それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:焔薙

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ま、まぁ、嬉しくないわけじゃあないんだがな?


なんか急に妹が出来た

大きくなる、それはつまり重心から何まで多少なりと変化するということである。ついでに言えば急激と言えば急激な成長を遂げたということもあれば動き一つとっても今までのようには行かない、それが周りの想定でありPPSh-41もアーキテクトもと言うよりほぼ全員がそんな事を考えていたのだが

 

「ひゃっほー!なんだろう、今までになく身体が調子いいよ!!」

 

指揮官、逆にフルスロットルで体を動かしています。これには訓練所に居たCZ75やスコーピオン、KLINも驚いたような表情でそれを眺め、付き添いで来ていたPPKはこの変化っぷりにどういうことだと遊びで作ったという浮遊型キグルミ【ごりあてさん】の試験運用をしていたアーキテクトに視線を飛ばせば

 

「うーん、身体が正常に戻ったことでハイエンド化が進んだ?それとも、もしかして本来のユノっちって実はかなりのポテンシャルを秘めてたとか?」

 

「レイラも大概じゃったからな、ありえぬ話ではなかろう。まぁ今後も経過観察は続けた方が良いとは思うがな、それにしても絶好調じゃな指揮官」

 

同じく付き添いとして眺めていた副官が若干呆れたような、だが嬉しさを滲ませた声でハイテンションで他の人形達から護身術やらを習い、訓練している指揮官を眺める。彼女的には漸くスタートラインに立てた指揮官を見れることが嬉しくてたまらないのだ、なので指揮官の身体能力の向上についてはあまり深くは考えていない、レイラの遺伝じゃろう程度の考えだ。

 

因みにこれは余談ではあるが、暫くは子作り前提の行為は禁止された。当たり前ではあるが幾ら正常に戻ったとは言えまだまだ経過観察の身であり少なくとも一ヶ月は駄目だというのがPPSh-41の言葉、まぁそもそもにして男性化の薬もあれしかなく体への負担がそれなりに大きいと判明して製造もされていないので彼女達が再びするとなれば、また別の手段を考えることになるのだが。

 

「さて……指揮官、そろそろ時間じゃぞ!」

 

「っとと、え、もうそんな時間!?やっば、すぐシャワー浴びて着替えてくるから先に執務室戻ってて!!」

 

バタバタと訓練に付き合ってくれた人形達にお礼を伝えてから更衣室に消える指揮官、慌ただしい彼女に苦笑を浮かべつつ副官は指示通りに執務室に向かい、PPKも己の任務のために部隊と合流するために訓練所を後にする、アーキテクトはどうやら今日は此処で【ごりあてさん】の試験運用を続けるようで慣れない感じに苦労しつつフヨフヨと訓練所を一周し始めた。

 

あとはいつもの訓練所常連の三人なのだが彼女達もやることは変わらない、最近ではスコーピオンもEVO3には慣れた様子で可愛がられることもあり、本人も割と満更じゃなかったりする、KILNも考えは改めはしたがナンバーワンになることは諦めておらず、この間はVectorに挑み秒殺されていた。

 

「にしても、指揮官があそこまで動けるとはなぁ」

 

そしてこの三人の中で気付けば纏め役のような存在になっていたCZ75がポツリと呟く、確かに前までもかなり動ける印象では合ったが治療後の更に拍車がかかった彼女の動きを見て思わず唸るほどだった。なので自分もうかうかしてられねぇなと思い軽く準備運動をしてから何時も通りに訓練を開始しようとした時、訓練所の扉が開かれる音がし振り向けば見慣れない戦術人形がそこには居た。

 

ベルトが三本巻かれた黒のシルクハット、ゴスロリと呼ばれそうな感じの服装の見た感じでは訓練所が似合うという感ではない少女は訓練所を見渡し、CZ75を見つけるや嬉しそうな表情に顔を変えて

 

「やっと、やっと会えました75姉さん!」

 

「え、誰?」

 

これには思わず素で返してしまうCZ75、本気で目の前の自分を姉と呼んだこの戦術人形に心当たりがない、と言うより自分に妹が居たということすら知らんぞとなれば今の言葉が出てくるのも無理はないだろう、だが目の前の少女は彼女の反応を気にする様子はなく、寧ろこれが正常な反応だとばかりに笑ってから

 

「改めまして、【Spitfire】です。私は75姉さんのクローンモデルの銃として製造されたのでそう呼んでいます」

 

「あ、あ~、なるほど……まぁ、なんだよろしくな」

 

「へっへっへ、これでCZ75にも姉妹が出来たわけだ、私の苦労を知ると良いよ……」

 

「姉妹、か。アタシには余り関わりのない話題だな、それよりもスピット、お前強いのか?」

 

「おいやめろ、今日配属されたばかりの奴を巻き込むなっての」

 

一連のやり取りが面白かったのか笑みを浮かべるスピットファイアにしかし、とCZ75は何かが引っかかったように疑問に思う。何というかスピットファイアの格好が何処かで見た記憶があるのだ、しかも最近どころかほぼ毎日、うーんと悩んでいると声が聞こえた。

 

「リーダー、今度のゲリラライブ何時にしますか?」

 

「そうですね~、ついこの間もやったばかりですし暫くは、ああ、でもD地区の方にスチェッキンがお礼を兼ねてなにか計画したいとか言ってたような」

 

「あ、じゃあ、私達でライブしに行きませんか!?」

 

答えが浮かんだ、こいつだと。訓練所から顔を出せばそこに居たのはこの基地のアイドルグループ【スリーピース】の三人、因みにまだメンバー募集中らしい、まだアイドル(万能)を増やしたいのかと張り紙を見た時には思ったがともかくその内の一人、一番の新参にしてグループの常識人の【HK45】似ていると思ったのは彼女の格好だったのだ。

 

そして、ライブ、と言う単語に反応したのはスピットファイア、彼女はCZ75の後ろからヒョコッと顔を出して三人の姿を見れば

 

「ああ!!もしかして、え、スリーピースってこの基地の方だったのですか!?」

 

「うおぉ!?きゅ、急に叫ぶなよ……でスリーピースだっけ、そうだよ、この基地のあの三人だけど」

 

「め、メンバーの募集とか……」

 

「してますよ、もしかして好きなんですか、歌って、踊るのが!!」

 

どうやら彼女の叫び声が三人に届いていたらしく戻ってきたHK45がスピットファイアの両手を握り目を輝かせて勧誘を始めていた、そこからリーダーのP38、PP-90も合わされば陥落するのも時間の問題であり、最終的には

 

「じゃあ、今日から宜しくおねがいします!」

 

「大歓迎ですよ!じゃあ、早速ですが色々教えますね!」

 

じゃあ行ってきますね75姉さん!と去っていく急にできた妹に手を振りながらCZ75は思う、多分この後直ぐにでも驚くことになるんだろうなぁと、ただまぁ自分が気にしても仕方がないことなので彼女は訓練所に戻り日課の運動を再開させる。

 

その日の夕食、楽しげに今日一日のことを話すスピットファイアとそれを聞きながらそりゃあ良かったと相槌を打つCZ75が見られたらしい。




増えた(アイドル)

アーキテクト製品紹介コーナー
【ごりあてさん】
反重力ユニット運用の試作品として生み出されたスケアクロウのビットと同じく電脳と直結させてで動かせるキグルミ、めちゃくちゃのんびりとしか動けない。

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