僕のヒーローアカデミア~ジンオウガの章~   作:四季の夢

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ペルソナの方も書いていたので少し遅れてしまいました。
まぁ前より余裕はありますし、なんとか投稿はできそうです(;´・ω・)


第六十四話:原種暴走! 助太刀! 耳郎&障子

 

 轟と夜嵐が生んだ炎竜巻。

 それは周囲を焼きながらヴィラン役達だけではなく、雷狼竜達すらも呑み込んだ。

 

「AOoooooooN!?」

 

「AOoooooooN!?」

 

 二体の雷狼竜が悲鳴の様に咆哮をあげた。

 肉体を焼かれたことに、まるで怒りを抱いたかの様に周囲に轟く咆哮を。

 

「やべっ!」

 

「しまった雷狼寺!!」

 

 轟と夜嵐はようやく事態の状況に気が付き、頭に冷や水を掛けられたかのように急激に頭が冷えていた。

 ヴィラン役だけではなく、竜牙すら巻き込んだ攻撃。

 

 しかも強風と炎が合わさって威力は凄まじくなっており、それは並みの威力ではなかった。

 

――同士討ち、フレンドリーファイア。

 

 どちらにしろ、その光景を見ていた周囲の目は冷たかった。

 

「喧嘩の挙句、フレンドリーファイアとは……情けないな」

 

 そう言ったのは炎を僅かに受けたギャングオルカだった。

 ペットボトルの水を頭にかけながら、失望した様子で轟と夜嵐を見ていると周囲の見学者や審査員達も失望の視線、溜息を吐くなどの様子で見ていた。

 

「これが試験だから良いものを……! 喧嘩の挙句に味方を巻き込むなんて……!」

 

「実際の被災現場だったら辞職もありうるな」

 

「どちらにしろ、あの二人は終わりだな。あまりにもこれは弁解できまい」

 

 付き添いの他校の教師達は既に轟と夜嵐の不合格を確信している様に腕を組み、トップ校だから期待していた反動で一気に失望へと変わった。

 

 そして、それを見ていた相澤は竜牙の様子に思わず立ち上がった。

 

「雷狼寺……!」

 

「ちょっ! 何やってんのあの二人……!」

 

 相澤に釣られてジョークも立ち上がると、未だに燃えている雷狼竜達に目を向けた。

 離れている場所からでも熱風が届いている。

 

 それを直に受けたならば、どれだけの熱に当てられるのか考えたくない。

 皮膚に熱気、呼吸する空気も熱く内部が火傷する可能性とてある。

 

 いくら雷狼竜でも危険である状況である中、轟と夜嵐は互いに睨み合っていた。

 

「お前……! 雷狼寺を殺す気か! 早く何とかしろ!」

 

「ハァ!? 下手に風を送れば火力が上がるだろ! アンタこそ氷出してするべきっスよ!!」

 

「氷を出せば雷狼寺をまた巻き込むだろ! お前が余計なことをしたからこうなったんだぞ!」

 

「何言ってんスか!! アンタが炎を出すからこうなったんだ!!」

 

 轟と夜嵐は未だに喧嘩を続けていた。

 既に両者は互いの姿しか見えておらず、炎竜巻をどうにかするよりも頭に血が上っていて冷静な対応ができなかった。

 

 互いが気に入らない。その感情に呑まれており、遂に両者は対峙した時だった。

 炎竜巻の中にいた二頭の雷狼竜達の眼光が光った。

 

『俺と雷狼竜を甘く見るな!!』

 

 雷狼竜の中で内なる声をあげる竜牙は、ヌシの肉体を操ると原種にも、自身のやろうとしている事を意識として飛ばす。

 そして原種もそれを受け取ると、二頭はその場で尻尾を利用し、一気に回転した。

 

 するとその強烈な薙ぎ払いにより炎竜巻は一気に消滅。

 その場に残ったのはダウンしたヴィラン役達と、無事ではないが立っている二頭の雷狼竜だった。

 

 鱗が焦げ、鬣も僅かに焼けて肉体から煙が漂う二頭の雷狼竜。

 それを見た轟と夜嵐はようやく意識をそちらへと向けた。

 

「雷狼寺! 無事か……!」

 

「スゲェっス! あの炎の竜巻を一瞬でなんて!」

 

 二人はすぐに竜牙の下に駆け付けようとしたが、ヌシと同化していた竜牙は原種に異変に気付いた。

 

『まずい! こっちに来るな!!』

 

――殺

 

『Grrrrrr……!――AOoooooooN!!!』

 

 原種が唸り声からの遠吠えを放った瞬間、その眼光が轟と夜嵐を捉えた。

 その表情は敵を見る顔をしており、眼光も完全に狩るものとした鋭い眼光だった。

 

 それを見た瞬間、轟は体育祭や獄狼竜の出来事を思い出し、思わず足を止めた。

 

「まずい! 俺達を敵と判断してやがる……!」

 

「へっ? どういう事っスか?」

 

 真っ先に気付いた轟と違い、夜嵐は今一状況を分かっていなかった。

 夜嵐からすれば雷狼竜は竜牙の個性でしかない認識だ。

 しかし轟からすれば雷狼竜にも意思があることを知っており、その危険の意味を分かっていた。

 

 だから夜嵐が能天気に少し下へ降りてきたが、轟はそれを無視。

 すぐに氷を原種との間に出そうとした時だった。

 

 原種は轟と夜嵐へと向かって走り出した。

 

『AOoooooooN!!』 

 

『マズイ……!』

 

 竜牙――ヌシも同時に走り出した。

 今の原種は先程の攻撃によって轟と夜嵐を敵と認識してしまっていた。

 

