それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
作戦を終えたD08の417、ロマネシア、タカマチ指揮官がP基地に遊びに来る、その報告を受けたユノの行動は早かった、ついでにアーキテクトも早かった。ユノの方は少し前まで前回の戦いでPTSDを発症し安静中のヤークトリーダー【USPコンパクト】のお見舞いと謝罪をしていた、知らなかったとは言えELIDにトラウマを抱えているのに悪魔という異形の怪物が居る戦場に送り込んだことを、だが返ってきたのは
「いいえ、貴女には一言も話してませんでしたし、副官にも口止めをしてた私のせいです、寧ろ作戦としてはコレ以上にないほどに的確でした」
だから出迎えに行って下さい、作戦時の冷酷な瞳とは違う穏やかな表情でそう告げ送り出されたユノは直ぐにスプリングフィールドに通信を入れてカフェの準備を伝えつつ正門へと歩き出す。
因みにだがこの件についてはU05の基地の面々に色々言われてたとノアが後で報告してきたのだが彼女は作戦後にU05基地に挨拶をする形でそのことについて話をしたのだが、その時に知らなかったという言い訳は使わなかった、知らないことを告げつつも事実把握を怠った自分の責任であり、更に助けてくれてありがとうと頭まで下げ答える形をとっている。
そして同じ頃、D08から人が来るとは聴いているが誰が来るかまでは聴いてなかったアーキテクトはラボで大急ぎで準備を進めていた、もしメンバーにドリーマーが混ざっているとすれば間違いなくやつはまた
(ユノっちの胸を諦めてない、今度はどの手段だ……!?)
尚、コレが殆ど無駄になる行動だとするまで後数十分と無い模様。また少し時間を進めた執務室では疲れたように電話の受話器を置いた副官の姿、何やら先程まで電話をしていたらしいのだがその相手というのが
「MSFが平和の日というイベントをなぁ?」
正直に言えば彼処ほど平和という言葉から遠い存在はないだろうと思っている、がだからこそそういったイベントが大事なのかもしれんと納得はしていた。
それはそれとしてグリフィンからいたずら電話多発中という話を聞いていた彼女としては何やっておるのじゃあそこのスコーピオンはであり、寧ろこの疲れたため息はそっちが理由の割合が多い、が彼女に疲れている暇はない、これからD08の面々がこっちに遊びに来るというのだ、確かメンバーはと思い出せば
「タカマチ指揮官も来るし、ロマネシアも来る話だったな……後でアニス達を起こしてやるか」
先程の電話のことはそこでスパッと切りこれから来る客人との会話をどう楽しもうかという思考に切り替え彼女は行動を始める、その姿はどことなく楽しそうで鼻歌も聴こえたとか何とか。
無論、ノアたちもこの事は聴いているので二人は嬉しそうに頷いてから正門前へと向かう、こうして基地の主要な面々はD08の面々を今か今かと待ち侘び……
「いらっしゃい!あと、お久しぶりですタカマチ指揮官」
「久しいなタカマチ指揮官、お主は変わりないようだが……いや、何処と無く父親の風格が混ざり始めたか?」
「今はもう指揮官というわけじゃないけどな、元気そうで何よりだ」
先ずはユノと副官がタカマチ指揮官に挨拶を交わせば向こうはそんな感じに返しながらも変わりない二人の様子に気のせいかもしれないが安心したという表情を見せる、次にノアとクフェアが
「よっ、なんか作戦が終わった後なんだろ、誰も怪我とかしてねぇよな?」
「こんにちはシーナさん、ロマネシアちゃん」
「こんにちはお二人さん、それと大丈夫よノア、あれぐらいの相手に遅れを取るほどに腕は鈍ってないって」
「寧ろ大暴れしてあげたわぁ」
417の言葉にそりゃ良かったと安堵の息を吐くノア、クフェアはロマネシアのその時の表情が無邪気な笑顔だったので良かったですねとこちらも笑顔で返すが内容は知らないほうが良いだろう、更に言えばその内容を聞く前に元気な声と共に現れたルピナスダミー四姉妹とそれを追ってきた本体のルピナス、シャフトとステアーも来ればそれを聞くどころではなくなるという話である。
とりあえずカフェに案内するよと、ユノは誘い面々は途中アーキテクトと合流してからカフェへ。それからコレまでの話やらの雑談を始める、この流れとなれば様々な雑談が発生し、中には勿論
「所で、ノアは覚悟は決まった?」
「え、あぁ、まぁ流石にな……ただ、もしかすっと今はその時じゃないかもしんねぇんだ」
難しい表情に急になったノアにどうしたのかと聞いてみれば答えたのはユノ、先ず前提として此処最近また多発し始めた人形の神隠しについてを話して見れば向こうは噂は聞いていたようで知っていると頷く。
「その主犯、それを私達は追ってるんだ。でもナデシコの眼も搔い潜られて、足取りも掴めてないんだけど、少し前にノアが」
「嫌な予感がすんだよ、近いうちに何かが起こるそんな気が……」
「ノアっちの勘って妙に当たるからね、しかもK5も占いの結果が宜しくないとか言ってたし」
勘、それだけだと切り捨てるのは簡単なのだがノアが言うそれは重みがあり基地としても簡単に捨てられるものではなかった、故に警戒を強めているのだがどこをどう警戒すればと言う状況でもある。
しかし、それをD08の彼女たちに伝えても仕方ないのだが、それでもそっちでも気をつけてくれということを伝えることには意味があると思っていた。
「って、あまり暗い話ししてもあれだよね、そっちはなにか変わったこととかある?」
「そうね~……」
暗い話は此処までだ、彼女たちはその後はまた明るい雑談を続ける、その中でMSFに招待されたという葉内になりユノはコレを即決、ノアも巻き込むことに決定した。ノアからすれば何だその組織という感情と、だから何でそんな凄い所と繋がり持ってんだよというある種の戦慄を覚えたとか何とか。
そんな楽しい時間も終わりを告げる、帰っていく彼女たちを正門で挨拶をしてから姿が見えなくなるまで見送る、今日のような日々がまた続けば良いな、ユノはそんな事を思っていた。
だが、そんな上手い話が転がり続ける世界ではない。
『……アーキテクト、お前の最高傑作、借りるぞ』
基地は襲撃された、ゲーガーは親友の遺した自分の為の武器を手に幻影を操るハイエンドモデルと
『知ってるかしら、獣は狩人に勝てないのよ?』
Vectorは彼女を守るために明らかに不釣り合いな大きな鍵爪の腕のハイエンドモデルと
『片目くらいくれてやらぁ!!!』
ノアは愛すべき存在と居場所を守るために自身よりも遥かに強いハイエンドモデルと
『どけ、今のわしは機嫌が悪いなんてもんじゃないぞ』
副官は今尚戦い続ける孫娘の下に駆けつけるために異形の双剣を構えるハイエンドモデルと
『今日までの『想い出』は私が作った、私の物だ!!』
そしてユノは自身の姉の体を持ち、その復讐のために動くハイエンドモデルと
S09P基地の長く、だが決して逃れられない戦いが、その日始まった。
次回 S09P基地の長い一日
アーキテクト「いやいや待て待て、待ってくれない!?なんか私死んでないコレ!?未来で死が描かれるってまるでホラーじゃん!!嫌だ怖い怖い!なーんてね」
なーんてねってなると良いなぁ?
※ 最後の光景とセリフは次回予告です、どうなるかは分かりません