それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!! 作:鮪薙
レイと言う少女は知っての通り、あの重度汚染地域で目覚め、そのままELIDを狩りながら暮らしてき、そしてユノ達の基地へ迎え入れられた存在。
勿論、人として生きていくには必要最低限の知識は初めからあり、今までは個人でやってきたので上手く暮らせて行けてはいたし、その高い実力のお陰で割りと好き勝手にもやっていけてもいた。
しかし、彼女には致命的な物が抜けていた、最もこれは重度汚染地域に過ごしていたが故に今までは必要なく、基地に所属してからもまだそこまで長い時間経っていなかったので発覚が遅れてしまったのもあるのだが、ともかくレイの致命的な知識の抜け、そう、それは
「お主、自分の今の立場がどんなものなのか、理解しておるのか?」
「えっと、その……わ、分かんないです」
説教をされているというのは分かっている感じに正座をしているレイからの素直すぎるその一言に、ナガンから出てきたのはそれもそうかという感情とそれはそれとして無鉄砲すぎる行動だろという感情の2つが混ざった感じのため息だった。
彼女に抜けている致命的なもの、それは自分の特異性、及びそんな自分が安易な行動を起こした際に発生する自体への理解である。
「よいか、今のお主は基地に雇われている傭兵、つまりはグリフィンに登録されている人形や職員、兵士ではないという事じゃ。そうじゃな、お主にも理解しやすいように言うならば、前の拠点にELID、とは言わずとも知らぬ人間が来たらどうする?」
「ELIDなら殺す、人間だったら警告してから話が聞けそうならまぁ聞く、無理なら殺す」
「あまりにも極端すぎるのじゃが、まぁ要はそういうことじゃよ。特にお主は単騎ですら基地を蹂躙できてもおかしくはない性能と武器を持っておる、そんな相手がかなりの速度で自分たちの基地に向かってきているとなれば、お主がいかに安全な存在と言えど緊張感が高まるというもの、更にここは見ての通り子供もおるしな」
ナガンがそう言いながら自身の背後を見れば、D08の子供たちと仲良く今は昼食を食べているルキアとクリスの姿、ここまで言えば流石に分かるよなと視線をレイに戻せば、向こうはここに来てやっと自分が仕出かしたことの大きさを完全に、と言うのは今までの暮らしがあるので難しいかもしれないが漠然と理解したようで、頭を掻きながら申し訳無さそうに417達の方に向いてから
「あ~、その、なんか騒ぎを起こしちゃったみたいで、ごめんなさい」
「いやまぁ、大丈夫よ、驚きはしたけどね」
「そう言ってもらえるとありがたい、レイ、今この場ではコレ以上の説教は勘弁しておく、じゃが帰ったら覚悟しておけよ。それとユノ」
「ふえ!?あ、どうしたのお婆ちゃん」
まさかここで声を掛けられるとは思ったなかったユノが素っ頓狂な声を上げる姿にナガンは急すぎたかと思いながら
「帰ってからでいい、コヤツに組織に組みするという意味を教えてやってくれ、また今回のようなことが起きてはかなわんぞ、知り合いの基地だから穏便に終わったものじゃからな」
「うん、任せて、レイちゃんもそれでいい?」
「異論はないよ。あ、パフェおかわり貰える?」
よし、話は終わったなと言うタイミングでパフェのお代わりを要求するレイにナガンはこいつはと思いつつも、自身もコーヒーを一口、それから改めて周りの楽しげな様子を眺める。
ユノとクリミナは自分たちもカフェの、自分たちにとっては先輩ママ達と子育てのこと、それとは関係なしの雑談、ユノなんかは教師を目指して勉強しているという部分から、そこの苦労や、それでもやっぱり楽しいという感じの会話を。
ノアとクフェアもまたユノ達と似たような会話をしつつ、ノアが自分も戦う以外のことも考えたほうが良いのかなと相談したり、クフェアもクリスの少し強めの警戒心、または人見知りについてドリーマー達に聞いてみたり。
ルキアとクリスは、昼食を終えてたようで今はそれぞれ母親に抱かれて食後の休憩をしているのだが、ルキアはもう遊びたいという感じに体を動かし、それをクリスが眺めているという形になっている。
レイは出てくる料理全てに、それはもう大げさではと思えるほどの感動をしながら食べていくのを見てからナガンはあっと声を上げる、そう言えばレイは、自己紹介をしたのかと、なので近くに来ていた417に聞いてみれば
「ユノちゃんの知り合いで、レイだってのは聞いたけど」
「うん、名前しか言ってないかも、ぅんまぁあぁい、パフェもケーキもパンケーキも、スープも全部美味しい、ていうかこんなのいつでも食べれるとか楽園じゃん」
「そうか、レイ、もっと深くまで話して良いぞ、ここの基地とはそれくらいの付き合いが強いからな」
もっと深くまで?と417が首を傾げる、もしかしたらユノの新たなクローンだって話だろうかと思ったりもしたが、彼女自身もユノとは顔も、そして声も違うレイに疑問を持っていた所なのでレイが話しまで待ってみることに。
「ん?そこまで話していいなら遠慮なく、改めて私は『レイ』、一応P基地に雇われてる傭兵って感じになってて、んで【レイラ・エストレーヤ】つまりはユノっち達のお母さんのクローンよ」
気負うわけでもなく、それこそなんてことない特徴を話し様な軽さで出てきたインパクト抜群の言葉に417も、いや、その場に居たD08組の全員が驚いた顔になる。
「ゆ、ユノちゃんのお母さんの、クローン?」
「うむ、わしの前の指揮官であり、少し調べれば出てくるとは思うが元正規軍の特殊部隊の隊長【レイラ・エストレーヤ】、レイはそのクローンになる」
「そっか、だから姉妹とか親子の似方って思えたのか」
まぁ私自身にそんな記憶一切ないから自覚はないんだけどさとケタケタと笑うレイ、ナガンとしてもそこまで重い扱いをするつもりはないし、それはユノもノアも同じである、と言うよりも
「こいつがアタシらの親ですって言われてもそれはそれでなぁ」
「こんな大きい娘を持った記憶ないからなぁ」
「どっちかというとお姉ちゃんとかのほうがしっくり来そうだよね」
実際、ユノ、ノア、レイと並べば三姉妹にしか見えないだろう、因みにそこにキャロルが加わっても四姉妹にはならない模様。
とまぁ大人たちがこんな会話をしている間もルキアとクリスには関係ないことであり、気付けば417の娘の【ネーナ】や416の娘【ヴァレリー】、ドリーマーの娘である【アリス】、他にもこの場に来ていたD08の子供達と遊び始めたのか楽しげな声が聞こえ始める。
こうして、少々ハプニングはあったもののD08との交流は平和に、平穏に、長閑に過ぎていく、最もレイは帰ってからナガンからの説教の続きがあるので本人的には最後の晩餐な感じもあるが、そして最後にその様子を微笑ましそうに眺めているナガンに、ずっと気になっていたのだろう417が
「所でナガンさん、その右目は……」
「ふふ、カッコいいじゃろ?」
「か、カッコいいかなぁ?」
心からナガンはそう思ってるという言葉に困惑するのであった。勿論ながら、その後に自身の目の状態だったりはきちんと話したとのこと。
受け止めきれてないやんけお前!!!!!(土下座)いや、本当にごめんなさい、はい。
因みにレイは今後もこのカフェに現れたりするらしいぞ、美味しいものには目がないからね、仕方ないね。