 このまま危険だと、原種を止める為にヌシを走り出す中、轟は原種との間に氷を出した。

 

「動きを牽制するぞ!」

 

「えっ! 何でっスか!?」

 

 夜嵐は今一状況が分かっていないが轟はその言葉をやはり無視。

 そのまま目の前に氷塊を出したが、原種は跳躍力でそれを飛び越えた。

 

「なっ!?」

 

「えっ……なんかヤバイ感じじゃないっスか!」

 

 轟は驚愕し、夜嵐もようやく原種の様子がおかしい事に気付いた。

 そしてそれを見ていた相澤もだ。

 

「まずい原種が!」

 

「ちょっ!? 同士討ちは笑えないって!」

 

 原種にも意思がある。しかし他者から見れば原種も竜牙の個性の一部だ。

 このままでは同士討ちに見られてしまい、相澤もジョークを思わず拳を握り締めた。

 

 そして原種が轟と夜嵐の目の前に迫った。

――時だった。

 

『させるか!!』

 

 原種の横からヌシが体当たりを直撃させ、間一髪の所を防ぐ。

 そして二頭の雷狼竜はそのまま取っ組み合いになる様に転がって行き、やがて止まると二頭は離れ、互いに対峙した。

 

『AOoooooooN!!』

 

『AOoooooooN!!』

 

 原種は邪魔されたことで怒りの咆哮をあげ、ヌシも原種を止める為に咆哮をあげる。

 両者の間では落雷がおき、雷光虫が飛び回って一触即発の状態となるが、竜牙はすぐに動いた。

 

「原種!! 我を見失うな!」

 

 ヌシから人の姿に戻った竜牙はそう言って原種の目の前に飛び出すと、原種の肉体に手を触れた。

 

「――回収!」

 

 竜牙がそう叫んだ瞬間、原種の姿は一瞬にして消える。

 竜牙が原種を己の肉体に戻したからだ。

 

「……ぐっ」 

 

 しかし同時に竜牙は膝を付いてしまい、更に肉体に火傷の様な跡が出始めた。

 

 それは謂わば代償だった。

 竜牙の個性――雷狼竜を解き放ち、それを回収時した時にダメージがあった場合、竜牙にもそれが帰って来るのだ。

 

 ヌシでもダメージがある中、原種のダメージも自身に帰って来た竜牙のダメージは大きく、何とか立ち上がろうとしていた。

  

 だがそれをヴィラン役であるギャングオルカが見逃す筈はなく、気付けば彼は竜牙の目の前に立っていた。

 

「――っ!」

 

「強いて言えば……強す過ぎることが弱点ということか。己の個性とは言え、良く最悪の事態は防いだな。そこは評価しよう。――しかし、運がなかったな」

 

 シャチの瞳で竜牙を捉えるギャングオルカ。

 それを見た瞬間、竜牙もすぐに肉体を人型の雷狼竜化するが、ギャングオルカの方が動きは速かった。

 

「超音波アタック!!」 

 

「クソッ――!?」

 

 竜牙は何とか回避しようと考えたが身体が間に合わない。

 そのままギャングオルカの技を受ける。

――そう思った時だった。

 

「雷狼寺!!」

 

 間一髪の所で誰かが、竜牙の身体に抱き着きながら彼を押したのだ。

 それによって竜牙はギリギリでギャングオルカの攻撃を回避でき、その直後、複数の腕がギャングオルカを殴りつけた。

 

「むぅ……!?」

 

 複数の豪腕によって軽く吹き飛ばされるギャングオルカだが、すぐに態勢を整えて殴られた方向を見ると、そこには竜牙の他に二人の生徒がいた。

 

「……耳郎、障子」

 

「ギリギリ間に合ったね雷狼寺!」

 

「大丈夫か?」

 

 竜牙を助けたのは耳郎と障子だった。

 障子はギャングオルカの方を向いて身構えており、耳郎は竜牙から離れると腕を出して竜牙を立ち上がらせる。

 

「大丈夫? 立てる?」

 

「……あぁ、何とかな。少しアクシデントがあってな」

 

 竜牙はそう言って轟と夜嵐の方を見ると、二人はようやく事の重大性に気付いたのか、顔を下に向けていた。

 しかしヴィラン役達ですら彼等に攻撃はせず、無視をしている為、竜牙ですら二人の合否を察してしまう。

 

「……轟」

 

 思わず友の名を呟いてしまうが、竜牙はすぐに頭を切り替えてギャングオルカの方を見た。

 するとギャングオルカも、空になったボトルを握り潰しながら竜牙達へと近づいて来ていた。

 

「援軍の到着か……しかしどうする? 他のヴィランもいる中で私を君達だけで相手を出来るとでも?」

 

 そう言って口を開け、捕食者の如くの顔を見せるギャングオルカに耳郎も身構えるが、既に他のヴィラン役達も竜牙達の周りに集まっていた。

 

「多勢に無勢だな」

 

「けど……ここで逃げる様なヒーローがいたら後ろの市民達は安心できるのか?――でしょ、雷狼寺!」

 

「……フッ、あぁ……その時だ」

 

 障子と耳郎はどこか嬉しそうにそう言うと、竜牙も入学試験の時を思い出して思わず笑う。

 同時に竜牙は気付いていた。聞こえてくる仲間達の声と足音が。

 

 これならば更なる援軍が来る。ならここで足掻くのが正解だと。

 

「……この受難に感謝。――足掻くぞ、耳郎! 障子!」

 

「良し! 任せて!」

 

「やるぞ……!」

 

「来い……!」

 

 竜牙の言葉に耳郎と障子は頷くと、ギャングオルカも口を開けながらそれに応えた。

 仮免試験も佳境に入っていた。

 

 

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