PPSh-41は怯むことなく目を見据えてから、はっきりした口調で

 

「逃げるんですか?」

 

「逃げる?何を言っておるのじゃ貴様」

 

「逃げてるじゃないですか、今だってお客の見送りを理由に指揮官から」

 

「……わしが谷から突き落としたんじゃぞ?それだと言うのにどんな顔してあやつに会えというのじゃ」

 

自嘲気味に笑いつつPPSh-41の言葉にそう返した副官は、それ以上は言葉はないとばかりに部屋から出ていく、ヴァニラはそれを見て頭をポリポリ掻いてPPSh-41はやれやれと言った感じに首を振る。

 

「あの人は全く、どうしてこう頑固者なんでしょうかね」

 

「違うわよ、今、人形の自分が出ていってどうするんだって考えちゃったんでしょ、そんな事無いはずのにさ……仕方ないわね、私が行ってくるわ」

 

それだけを告げてPPSh-41の頼みましたという声を背にヴァニラは休憩室を後にして医務室に向かいながら何を伝えるべきかを頭の中で纏め上げる。

 

兎にも角にも彼女に今必要なことはあの指揮官が伝えてくれた、だから自分がするべきことはその補点、今の指揮官は絶対に自身を追い込んでいるだろうから、そして意味を微妙に履き違えているような気もするとヴァニラは思いつつ医務室の扉をノックそこそこに開き指揮官が居るはずのベッドに顔を出せばベッドの上で体育座りをしている彼女の姿、どうやら相当堪えたらしく顔にはいつもの元気は存在してなかった。

 

「……あ、ヴァニラさん」

 

「やっほ指揮官ちゃんって気分じゃないよね。実はね、見てたのよ私達もあのやり取り」

 

その言葉にえ?となる指揮官、当然だろう、あのガンスミスの指揮官は今はダミー映像が流れていると言ってたはずなのにと、その反応に当然そうなるわよね~と彼女は一通りのネタバラシを行う。

 

副官は初めからあの指揮官に来てもらうように連絡をしていたこと、その際のカウンセリングに遠慮はいらないと伝えていたこと、そしてその時の光景を自分達は休憩室で見ていたこと、最後に

 

「ごめん、大人の私達が本当は聞いてあげるべきだった、教えてあげるべきだった、この世界の本当の姿を」

 

「ち、違います、悪いのは私、です……」

 

彼女は分かっていた、自分が臆病者で人見知りを治すための努力すら放棄していたことに、人形が、ヴァニラ達が大丈夫だと判断したから自分も信頼するという人任せなことをしていたという自覚が。

 

そしてその信頼しても大丈夫と思っていた人物からの正面から突きつけられた好意とはぜんぜん違う雰囲気と人形をとことん下に見る発言に食って掛かったはいいが出たのは

 

「私、そんな風に考えてたんだって、その時凄く怖くなって訳がわからなくなって、でもガンスミスさんの言葉が頭の中にスゥッと入ってきて」

 

「人形や人間っていう線引きせずに仲良くなれ、良い奴も悪い奴も人形も人間も全部引っ包めて指揮官の周りに存在している、だっけ?」

 

「うん、私、多分だけど今までは『好き』か『無関心』しか無かったんだと思う……だからあの指揮官さんが言った悪い人でも仲良くなれる、それにそうでなくとも……」

 

「互いに利用し合う仲間と敵の関係、それでも構わない、ねぇ指揮官ちゃん、貴女はどうしたい、今のまま変わらないで殻に閉じこもる?それともあのガンスミスの指揮官に指摘されたように自身の観察眼を鍛えて、人形や私達が信頼してるからじゃなくて、『貴女』自身で好きや嫌いとかを考え、それを踏まえて付き合い方を学ぶ?」

 

ヴァニラの真剣な声が指揮官に突き刺さる、今の今まで自分で人間を、いや人形に至っては無条件に信頼してしまっていた自分、もし今後出会う人形に人間のような悪いやつが居たら?良い人のはずなのに人間ってだけで拒否してしまったら?

 

そんなの勿体無いし、またこうやってみんなを悲しませる結果にさせる訳にはいかない、そう考えれば自ずと答えは浮かび上がる。

 

「ヴァニラさん、私、もっと人を知りたい。今まで逃げていた分も、あの指揮官さんが言ってたひたむきに隠されてた現実を、知りたい」

 

「そこまで知りたいのかぁ……生半可な覚悟じゃ駄目よ?それは貴女が今まで見てきたもの全てを否定される危険性まであるからね、それでも?」

 

「それでも、もう皆を盾にって言うのもおかしいけど、頼りっぱなしで居たくないから」

 

殻に閉じこもるのはもうお終いにしたいから、嫌いも好きも無関心だった事柄全てから目を逸らさずにこの目で、耳で知りたい、ヴァニラの目を真っ直ぐ見つめ宣言した指揮官の瞳に光が戻る。

 

それを聞いた彼女は、小さく一つ頷く、それと同時に扉が開かれれば

 

「聞いておった……指揮官、すまぬ」

 

「おばあちゃん、ううん、謝るのはこっちだよ」

 

「えっと、空気を壊すようで申し訳ないのですが指揮官、一度腹部の傷と頬、見せてくださいね~」

 

急に普段の空気に戻る医務室にヴァニラも先程まで深刻そうな顔をしていたはずの副官も苦笑を浮かべてしまった。

 

因みにだがあの怯えて移動した時にどうやら本当に軽く傷が開いたらしく仕方のないこととは言えPPSh-41の額に軽く青筋が立ったのは完全に余談である。




……どうしよう、全然上手く書けた気がしない。上手く描写できなかったと言うかその、完全に私の力不足です、伝えられたことは頭では何となしに理解できたはずなのに文章にできないってのはつらすぎるぞ

因みに今回のカウンセリング、副官からの依頼であり、制限なしと伝えたので荒くなるのも知ってました、ただ出てきた指揮官の深層心理があまりに予想以上だったのでこの反応ってだけです。

最後に通りすがる傭兵様、忙しい中色々とありがとうございました!!
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