魔獣創造を手に入れたが開き直ることにした   作:ダ・ヴィンチちゃん

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魔獣神

 一つの神話が滅びた。生き残りはいるが復興は厳しいだろう。

 主犯は聖書の神。対応したのは魔獣神として世に名を知られていくエミヤ・リリィ。僅か一日で終わらせた。

 当然住む者の居なくなった天界や、生き残りが僅かにしかいない冥界の領土の所有権は彼にあるがいらね、と義父であるオーディンとゼウスに所有権を明け渡した。

 そして、今更ながらハーデスにサマエルの件を追求しにいくエミヤ。聖書の神の復活など色々あって先送りになってエミヤ本人は忘れていたがブリュンヒルデが覚えていた。

 エミヤはわざわざ会いに行くの面倒くさ~いと渋ったがいいえ行きます、とブリュンヒルデが襟首を掴んで引きずる。

 ぶーたれるエミヤだが本当に嫌なら振り払うだろう。それをしないのは、そこまで嫌じゃないか、ブリュンヒルデが多少なりとも特別なのか………。

 

「というわけでして、サマエルの封印を無断で解きテロリストに貸し与えた事実は確認済みです。弁明はありますか?」

《ファファファ。貸し与えた?それは誤解だ、奪われたのだよ。いやはや人間というのは油断ならん。うむ、儂の管理不足。その件に関しては責任をとろう》

「奪われた?そのような戯れ言を信じろと?」

《信じぬと?ならどうする?》

「えー……そりゃまあ、テロリストの残党としてぶっ殺す」

 

 

 

 

「旦那様、ああいう圧力外交はどうかと………」

「彼奴が悪い。素直に罪を認めて冥府の英雄差し出せばいいのに、元人間で神と呼ばれるようになった俺を嫌って下に見るからこーなるんだ」

 

 ボリボリと人骨のようなのを食いながらケラケラ笑うエミヤ。

 

「まあ冥府の管理はプルートだっけ?彼に任せようぜ。何、復讐してくるならその時は改めて喰えばいい」

「………だから大人しく付いてきたんですか?私に言われたからではなく、食事のために」

「食事ねぇ……こんな身もないのを食っても腹の足しにゃならねぇし、デートしようぜブリュンヒルデ。冥府のうまい飯屋探そう」

「…………はい!」

 

 

 

 神話同士の争いは人類の発展とともに沈静化していく。人がそもそも神を信じなくなってきているのだ、自分の神話こそ最強、などと宣言するのも馬鹿らしい。

 しかしそんなある意味平和を気に入らぬ者達も居る。悪を司る悪神アンリ・マユなど格神話の悪神達だ。

 己の神話が最強かは関係なく、ただ人も神も魔も関係なく力なき者が死に力ある者が蔓延る世を創ろうとして、最低でも行動した一週間後には消える。

 新しく生まれたばかりの勢力の王は喰った喰ったと腹をなでる姿が同盟神話によく目撃される。

 その新勢力はある意味同盟の象徴でもある。

 北欧からは主神オーディンの娘ブリュンヒルデ。

 須弥山からも同じく主神帝釈天の娘ジャヤンティ。

 ギリシャからは主神ゼウスの娘達九姉妹(ムーサイ)のカリオペイア、クレイオー、エウテルペー、タレイア、メルポメネー、テルプシコラー、エラトー、ポリュムニアー、ウーラニアー。

 インドは主神シヴァの義妹ガンガー。

 その他神話からも主神に連なる女神達を嫁としてあてがわれ、平和の象徴となった男。

 黒猫の顎をなでながら読んでいた雑誌を閉じる。

 

「おもしろい漫画がとうとう終わった。残りのはつまらん……最近の映画もリメイクばっかだし、飽きてきた」

 

 ビクリと彼の妻の大半が震える。そばに控えていたメイドのうち一人も顔を青くしてガタガタ震え出す。

 

「別にこの世界滅ぼしたりはしねーよ。お義父さん沢山居るしな。というわけで、次の世界いこうぜ次の世界。候補は三つ……一つは魔人族、人間族、亜人族の三種族で別れて喧嘩してる世界。ここにある迷宮っての攻略してみたい。次に百年ごとになんか別世界から強いのが神か魔王として現れる世界。ちょうどその周期が近くてな、魔王として現れたら神として、神として現れたら魔王として振る舞うのも楽しそうだな………最後はここに似てるな。色んな神話のごった煮。神々が遊ぶゲーム盤。命懸けたものから手持ちの小遣いをかけたものまで色んなゲームが出来る世界だ。お前等、何処の世界行きたい?」

 

 魔獣の王はケタケタ笑う。未知なる世界で自分が殺されるなど微塵も考えない……訳ではない。余程気に入らないことでもされない限り、彼は格は兎も角次元は合わせてやるのだ。ひょっとしたら勝てる存在もいるかもしれない。

 でも彼は笑う。死ぬかもしれなくても、その課程はきっと楽しいだろうからな。

 

「………旦那様は、変わりませんね。未知が待ち受けていようと、楽しそうです。怖くないんですか?」

「ワクワクするな。人生楽しんだ者勝ちだもの……」

 

 ケタケタケラケラ楽しそうに笑う彼に、戦乙女ははぁ、とため息をはいたのだった。

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