それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!   作:鮪薙

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そういや無かったなウチの指揮官と言うお話


ファミリーネーム

参ったな。そんな呟くが響く此処はペルシカのラボ、声の主は勿論この部屋の主のペルシカなのだが今彼女目の前にある書類、それが今回の彼女の悩みの種である。

 

その書類は彼女が後見人として保護しているS09地区P基地の指揮官をしている彼女に関わることなのだが、項目を埋めている時にとある部分でふとペンが止まった。

 

(……ふぁ、ファミリーネーム、付けてたっけあの娘)

 

今までは割となんとかなっていた、いや、なってた方がおかしい部分なのだがしていたという部分もある。ともかく今彼女が直面している問題は今回の書類では遂にファミリーネームまでの記入をお願いしますという項目が現れてしまったのだ。

 

ハッキリ言えば、今日まであの指揮官に名前はあれどファミリーネームは存在していない。元々にして彼女はクローンという存在だったので番号だけで呼ばれていて名前すら無かったのをペルシカが副官から何気なく聞いて『ユノ』という本来の名前を付けてあげただけなので『ファミリーネーム』だけは未だに存在しない。

 

まさかそれが仇になるとは、ペルシカは何時ぶりか苦虫を噛み潰した顔でその書類を睨む、だが睨み、頭を働かせた所で解決するわけもなく、仕方がないと言わんばかりにため息をついてからその書類を手に彼女はラボを後にし向かったのは

 

「で、私のところに来た、と」

 

「そうそう、何かいい案無いかなって」

 

相談を受けた指揮官の直属の上司ということになっている『ヘリアン』珍しく引きこもり科学者が出てきたと思えばそんな相談を吹っかけられる彼女の心情は如何に。

 

更に言えば彼女からすれば決めてなかったのかよという感情が大きい、てっきり既に決まっているとばかり思っていたのでこの科学者に少しばかり頭を抱えたい気分でもある。

 

「……まぁ、ならば自分のを付けてあげたらどうだ?」

 

「それも考えたさ。だけど彼女は唯でさえ注目を浴びている、それで急に私のや君の、あまつさえ社長のものを付けたとなればどうなるか分からないわけ無いだろ?」

 

だろうな、とは言葉にしないでも分かる風にため息をついてから、どうしたものかと彼女が持ってきた書類を見つめる、これは出さなければならない書類、期日までの時間もそこまであるというわけでもない。

 

内心、まさか男性経験すらない自分が少女のファミリーネームで悩む日が来るとはなと思いながら考えるも、何かいい案が浮かばず、このままではいたずらに時間だけが過ぎていくと判断したヘリアンは

 

「いっそ、向こうにも考えてもらうというのはどうだ?」

 

「まぁある種彼女の問題でもあるからそれでいいか、通信開ける?」

 

此処で会議するのかよと相も変わらずな自分勝手な天災に口元を引くつかせつつ、事情を話すために向こうへと通信を繋げた。

 

場面代わり、突如告げられた割と重大なことにどうしろとと言わんばかりの顔を晒す指揮官と副官が居る執務室

 

「……確かに教えてもらってなかったなぁとは思ってたよ?」

 

「わしもファミリーネームが未設定だったって初耳なのじゃが?」

 

《いやぁ、すまない。まさか必須になる日が来るとは思ってなくてね》

 

《普通に考えれば必須だろう、と言うことだ、我々もなにか考えたのだが浮かばなくてな。そちらからも知恵を借りたい》

 

とは頭を下げられたがコレは二人にも中々に荷が重い、それを表すくらいに表情は明るいものではなかったが、副官が何か思いついたらしく

 

「あやつの、レイラのと同じでは駄目なのか?」

 

《申し訳ない、それは危険だ》

 

「危険?え、お母さんのと同じだと何が危険なのですか?」

 

本気で分からないという声の指揮官にヘリアンは改めて申し訳ないがなと謝りを入れてから危険だと判断した理由を話し始める。

 

