「むぺー!」

 フランちゃんがぶすくれていた。

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サークル:れーばていんは今回不参加になりました。

「むぺー!」

 

 フランちゃんがぶすくれていた。

 パチェのとこに遊びに来たら、収穫、……じゃなかった、ええっととりあえず。

 

「どったんフランちゃん。可愛い顔が台無し、――にはなってないけど」

 

 残念ながらにらめっこでは勝てないでしょうね。可哀想に。でも対戦相手、つまり私はフランちゃんの顔を正面から見続けていられるという正当な権利が――。

 

「コミケ受かったのに参加できないんですってよ」

 

 素晴らしき妄想をパチェが邪魔をしてきた。良いとこだったのに。あと「私も手伝ったのに」とぼやきが聞こえた気がする。

 

「今回のレバ天は良い出来だったのになー」

「レバ天? レバーの天ぷらのこと?」

 

 おいしいの?

 

「そうだね。もうゆかりんから肝臓引っこ抜いて天ぷらにしちゃうかな」

「ふ、ふらんちゃん?」

 

 妹はこんなにおっかなかっただろうか。

 

「そんで、紫×蓮子本を目の前で」

「目の前で?」

「引き裂いてずたずたにしてやる!」

 

 うーん。

 ……微妙!

 

「……というかどうして八雲紫なの?」

「そりゃ外の世界のイベントだし」

「え、フランちゃんいつの間に」

「暇だったし」

「えぇ……」

 

 妹は姉の知らない世界へ旅立っていたらしい。

 おのれ八雲紫。許すまじ。私も報復として、れんこんか何かを食べてやろう。よく分かんないけど。

 

「やっぱ納得いかない! ちょっくらゆかりんのとこ行ってくる!」

「え? どこにいるか知ってるの?」

「家に行きゃいるでしょ!」

 

 それってあのスキマ妖怪の家を知ってるって意味になるのだけど……。

 まさかフランちゃん……。

 

「ひょっとしてあのクソスキマに誘拐されたの!?」

「なんで?」

「なんでって、もうそうとしか考えられないわ!」

 

 どうしてやろうか。フランちゃんと一緒に乗り込んでれんこんでも丸かじりしてやろうか。よしそうしよう。

 

「そうと決まったら、れんこんを準備しなくちゃ!」

「なんで!?」

「咲夜ー! ちょっとれんこん持ってきてー!」

 

 間を置かなかった。

 

「――お嬢様、こちらに」

「さすがは咲夜。いいれんこんだわ」

「えぇ……。急に用意しろって言われて持ってこれるものなのかなぁ……」

「何を言ってるのフランちゃん。咲夜は私の従者よ。当然この程度は出来るに決まってるじゃない」

「いやでもまるで未来予知、もしくは離れた所で心を読んだくらいの事だと思うんだけど。瀟洒とかいうレベル違うて」

 

 瀟洒なメイドはにっこり笑う。

 

「なんかこうビビっときたので」

「まじでか」

「メイドですから」

「まじでか」

 

 さすがは咲夜。つまりさすが私。私!!

 

「初めに咲夜を見た時にもうティーンと来たからね」

「なに言ってんだこいつ」

 

 それはそうと話は何だっけ。

 

「で、八雲紫の家にカチコミに行くんだっけ?」

「うん。でも迷ってる」

「迷う?」

「今行ったらなんかめんどくさそう」

「どうして?」

「原因が原因だから」

「もう早く教えてよ」

 

 フランちゃんは口をとがらせてパチェの方へ向いた。パチェはいつも通り心底嫌そうな顔をする。

 

「……落ちたんですって」

「階段から?」

「違うわ」

「じゃあ何よ」

 

 もったいぶりすぎじゃなくて?

 

「コミケによ」

「は?」

「そこから説明するのは正直面倒なのよ」

 

 話に割り込んできたくせに、面倒と言ってすぐに本の世界に旅立つパチェはさすがね。今度咲夜に言ってまずいお茶飲ませてやろ。

 

「じゃあ私が説明してあげる。簡単に言うとね、夜市の出店を出す権利のくじ引きに当たんなかったってこと!」

「……そんで?」

「悔しいから今回は幻想郷勢は夜市に参加させないってぐずってるの!」

「う、うん?」

「こうなったら、おきゆか本を霊夢に大量に送りつけるしか……」

「何の話?」

 

 ついてけない。

 フランちゃんの言葉が理解出来るけど理解出来ない。

 これでいいのレミリア?

 いいえ駄目よスカーレッツ。

 姉たるは妹の全てを理解して当然。

 そうよレミリア・スカーレット。

 その名のもとに、フランちゃんの全てを把握しよう。

 

「んー? 大丈夫、おねーさま? なんかすごいアホっぽい顔してるけど」

「ええ、超大丈夫よスカーレッツ。安心してスカーレッツ」

「ぶっ壊れてるやん」

「そうよ私の愛は超次元突破。全世界ハートフルナイトメアなのよ」

「右斜め45度!!」

「あいたっ!」

 

 なんかチョップされた! え、――チョップされた!?

 

「何すんの!?」

「どうしようもないポンコツはこうすると直るってゆかりん言ってた」

「なわけないでしょ! 頭叩くと馬鹿になるのよ!?」

「なら無限回大丈夫じゃん」

「私丈夫だからね! ――って、こらぁ!」

「おぉー。いいツッコミ」

「はぁ……」

 

 思わずため息が出た。

 ていうか話なんだっけ。

 ああ、そうあれか。

 

「――で、どうするのカチコミかけんの?」

「いやもういいや。なんか疲れた。また今度にしよ」

「えー、あー、うん。そ、そうなの」

「うん?」

「あ、いやなんでもないわ」

 

 ……一緒にお出かけしたかったなぁ。




公式でレミフラしてたそうですね


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