曰く、貴官は鉄血の生体実験の生き残りであり、母親はそれを追って居たのはグリフィンでは周知の事実である。故にもしここに来て同じのを使ったとなると

 

「そうか、今までは曖昧だった点と点が、線で繋がってしまう。そうとなれば……」

 

《間違いなく、更に君を確保しようと動く奴らが増えるだろうね。特にレイラをよく思ってなかった連中からすれば肉親である君は格好の標的になり得る》

 

「つまり、私のため、ということですよね?」

 

そうなるなとヘリアンが締め、結局その場の通話会議では進展がなく、とりあえず一日考えるということで解散となった。

 

自分の母親と同じのは使えない、記憶がなくともいざそう言われると何か少しだけ否定された気分になり落ち込んでしまうが同時にヘリアン達の懸念も理解できるのでどうしたものかとなった指揮官は

 

「ファミリーネーム、ですか?」

 

自身の旦那であるPPKに相談するというカードを切ってみた、と言うより今は誰かにコレを相談したかったからと言う部分が多い。対してそんな事を聞かれたPPKはというと困惑するでも困るわけでもなく、真剣に目を閉じ、妻たる彼女から聞かされた話を整理してから

 

「確認ですが、お義母様のは……」

 

「駄目って、ヘリアンさん達も考えてはくれてたけどやっぱりリスクのほうが大きくなっちゃうって」

 

「余程有名でしたのね、お義母様は。あの、でしたら一つありますわ」

 

えっ?と意外にも問題が進展しそうな事を言ってきたPPKを驚きの眼で見つめる、一体どんな方法があるのだろうかと若干の期待を混ぜながら聞いてみて、少し呆けてから意味を受け取り、思わず抱きついた。

 

因みに、そのまま夜の営みにはならなかった、抱きついたタイミングでまさかの娘襲撃からの五人同じベッドで寝たからであるという余談は置いておいて翌日、指揮官とPPKは執務室に共に行き副官に昨夜のことを話せば

 

「呵々、いやはや成る程のう、考えたなPPK、自身の半身であるワルサーのドイツ語発音である【ヴァルター】をコヤツのファミリーネームになぁ」

 

「ええ、折角のチャンスですわ、ならば見逃すわけはないです」

 

「あはは、最初聞いた時は驚いたけどね。でもPPK、貴女はどうするの?」

 

彼女は昨夜の話で、これは自分にも適応させますわと自信満々に言っていたが彼女はあくまで人形でファミリーネームどころか名前すら無い、だが彼女は今日のお楽しみだと教えてくれなかったので今聞いてみれば、ニコリと笑ってから

 

「PPKのKの部分、それを少々弄りまして、この基地や繋がりのある方々の前では【クリミナ・ヴァルター】などと洒落た名で名乗ろうかと」

 

いよいよ本格的に独占し始めたなコヤツと副官は笑いながらこの事をヘリアンとペルシカに伝え、書類は無事に作り終えられる。のだがこの一連の流れがこの後少々二人は大変な思いをすることになるとは思わなかった。

 

と言うのも、共に同じファミリーネームを名乗るのならば娘達もそうなるのだが

 

「ステアーはステアーじゃん、シャフトもシャフトじゃん、P7は?」

 

「……す、すぐに考えますわよユノ!」

 

あれでもないコレでもないと資料室に籠もり二人が考えていると話を聞きつけた当の本人、P7が来て

 

「私、だったら【ルピナス】って名乗りたいわ!」

 

「ルピナス、ああ、そういうことですか」

 

「?」

 

ルピナス、元々は彼女が暗部として動いてる時のコードネームなのだが実は一度も使ったことがないのでと出してみたが通った、因みに花言葉は【いつも幸せ】




今後からユノっちは【ユノ・ヴァルター】となりました、旦那は【クリミナ・ヴァルター】

てかもうあれだ、ヴァルター一家だわコレ
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